UMA・未確認生物

UMAって胡散臭い?日本で隠棲動物学がキワモノ扱いの理由

Written by すずき大和

UMAって知っていますか?

[ウマ]じゃないです。

[ユーマ]と読んでください。

UMAは、

Unidentified Mysterious Animal

の略です。

“未確認の謎の動物”という意味になりますが、一般的には「未確認動物」または「未確認生物」といわれています。

  • ネス湖のネッシーとか、
  • ヒマラヤのイエティ(雪男)とか、
  • 南米のチュパカブラとか・・・

超常現象を扱ったTVのバラエティ番組などによく出て来る伝説の生き物、みたいなのを思い浮かべましたか?

日本では、どちらかというと、科学じゃなくてオカルト分野の話題とされています。

が、国際的にはこれ、結構真面目な学問、研究分野として確立されているんですよ。



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ゴリラも昔はUMAだった

UMAって怪物とか怪獣の話でしょ?ってそれは誤解です

日本では、

  • 怪物
  • 怪獣
  • 妖怪
  • 魑魅魍魎[ちみもうりょう]
  • 幽霊
  • 宇宙人

のようなものがひとまとめに「超常現象」としてカテゴライズされ、認識されています。

アメリカで流行ったドラマ「X-ファイル」でも、これら全部扱っていましたからね。

でも、実際にはそれぞれ異なるものです。

  • 怪物・怪獣・魑魅魍魎は架空のもの、
  • 妖怪は伝説、
  • 幽霊は心霊現象、
  • 宇宙人は立証されていない科学の可能性です。

UMAは、UFOや宇宙人と同じ、科学の対象です。怪物や怪獣のことではありません。

日本以外では「UMA」といっても通じません

UMAというのは、日本人が考えた俗称です。

UFO(Unidentified Flying Object)

“未確認飛行物体”

のいい方をもじって命名された和製英語です。

未確認動物は学術的には「隠棲動物[いんせいどうぶつ]」といいます。

隠棲とは“隠れ潜んでいる”という意味で使われる言葉です。

隠棲動物の定義は、

「目撃情報や物証などがあるが、未だにその存在が認知されない未知の生物」

です。

英語では Hidden Animal または Cryptid といわれており、それらの研究をする学問を

「クリブトズーロジー(Cryptozoology)=隠棲動物学」

といいます。

アメリカには「国際隠棲動物学会」も設置されています。

現地で目撃情報を丹念に集め、足跡や体毛・血液などの残留物を探して科学的に検証する、ということを地道に積み重ねる研究学問です。

どんな隠棲動物が研究されてきたのか

今まで見たこともない新たな生物が見つかったという情報があれば、まず目撃情報や残留物を調べ、実際に遭遇して捕獲できれば、既存の動物であるかどうか、徹底的に調査されます。

もし、今までに発見されたことのない生物で、今も種としての生存が確認されれば、新種の発見となります。

そうやって、新種に加えられていった生物はたくさんあります。

コモドドラゴンはUMAとして発見された頃は、「全長5~7mの恐竜の生き残り」といわれましたが、捕まえてよく調べると“オオトカゲの一種”だったことがわかりました。

西アフリカに「人よりも小さなカバ、サイがいる」というUMA情報を調べた結果、「コビトカバ」という種が発見されました。が、「コビトサイ」は未だにUMAです。

アフリカの奥地には長い間「巨大で凶暴な猿人がいて、人を襲う」というUMA情報がありました。地道な調査により、1847年にローランドゴリラが、1903年にマウンテンゴリラが発見され、サル目ヒト科ゴリラ属に「類人猿」というカテゴリーで分類されました。

1938年に南アフリカで発見された見たことがない魚のような生き物は、古代生物「シーラカンス」が絶滅せずに生き残っていたものとわかりました。UMAの中には、絶滅したと思われていた生物だった、というものが少なくありません。

なぜ日本の隠棲生物は怪しいオカルト分野と思われるのか

UMAといえば、グロい生物の死骸のこと?

ネットで「UMA」を検索すると、何だか気持ち悪い形の生き物の死骸のような写真がたくさん並んでいるページがヒットの上位にたくさん出てきます。

  • 既存の生き物とはパーツの形が異様に異なっていたり、
  • 部分的に肥大していたり、
  • あるはずのパーツがなかったり、
  • 体毛の生え方が変だったり、
  • 全体的にサイズが巨大だったり・・・

中には、進化論的にはあり得ないような写真もたくさん出てきます。

  • 人間の顔や手足をもつけれど、人間じゃない生き物
  • 二つの動物を合わせたような形の生き物
  • 映画などに出て来るグレーといわれる宇宙人によく似た生き物・・・

とにかくあまり気持ちの良い絵ではありません。ゲテモノ志向のサイトにも見えます。

やらせ情報が大量に混入して、一緒に並べられている

実は、これら「クリーチャー」とも呼ぶべきグロい死骸の多くは、その正体が判明しているか、専門家がこうだろうと見解を出しています。

一番多いのは既存生物の奇形種や巨大種、死骸が腐敗・劣化して見た目の状態がグロいことになったものと判断されるものです。

そして、次に多いのが、ねつ造・偽造・ジョークの類なのです。

人間のような顔や手があるが、身体は魚だったり獣だったりするもの、宇宙人のようなものは、かなりの確率で「作り物」です。

クリーチャーのアーティストが、作品をUMA発見のように演出して撮った写真が、ネット内で拡散されてしまう場合もあります。

死骸ではなく目撃映像だけの場合は、撮影のシステム上生じる現象が超常現象に見えてしまうものもあります。

「スカイフィッシュ」と呼ばれる、目に見えない高速で空中を飛ぶ羽のあるロット状の物体も、正体はカメラの前を飛ぶハエなどが引きのばされて見えてしまう現象でした。

なぜネットに情報が溢れているのにニュースにならないのか

隠棲動物学は、純粋に未確認の新種の生物を探求していく学問です。

新たな種への進化の方向から、地球の環境変化や人間が気付いていなかった危険の兆候を推し量ることができる場合もあります。

死骸を発見したことも個体を捕まえたこともないUMAは、どんな生物なのか、本当にいるのかいないのかも確認しきれませんが、目撃談と状況証拠だけで存在を推定しています。

もし死骸が手に入り、DNA等の検査ができれば、本当にUMAなのか、そうじゃないかはわかります。

まったくの新種だったのならば、ニュースになります。

死骸が見つかったのに、ニュースになっていないのならば、

  • 既存の生物だったとわかったか、
  • 本物かどうか怪しいものだったか、
  • ただの見間違いや勘違いだったか、

まあ、だいたいはそのうちのどれかです。

UMA好きは必ずしも学術的興味の人じゃない

気持ち悪い画像を集めたサイトの多くが、発見された死骸の形態の説明と発見場所の紹介までしか書かず、その後の正体の判明情報を書いていません。

TV番組でも、UMAだとも違うとも100%証明するに至らないものについては、専門家が

「違うと思う」

という分析意見を出していても、そこまで紹介せず

「謎です」

で切ってしまう作りが、少なからずみられます。

怪しさ気味悪さを煽る話題に終始して、学術的な見解にまで興味を持たないのは、そういう情報を欲するネットユーザーや視聴者の側にもある傾向です。

真実かどうか、その発見がどういう学問的意味を持つのか、ということより、ショッキングな情報に色めき立つ話題づくりが主であり、

「信じる信じないは、あなた次第」

の終わらせ方でよし、という取り上げ方が多くされています。

中には、真面目に研究している人もいるし、正体の見解までちゃんと説明する情報紹介をしているサイトや番組もあります。

一方で、オカルトチックな分析をする人と同等に並べられて、見解も併記されてしまうものが多いと、怪しさの演出の一部で終ってしまいます。

これでは、オカルト扱いの域を出られないのも無理はありません。

本当の真実を見落とさないようにしよう

真面目に研究している人には、気の毒な現状です。

怪しい人たちもたくさんいますが、全てが嘘やオカルトだけじゃないことも、知っておいてあげてください。

怪しいものの中に、もしかしたら本当に地球外生命体等がいる可能性だってゼロじゃないです。

そういう本物を見逃さないためにも、やたらにねつ造情報の白黒判断に専門家さんたちの手を煩わせるのもいい加減にしないと、ですよね。

まさケロンのひとこと

まだまだ未知の生物がいて、いつか自分たちにとって身近なものになるかもって考えたらワクワクするね。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。