防災・減災

熱中症対策のためのエアコン導入、突入電流の罠に要注意!

Written by すずき大和

真夏、連日猛暑日が続く季節、地球温暖化のせいなのか、世界規模で

  • 豪雨
  • 洪水
  • 竜巻

等の大小規模の自然災害が以前に比べて増えてきています。

日本の市街地でも、都市開発の進行で緑地が減り、エアコンが普及するに伴って、夜になっても地表が冷えず、連日猛暑をくり返すヒートアイランド現象が全国各地にみられるようになっています。

2015年7月も、梅雨明け後、日を追うごとに暑さがましていく状況で、後半全国的に猛暑が続きました。

20~26日までの一週間だけで、熱中症搬送人数は全国で7392人にも上り、重症以上の人が159人(うち3人死亡)確認されました。



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高齢化の進む日本、エアコンの使用度が高まる夏

熱中症搬送車の半分は高齢者

救急搬送される熱中症患者の約1/2は、65歳以上の高齢者で、高齢者患者の過半数は屋内で発症しています。

在宅中に熱中症に陥る原因の大きな要因として、エアコンの不使用があるといわれています。

大震災以降の節電意識の高まりもあり、「クーラー嫌い」の高齢者の頑固なまでのエアコン不使用のこだわりは、周りで口やかましくいっても、なかなか変えられない面もあるようです。

高齢者が幼い頃から育ってきた環境の中で、クーラーのある夏を過ごす経験は今の若年層よりはるかに少ないものでした。

また、以前はエアコンの性能も低く、つけると冷やし過ぎたり、屋内が必要以上に乾燥したり、部屋の隅と真ん中とでは冷え方が大きく違ったり・・・エアコンを使用することが逆に身体の負担になるような場合も確かにありました。

特に、今の高齢者が妊娠・出産・子育てしてきた時代は、

「妊婦や子どもや年よりなど、身体を冷やしやすい人たちは、あまりエアコンにあたってはいけない」

と、常識のようにいわれていました。

ヒートアイランド化の激しい時代の「エアコンのすすめ」

しかし、冒頭でも述べたように、今の時代、市街地のヒートアイランド現象は首都圏も地方も変わらず進んでいます。

木造で襖や障子、畳など、日本の湿度の高い夏の気候にあった造りの家屋は減り、防犯意識も高まって、窓や玄関を開けっ放しで過ごす生活も市街地ではなかなかできなくなっています。

高齢者が人生の多くを過ごしてきた時代とは、真夏の屋内の環境は比べものにならないほど過酷になっているのです。

高齢になると、環境の変化も身体の異変も、感じ取る力が衰えてきます。

自分の感覚では、まだ全然耐えられる暑さと感じ、長年の経験からもエアコンなくても十分過ごせると判断してしまう高齢者の気持ちは、十分にわかります。

わかりますが、やはり今は命を守るために、周囲がおせっかいに口出ししても、エアコンを使う習慣を推奨してあげる必要があります。

ということで、この夏も前年に続き、省エネ新型への買い替えも含め、エアコンの売れ行きは好調で、改めて設置する部屋数も増えています。

エアコン設置台数急上昇に伴う問題

これまでなかった場所に設置されていくエアコン

最近の住宅は、個人宅も集合住宅も、新築時からエアコン取り付けが一般的になってきています。

が、ほんの少し前、バブルが弾ける前後くらいの時代までは、賃貸アパートや戸建て住宅、建売りのマンションまでも、最初からエアコンなんてついていなくて当たり前、借主や買主が後から設置することが普通でした。

バブル期以前に建てられた物件は、エアコン設置用の高い位置のコンセントなどない電気配線になっていました。

また、真夏の猛暑が厳しい昨年・今年は特に、今までエアコンがなかった部屋への設置が増えています。

「高齢者の暮らす部屋」はもとより、

  • アパートの狭いダイニングキッチン
  • トイレ
  • 洗面所や洗濯機スペースも兼ねる風呂場の脱衣スペース
  • 玄関ルーム

21世紀になって建てられた物件でも、それらのスペースには新築時エアコンがないものが少なくありませんでしたが、高齢者への配慮なども考えると、そういう場所にもエアコンを取り付ける人が増えています。

エアコンの電源、どうやって取っていますか?

古い造りの建物や、従来エアコンがなかった場所への設置が進むと、

「エアコンの電源コードの届く範囲にコンセントがない」

という状況も多くみられるようになりました。

丁寧に設置工事までしてくれる業者さんの場合、予めコンセントまで届くような電源コードを用意してくれますが、量販店で買って自分で設置する人も少なくない数います。

コンセントまで届かなかった場合、テーブルタップのような延長コードを使ったり、場合によっては、コードのカバーを剥いで他のコードとつなぎ、絶縁テープをぐるぐるまいて手づくりしたりする人もいます。

が、しかし、

「こういった電源コードの延長をすると、そのつないだ部分から突然火が出る事故が起きる」

という例が、案外たくさん発生しています。

きちんとエアコンの使用電力に見合うワット数に耐えられる延長コードを繋いだ場合でも、事故が起きています。

思う以上に大きな「突入電流」

これは、エアコンの電源を入れたばかりの時、継続運転中とは比べ物にならないくらいの大きな電流が流れる、というエアコンの構造機能によって発生する現象です。

エアコンのように、大容量のコンデンサを使用するような家電製品の場合、電源を入れた瞬間、継続運転中の何倍、何十倍の大きな電圧がかかって、「一気に大量の電流が流れる性質」があります。

この電流のことを

  • 「突入電流」
  • 「始動電流」
  • 「インラッシュカレント(inrush current)」

などと呼んでいます。

エアコンの場合、通常は100wの電圧ですが、電源投入時、瞬間的に4000wを超える電圧がかかり、流れる電流の桁も数百AではなくkAクラスになります。

一般的な延長コードのコンセントの耐久は1500w程度ですから、とても耐えられません。

たこ足配線でコンセントを増やしている場合はなおさらです。

コンセントやプラグ部分からショートして、時には発火してしまう場合もあるわけです。

エアコン設置は、電気屋さんにお願いしましょう

せっかく高齢者の命を守るためにエアコン設置するのに、家が火事になって、高齢者が逃げ遅れてしまっては何にもなりません。

高齢者の熱中症対策のために限らず、今までエアコンがなかった場所、エアコン設置用として予め準備されているコンセントがない場所に設置する場合は、電源の引き方も含めて、専門家にお任せするほうが安心です。

最近は、安売り量販店やリサイクルショップでも、取り付け設置工事まで合わせてやってくれるサービスが普及しています。

そこはケチらず、安全を優先してください。また、自分で取り付けたり、すでに大家さんや前の住人が取り付けてくれた部屋に入居した人も、今一度、無理な電源の取りかたをしていないか、確認してみてください。

安全・安心に上手に文明の利器を使って、どうぞ上手に熱中症対策してください。

みなさま、改めて、暑中お見舞い申し上げます・・・・。

まさケロンのひとこと

まさケロンもこの暑さでバテバテ・・・。今の日本はエアコン必須だと思うよ~。

masakeron-sorrow


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。