「音声のみ」の魅力
昔からラジオが好きでした。
皆さん、ラジオ聴いてますか?
筆者は毎日ラジオを聴いています。好きな番組はもちろんですが、今の時期だとプロ野球中継もよく聴きます。
筆者が中高生だった1980年代は、テレビはもちろんですがラジオも人気がありました。特に深夜放送は夢中になって聴いていた記憶があります。
いま情報がもっとも早く伝わるのはインターネットですが、当時はラジオが一番早いメディアでした。
特に電車の遅延や道路の渋滞などの交通情報はラジオがもっとも早かった。
そのせいかどこの家庭も朝はラジオを聴いていることが多かったと記憶しています。
そのような背景もあって、筆者はいまでも日常的にラジオを聴いているのでしょう。
ラジオの時代は終わった?
ラジオには
「古い」
「過去のもの」
というイメージが伴います。
ラジオ → テレビ
という順番で進化してきたからなのでしょう。
そして今やネットの時代。携帯電話やスマートフォンがあればいつでも最新のニュースに触れることができます。
交通情報はほぼリアルタイムで情報を得ることができるようになってきました。
このようなメディアが普及しているのですから、「情報ツール」としてのラジオの役割は、終了してしまったということになるのでしょうか。
映像よりも臨場感がある「音声のみの情報」
いうまでもなくラジオは「音声のみ」のメディアです。
例えばプロ野球など、スポーツの試合の様子も、すべて音声で伝えなくてはなりません。
この頃はあまり放送されていないようですが、ラジオドラマも同様に、効果音やBGM、ナレーション、セリフといった音声情報のみで物語を伝えます。
だからテレビなどの映像をメインとしたメディアとは違った魅力を感じることができるのです。
実際にプロ野球中継を聴くと実感できますが、テレビよりも臨場感があり、逆に分かりやすかったりします。例えば野球の試合でホームランが出たとします。
「打ったあ、これはいい当たりだ。打球は大きなカーブを描きながら、スタンドへと伸びていく。入るか、入るか、入ったあ、ホームラン!!」
実際のアナウンサーの実況はもっと素晴らしいです。
聴いているだけで、鮮明な映像が浮かんでくるのですから。
映像が無い、という「ハンデ」を逆にうまく利用して伝えているのだと思います。
また聴いている側も映像がない分、想像力が豊かになっているので、イメージが浮かびやすいのでしょう。
送り出す側と受け取る側のコンビネーションもラジオの醍醐味だと思うのです。
コミュニケーションの訓練にもなる
人のはなしを聞くためのトレーニングとして聴いてみる
ラジオはコミュニケーションのトレーニングにもなることをご存知でしたか?
筆者はパソコンメーカーのサポートセンターに勤務していたことがあります。
オペレーターとして毎日、何十件もの電話による質問やトラブル対応をこなしていました。
この仕事の難しさは、ラジオと同様に音声しか使うことができないという点にあります。(もう20年前の話です。今はもっと進化しているかもしれません)
質問者も対応者も音声で相手に意思を伝えるしかないのです。
いまでもよく覚えているのが、パソコンが動かなくなったという質問を受けた時のことです。
筆者の
「画面に何かメッセージが出ていますか?」
という問いかけに対し、
「出ています」
「読み上げていただけますか?」
「通話中と書いてあります」
「つうわちゅうですか? その他にはなにか書いてありませんか?」
「他には何も出ていません。画面に大きくカタカナで『ツウワチュウ』と出ています。…あたりまえのことだと思うのですが…」
「あたりまえというのは? 以前にもこのメッセージを見たことがあるということでしょうか?」
「そうではなくて、いまこうやってあなたと話しているでしょう。だから「ツウワチュウ」と表示されているのはあたりまえだといってるんです」
「見ていただいているのはパソコン画面ですよね?」
「違いますよ。電話機の液晶画面です。パソコンの画面を確認する必要があるのですか?」
「はい」
「それならはじめから『パソコンの画面』と言ってもらわないと」
これは筆者が新人だったころのエピソードです。
筆者の質問が曖昧だったために生じた行き違いですが、電話のみで情報を伝えることの難しさが分かっていただけたのではないでしょうか?
電話対応の難しさを体感しながら、四苦八苦していた時、先輩からアドバイスを受けたのです。
「ラジオを聴くと良いよ。人のはなしを聞くトレーニングになるから」
その時はよく理解できませんでした。
かといって他に良い方法が思いつくわけでもなく、また、ラジオが好きだったことも手伝って、アドバイスに従いました。
結果、自分の対応が劇的に向上した、なんてカッコいいことは言いません。
でも
「人のはなしを聞くトレーニングになる」
という先輩の言葉は理解できましたし、人のはなしを聞くという意識が自分の中に芽生え始めたのも感じることができました。
- この人の言いたいことは何か?
- この人の話のなかで足りない情報はなにか?
このようなことを意識しで電話対応ができるようになったのです。
コミュニケーションを考えるとき、ともすれば
「どうすれば自分の言いたいことが正確に伝わるか」
に意識が傾きがちですが、相手の話を聞くことも重要です。
そういうことを意識してラジオを聴いてみると、今までとは違う世界が広がったりするかもしれませんよ。
娯楽としての魅力も
とはいえ、なにも難しく考える必要はありません。ラジオは娯楽としても十分楽しめます。
普段あまりメディアに出ないアーティストがパーソナリティをしていたり、真面目なイメージが強かったタレントが意外に気さくなトークを展開したり、テレビでは味合うことができないエンターテイメントとして楽しみましょう。
「radiko(ラジコ)」
などのアプリを使えば、スマホでも聴取できますよ。まずはお気に入りの番組を見つけることから始めてみませんか?
「人のはなしを聞くのが苦手」って人は、ラジオ生活始めてみよう!