虫歯の時は迷わず「歯医者」に行きます。
目の病気なら「眼科」、耳・鼻・のどの不調は「耳鼻咽喉科」です。
歯以外の口の中のトラブルは「口腔外科」という所へ行きます。
では、手足のトラブルはどこへ行けばいいでしょう?
骨折や、くじいた時は「整形外科」や「接骨院」へ行きます。
何かにぶつけてスパーンと大きく切って、血がたくさん出たら「外科」でしょうか。
怪我じゃなくて、病気の時は・・・
しびれたり関節が痛い時は何科に行けばいいのでしょう?
もっと小さなトラブル、タコや魚の目や巻き爪などが痛い時は?
靴の文化が長い欧米では、手はないですが
「足病学」
という分野があり、いわゆる「足科」という足の病気専門のお医者さんが、歯医者さんと同じくらいポピュラーに存在しています。多くの人がいろいろな足のトラブルの時に、日常的に身近な足科にかかっています。
足のトラブルは甘く見て見過ごしちゃダメ!
足は全身の健康に大きな影響を与える部位
足病学は英語で「ポダイアトリー(Podiatry)」、
足科は「ポダイアトリスト(Podiatrist)」といいます。
例えばアメリカでは足病外科医は専門の資格で、約1万5千人の足の専門医がいます。
人は、一生で平均地球4周分くらいの距離を歩いているそうです。足は、履物の形などに影響されて、短期間でも形が変わりやすい性質があります。足の形やバランスのかけ方によって、歩き方や身体全体の姿勢にも影響がでてきます。
足にトラブルがあって歩くバランスが悪くなれば、疲れやすさの度合いも変わり、時には病気を誘発することもあります。
また、他の病気が足のトラブルを大ごとにしてしまう時もあります。例えば、重度の糖尿病では足先の感覚が麻痺してくるため、靴ずれやタコなど気付かずに放置してしまいがちになります。小さな傷から細菌に感染し、やがては壊疽(えそ)にまで発展して、指や足そのものを切断しなければならなくなる人が、日本では毎年2万人くらいいるそうです。
足のトラブルは、安易に看過してしまうと怖いことになるので要注意です。
日本人も足のトラブルが増えている
草履や下駄の文化が長かった日本では、幅広で扁平な形が特徴的でした。それがここ100年くらいの間に靴を履く習慣に変わり、足の形や歩き方も変わり、靴で圧迫されることによる足のトラブルもたくさん発生するようになりました。
前述のタコや魚の目、いぼ、靴ずれなど、誰もが経験したことのある症状はもちろん、靴の形やヒールの高さなどで足に無理な負担をかけることでおきる「外反母趾」は、女性を中心に痛み等で悩んでいる人は近年たくさんいます。
「巻き爪」は、逆に、昔ほど足指に力を入れて踏ん張るような機会が減ったために増えてきた症状のひとつです。
水虫などの皮膚のトラブルも昔とは異なる形の問題が多数出ています。
高齢化が進み、リウマチや痛風などに伴う関節炎の痛みを訴える人も増えています。
偏平足やハイアーチなどの足の形の変形、筋肉や腱の炎症や潰瘍・腫瘍などの疾病まで、足のトラブルは思う以上に幅広く人を悩ませている問題なのです。
日本にも徐々に生まれてきた足の総合ケア意識
足の健康を専門的に診る風潮が出てきた
20世紀末頃から、日本にも、足病学の概念から足のトラブルを総合的に論じる流れが生じてきています。診療の現場においても、それまでは、例えば
- 外反母趾は整形外科
- 巻き爪は形成外科
- 魚の目は皮膚科
などと別々の所にいかないといけなかったのが、少しずつ複合的にケアする体制が作り始められました。
21世紀に入り、ついに東京に日本初の足の疾病を総合的に専門に診る「足の診療所」もできました。
ほか、高齢者の介護施設などで足病外科担当医を専門に配置する所が出て来たり、靴の小売販売においても健康を考えて靴を選ぶ「シューズフィッター」の設置が進んだり、「足」の健康に着目する動きが社会全体に出てきています。
普段から気軽に足の医療ケアを
特に、長年足を酷使してきた高齢者の中には、トラブルが深刻化しているケースが多く見られます。日本では、タコや魚の目や外反母趾くらいでいちいち医者にいく感覚があまりありませんでしたから、痛くても我慢してきた人が多いのでしょう。
東洋医学では、「足裏は心臓」といわれるほど重要な場所と認識されています。足裏マッサージが一時ブームにはなりましたが、日本人も、欧米人のようにもっと普段からマメに足の医療ケアに心を配るようにしたほうがいいのかもしれません。
そのためにも、歯医者のように手軽に立ち寄れる「足科」のお医者さんが、日本の街にもっと増えていくといいですね。
テレビで見たんだけど、「インソール」たったこれだけで力持ちになったり腰の痛みが軽くなったりとかしてたよ。足裏大事!