冬、気温が低く乾燥した季節になると、かかとから足の裏にかけ、かさかさと粉が吹いたようになってくるのが気になっている人はいませんか?
クリームを付けたり、やすりでゴシゴシしたりしても、なかなかよくならないようなら、もしかして、それ、かなり進んだ「水虫」かもしれません。
痒くなくても水虫です
水虫の原因とメカニズム
水虫は「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれるカビが皮膚の奥まで浸透して増殖するごとで発症する皮膚病です。白癬菌はひとつではなく、数十種類もあることがわかっています。みな、皮膚を作るケラチンという成分を食べて繁殖する性質をもっており、皮膚の角質の内側に入り込むように繁殖していきます。
皮膚は、毎日、表面の古くなった角質(アカ)を剥がし落としながら、新陳代謝を繰り返しています。水虫の人は、アカといっしょにたくさんの白癬菌も落とします。水虫の素足で歩き回ると、そこら中に白癬菌を撒き散らしているようなものです。それが他の人の足に付き、そこでも繁殖が進むと水虫になります。そうやって、水虫はうつっていくのです。
発症する場所で、症状が違う
白癬菌が繁殖する場所が違うと,引き起こされる症状も違います。頭や胴体で発症すると、赤い発疹のようになり、痒みもない場合も多く、「水虫」とは違う名前で呼ばれます。が、みんな白癬菌が起こす病気であり、水虫の仲間です。
一般的に水虫としてイメージされるのは、足指の間が腫れたり皮が剥けたりして、物凄く痒くなる症状でしょうか。あれは足の指の周辺にできる水虫のひとつで、
「趾間型足白癬(しかんがたあしはくせん)」
と呼ばれる病気です。
足白癬の中には、足の裏全体に水虫菌が広がるタイプもあり、この場合は、痒みは出ませんが、皮膚の角質が乾燥して堅くなります。最初はかかとから症状が始まるので、
「かかと水虫」
と呼ばれることもあります。
かかと水虫は放置すると大変です
角質増殖型の足水虫
かかと水虫は、正式には
「角質増殖型足白癬(かくしつぞうしょくがたあしはくせん)」
といいます。
初めは、ただの乾燥肌や、加齢による角質の硬化のようにも見えます。
しかし、かさかさと粉を吹いたような状態が、次第に足裏全体に広がり、角質はどんどん厚く、堅くなります。やがて、干上がった川底みたいに一面にひび割れ始めます。更に固さが増してガサガサゴワゴワになるとひび割れも深くなります。パックリ口を開く割れ口から血がにじむくらいになると、痛くて歩くのも大変です。
そこまで悪化する前に、治療を始めることが大切です。
治りにくく、うつりやすい
角質増殖型は、趾間型に比べると、皮膚のかなり深い所まで白癬菌が入り込んで繁殖しています。水虫としては、凄く重度の状態です。塗り薬だけではなかなか治せません。皮膚科で角質増殖型水虫と診断されると、多くは飲み薬も合わせて処方されます。
じゅくじゅくする趾間型と違い、表面がかさかさポロポロしていて角質が剥がれやすく、振り撒く白癬菌の量もずっと多いです。すなわち、感染を広めやすい水虫です。
また、爪がボロボロに剥がれ落ちてしまう「爪白癬(つめはくせん)」も併発しやすいという特徴があります。
市販の薬や民間療法では治せない
かかとが硬くなってかさかさしてきたら、乾燥肌か、年のせいか、はたまた水虫か迷ったら、粉吹きやひび割れができていないかよく観察しましょう。
もし白くなっていてひび割れしそうに見えても、水虫とよく似た他の皮膚病の可能性もあります。早まって自分の判断で市販の水虫薬など付けると、症状がかえって悪化することも多いです。逆に他の病気と思ってその薬を水虫に付けてしまった場合も同じです。
また、趾間型にはよく効く民間療法も、かかと水虫には効果がない、もしくは悪化させる場合もあります。
水虫の効果的治療は、正しい診断がまず一番重要です。「怪しいな」と思ったら、まずは迷わず皮膚科に行くことをおすすめします。
かかと水虫こっわ!ガサガサかかとは要注意だね。