2010年代半ば、自動車産業の技術革新の話題といえば「自動運転」技術でしょう。
最先端を走る大手メーカーはもちろん、IT産業なども参入し、東京五輪が開催される2020年の発売・実用化を目指して、熾烈な開発競争が繰り広げられています。
そんな中、他社に先駆けて、2020年までに一般道での自動運転実現を目指す日産自動車が、自社の開発にかける気合いをアピールするかのような、斜め上の発想のオフィスシステムを公開し、話題になっています。
誰もいなくなった部屋で、自分で動いて整列してくれるイス
インテリジェント・パーキング・チェア
2016年2月15日、日産自動車株式会社は、自社の“自動ハンドル駐車技術”から着想して開発したイス
『インテリジェント・パーキング・チェア(INTELLIGENT PARKING CHAIR)』
を紹介する動画を発表しました。
仕事が終わった後のオフィスや会議室で、なんとなくバラけて乱れたような配置になっているイスたちが、「ポン」と手をたたいたとたん、一斉にひとりでに動き出し、もとの場所にピシッと向きも位置も揃った配置に収まっていきます。
「INTELLIGENT PARKING CHAIR | Inspired by NISSAN #技術の日産」
まるで生き物のように自分で自分を“お片付け”してくれるイスたちの、小気味よい整然さ、マスゲームのような面白さが、非常にクールで、ユニークで、内外の多くの人たちを
「凄っ!」
といわしめています。
日産の技術の魅力をより多くの方に
仕組みとしては、自動操舵で360度移動できるイスと、天井に設置された位置モニタリング感知器が、コンピューターに連動し、位置の把握、移動経路の割り出し、動きの無線制御によって、複数のイスが互いにぶつかることなく、指定の位置に移動するようになっています。
発売中の自動車に搭載されている、自動操舵で駐車してくれるシステム「インテリジェント・パーキング・アシスト」は、縦列駐車や車庫入れ時、センサーで位置を把握し、コンピューターが移動軌跡を計算し、正確な自動ハンドリングでピシッと駐車させてくれるものです。イスとはメカニズムが異なる点はありますが、
- 上からの視点の画像から位置を分析
- 自動操舵により正確に位置をコントロールして移動
という基本コンセプトは同じものです。
日産のHPによると、
とのことです。
なぜイスなのか?
技術の日産が、人生を面白くする
このイスは、一般市販される予定はありません。あくまでも、インテリジェント・パーキング・アシストの“イメージ”を伝えることを目的にしたプロモーション企画です。
世界的に自動運転システムの目指すところは、無人タクシーなど
「安全な無人運転」
に向かう傾向がある中、日産やトヨタなどの日本メーカーでは、
「ドライビングの楽しさ」を大事にしながら「よりよいドライブを助けるシステム」
としての自動運転の導入にこだわるコンセプトも持っています。
コンセプトムービーのメイキング編でも、
と、いっています。
【メイキング】INTELLIGENT PARKING CHAIR | Inspired by NISSAN
HPでも、イスにしたわけについて、
なんて表現しています。
イスを自動化してまできちんと並べようとする発想
確かに、このイス自動お片付けシステムは、見ていて実に「面白い」です。きちんと整列していく映像のスタイリッシュさももちろん凄い!ですが、それより何より、
「イスをいちいちきちんと並べる」
なんて所にこんなにもお金と労力をかけてしまう発想が、ぶっ飛んでいます。
「便利を追及するなら、もっと先に自動化してほしい作業がいっぱいあるでしょうに!」
って、たぶん世界の多くの人は思うでしょう。
だいたい会議の後のイスをそこまで徹底的に綺麗に並べなおしたりしなそう・・・。
海外のいろんな未来SFドラマを見ても、
- 転送装置とか、
- 物質瞬間複製装置とか
- 何でも分析してくれるセンサーとか
出てきますが、使用後のイスを整然と揃えてくれる機械なんて見たことないです。
日本人て、礼儀正しいんだなぁ・・・
「自動操舵で駐車する」面白さの表現として、イスの整頓がイメージに合った
というのが真相でしょうが、先ほどのメイキング動画の中では、
なんて解説されていました。
このまま読むと、
みたいに思う人も出てきそう・・・・まあ、当たらずも遠からずの所もありますが。
「日本人、礼儀正しすぎ!凄っ!!」
Uターンするときに切り返しが必要な場合ってあるよね。ああいうときに切り返さないでいいようにサイドターンとかまで自動運転でやってくれたら楽しそう・・・いやこわいか。