学校の水泳の授業のあと、U型の蛇口で目を洗いませんでしたか?
最近では「洗わない」が主流です。
- 「洗う」
- 「洗わない」
で、世代がわかってしまうかもしれませんね。
なぜプールの後で目を洗っていたの?
目の感染症の予防のため
プールでよく発症する代表的感染症は結膜炎と角膜炎です。細菌に感染し、
- 白目の表面に炎症を起こすのが結膜炎
- 黒目の表面が炎症を起こすのが角膜炎
です。これらの感染症から目を守るために、プールの後は洗眼が奨励されていました。しかし、目がとてもしみます。それに、コンタクトレンズは水道水で洗ってはいけませんよね。プール後に目を洗わなくなった理由はこの辺りにありそうです。
なぜ水道水で目を洗うとしみるのか
水道水には消毒のために塩素が入っています。この塩素が目の表面を傷つけることがわかり、プールの後で目を洗うのはかえって目の健康に良くないという風潮が広がりました。
学術的に証明された水道水洗眼の危険
2009年、慶応大学の眼科の研究チームが、水道水に含まれる塩素が目の角膜を傷つけることが実験証明し、アメリカの眼科の学会誌に発表しました。
どんな実験をしたの?
実験方法は、
- 生理食塩水
- 水道水
- 生理食塩水に塩素を加えたもの
を用意しました。生理食塩水は、脱水症状のときに水分補給に使われる、人間の体液と浸透圧が等しい0.9パーセントの食塩水のことです。
この3種類の水を用いて、50秒間ずつ被験者に目を洗ってもらい、その後で角膜の状態を調べました。
もっとも目を傷つけた「水」はどれ?
あなたは、どの水が1番角膜を痛めたと思いますか?
最も角膜を傷つけたのは、「3.生理食塩水に塩素を加えたもの」でした。
目のバリアを壊した「水」はどれ?
目の表面を保護するムチンという粘液が、
- 水道水
- 生理食塩水に塩素を加えたもの
で洗ったあとに減少したことから、「2.水道水」の洗眼も目の健康を損なうことがわかりました。
2つの実験結果からわかること
実験チームは水道水と塩素が目に悪い影響を与えると結論づけました。つまり、
- プールの中でゴーグルを使わず泳ぐ
- プールの後で長時間水道水で目を洗う
この2つは、目の健康に悪い影響を与えることがわかりました。
この結果をを受けて、日本眼科医会は、
- プールにはゴーグル使用が望ましい
- プールの後の洗眼は水道水で行って良いが、短時間とする
と言う考えを示しました。
プールでゴーグルなしで泳ぐのは目の健康に良くないと言う事は納得がいきました。しかし、泳いだ後に目を洗ってはいけない、と言われても、「洗う」派の世代には不安が残ります。
本当に洗わないで大丈夫なの?
学校のプールや遊泳施設のプールの水は、
- 飲んでも安全な水を使う
- 水は塩素で消毒する
ことが定められています。ですが、いくら塩素で消毒をして、ろ過装置で水をろ過しても、1度にたくさんの人が入るプールは体から流れ出た汗や、体についていた排せつ物が流れ出ています。それらが目に入っても洗い流さずにいるのは心配です。
プール後の正しい洗眼方法
人工涙液で洗う
「人工の涙?」
と名前にびっくりしますが、簡単に言うと、人工涙液は
「涙に近い成分になるよう作られた眼薬。」
です。ドライアイや疲れ目に使用されます。
それで目を洗い流してください。防腐剤無添加のものがおすすめですが、開封後は使用上の注意に書かれた日程内で使い切るようにしてください。
ゴーグルを使う
目に一番ダメージを与えるのは、「水道水」と「塩素」です。プールの水そのものですね。プールに入る時はゴーグルをつけて、目を守りましょう。
水道水で洗う場合気を付けること
人工涙液がない場合は、短い時間、たとえば10秒以内なら、水道水で洗っても深刻なダメージは残りません。ただし、洗眼やシャワーを浴びるときに癖で目を洗っている人は、その習慣を見なおした方が良いでしょう。
わかった!プールのあとに誰もが感動しちゃう映画を観て涙を流せばいいんだ!涙がでるほど笑っちゃうのもアリだね。これでもう水道水も人工涙液も不要!…なんだか自分で言ってて涙が出てきた。