2月から3月にかけ、春の訪れを告げるように咲きだす福寿草は、縁起のいい花として、昔からお正月飾りなどにも使われます。
まだ寒い中、土から顔をだした緑色の芽の上に黄色く開いた花は、見た目も可愛らしく、多くの人々に好かれています。
しかし一方で、非常に強い毒性を持っていることでも知られています。
福寿草は強い強心作用をもつ薬草
福寿草は漢方では心臓の薬です。根や根茎を干したものが使われます。
たった40mgで死んでしまう毒草
強心配糖体といわれる成分を多く含み、少しの量で強い強心作用を及ぼします。
同じ漢方のジギタリスの代わりとしても使われています。
しかし、その力があまりにも強すぎるので、少しでも用量を間違えると心臓麻痺を起こして死亡します。
危険度の高さから一般には「毒草」とされています。
福寿草の致死量は0.7mg/kgです。
体重50kgの人なら35mg、60kgなら42mgで死んでしまうのです。
恐ろしい急性の症状
危険量を摂取してしまうと、その8割の人は数時間以内に激しい腹痛を伴う嘔吐を起こします。
異常に興奮が高まり、錯乱性の迷妄や幻覚に襲われる人もいます。
てんかんのような発作を起こす人、頭痛や筋肉痛を訴える人、脱力感で虚ろになる例もあります。
放っておくと心筋に異常が生じて死に至ります。
この時、血中のカリウムの値が急激に上がっていますが、高カリウム血症になるほど重症度も高まっています。
どんな時に誤食してしまうのか
花の香りをかいだり、触った手から毒が体内に入ることはまずありません。
食べない限りそんなに心配する必要はありません。が、たまに誤って食べてしまう人がいます。
民間療法として自分で処方するのは危険すぎ
民間療法が今より一般的だった時代は、
という知識を伝え聞いた心臓の弱い人が、自分で根っこを煎じて飲んでしまう事故がたまにありました。
毒素の中でもアドニトキシンという強心作用の強い成分が水に大変溶けやすい性質を持っています。
干した根を煎じるなどすると、簡単に致死量のアドニトキシン溶液ができてしまいます。
フキノトウと間違えて食べてしまうことが多い
最近多いのは、早春の時季、山に山菜などを採りに行った人が、フキノトウと間違えて採ってきて食べてしまう例です。
花が咲くとまず間違えることはないのですが、芽が出たばかりの福寿草は、フキノトウと見た目が大変よく似ています。
発芽する時季も丁度同じなので、間違えやすいのです。
絶対の解毒剤はありません
福寿草の毒にやられた場合の処置法として、特に有効なものはありません。
高カリウム血症を緩和する薬を処方したり、不整脈などを正す対処療法を施しながら、からだが毒にもちこたえることを祈るしかありません。
透析などで強心配糖体を取り除くことはできないのです。
せっかくの縁起のいい福寿草です。
くれぐれも誤食しないよう、お気をつけください。
ほんまに気いつけや!
ふきのとうと間違えるケースが多いみたいやから注意やでぇ~