旧暦の正月(現在の2月)から黄金色の花を咲かせ始める福寿草は、おめでたい福を呼ぶ花として、日本では昔から縁起のよいものとされています。
花の咲く時季がとても長いので、長寿を象徴する花ともいわれています。
寿は一般的に「ことほぐ」つまり「お祝いする」という意味で使われていますが、もともとの漢字“壽”は「長生き」を意味する字でした。
幸福と長寿の“福寿草”ですね。
幸福と長生きから連想される花言葉
そんな福寿草は、花言葉も「福」と「寿」に基づいています。
「福」のイメージから生まれた花言葉
一番ストレートな花言葉は
幸福
です。
幸せを招く、祝福という意味もあります。
お正月飾りの寄せ植えに、よく福寿草と南天が使われます。
南天は音から「難を転ずる」ことを表します。
この二つを一緒にすると
難を転じて福となす
の意味になるわけです。
「寿」のイメージから生まれた花言葉
長生きすると、振り返りみる時間も長いものになっていますね。
そこで『思い出』『回想』という花言葉も生まれました。
永久の幸福
というのもあります。
ギリシャ神話に出てくる薄幸の少年の花
ところが、福寿草の花言葉にはもうひとつ『悲しき思い出』というものがあります。
福や寿からは連想できない意味ですね。
実はこれは、ヨーロッパで生まれた花言葉です。
死んでしまった美少年から生まれた
フクジュソウ属の学名・英語名はアドニス(Adonis)です。
これは、ギリシャ神話に出てくる少年の名前からつけられています。
美の女神ヴィーナスお気に入りの美少年でしたが、ある日森へ狩りに行き、イノシシの牙に突かれて絶命してしまいます。
アドニスから流れた血が赤い花になったのが、フクジュソウ属の花アドニスといわれています。
『悲しき思い出』の花言葉は、アドニスを追悼するヴィーナスの悲しみに由来します。
ギリシャの福寿草は深紅の花
あれ、福寿草って赤い花でしたっけ?って思いましたか。
そうです、日本にあるフクジュソウ属は、福寿草を始め、ほとんどが黄色い花を咲かせます。
一方、地中海沿岸に分布しているフクジュソウ属はアドニス・パラエスティナもしくはアドニス・マミロカルパと呼ばれる、可憐な紅色の花が咲く種類なのです。
アネモネに見た目がよく似ているため、日本で翻訳されたギリシャ神話の本には
と書かれているものもありますが、正しくはフクジュソウです。
同じ福寿草でも、日本と西洋で正反対の意味を象徴しているとは面白い事実です。
しかし、アドニスは類まれな美少年であったそうですから、彼の化身の花といわれると、それはそれで、なんとなく縁起は悪くないような気もしますね。
福寿草にはこんな意味があってんなぁ~
縁起が良い名前やのにな・・・