6月は
花菖蒲(はなしょうぶ)
が見ごろとなる季節です。
もともと東日本に自生していた種のようです。
戦国時代末期頃、花色の変わったものを選んで栽培種として改良し、その後江戸に持ち込まれると、品種改良が大きく進み、江戸時代中期には今の栽培品種の基礎が確立されました。
堀切に開かれた花菖蒲園は江戸の名所のひとつとなり、浮世絵にもたくさん描かれました。
近代に入り、開発が進んで花菖蒲園は縮小していきましたが、現在も残っている葛飾区の堀切菖蒲園と水元公園では、今も200種もの花菖蒲とあやめと杜若(かきつばた)を見ることができます。
菖蒲園は「しょうぶえん」じゃなくて「あやめえん」?
アヤメ科アヤメ属の3つの花
どちらも甲乙つけがたいほど美しいもの、優れたものを指して
という慣用句があります。
あやめと杜若は同じアヤメ科アヤメ属の別品種で、見た目がとても良く似ており、見分けがつけにくいのです。
花菖蒲とあやめもとても似ていますが、やはりこれもアヤメ科アヤメ属の別ものです。
ショウブはサトイモ科の植物
あやめは漢字で書くと菖蒲ですが、「ショウブ」と読むと、端午の節句で菖蒲湯を作るあの葉っぱのショウブのことになります。
これは、サトイモ科の全く別の植物です。
あやめの葉はショウブとそっくりなので、同じ字が充てられたようです。
俗称ではあやめと杜若と花菖蒲を合わせて菖蒲(あやめ)と表記することもあります。
そして堀切菖蒲園は、「あやめえん」ではなく「しょうぶえん」と呼ばれます。
紛らわしいですね。
いずれアヤメかカキツバタ・・・・?
あやめと杜若と花菖蒲 咲く場所と時季の違い
ショウブはアヤメ科とはまったく違う花が咲くので、実際見比べて見間違うことはありません。
5月人形と一緒に飾られている紫の花は、多くの場合あやめか杜若です。
露地ならば
あやめの開花は5月始め~
杜若は5月半ば頃~
が標準です。
花菖蒲が一番遅く、5月下旬から咲き始め、6月10日頃が一番見頃になります。
杜若は水中や湿地などの水辺を好み、あやめは乾いた場所に咲くので、庭先に咲いているのはあやめが多いです。
花菖蒲は水中にはあまり咲きませんが、乾燥に弱いので、やはりどちらかというと湿った所が好きです。
外側の花びらの根元の模様が違います
アヤメ科アヤメ属の花の形はとても特徴的ですね。
大きい花びらの根元のほう、幅が狭まっていくあたりの模様によって、3種の花を見分けることができます。
あやめ
網目のような模様があります。
杜若
網目がなくて白い斑紋(目)があります。
花菖蒲
黄色い目があります。
花菖蒲とあやめと杜若、聞いてみると見分け方は案外簡単です。
それよりも、菖蒲湯のショウブと花菖蒲が全く違う植物だと知らず、ショウブに花が咲いたのが花菖蒲やあやめだと思っている人は、少なからずいるのではないでしょうか。
花菖蒲は、葉っぱの菖蒲と別物だと意識して命名したように思いますが、あやめに菖蒲の漢字を充てた人は、もしかしたら葉の見た目から同じ植物だと思い込んでいたのでしょうか。
とりあえず、これからは堀切あやめ園と言うようにしようかな・・・。
「しょうぶえんでしょ」って言う人がいたら、「実はね・・・」ってウンチク教えてあげましょう。
まさケロンは、あやめって読み方しか知らんかったわぁ~
おんなじ漢字やのにちょっと違う花やねんな!
一つ賢くなったわぁ~