暦の上では、毎年6月11日頃が
入梅(ついり)
です。
これは字のまんま「梅雨入りする日」のことです。
暦に関係なく、実際の梅雨入りのことを「入梅」と表現することも多く、梅雨期間全部のことを指して「入梅」と言う人もいます。
一方で、梅雨明けのことを
と示した暦もありますが、最近はこの言葉自体がほとんど言われなくなり、カレンダーにも表記されていないことが多いです。
梅雨って日本だけ?
日本・韓国・北朝鮮・中国に起きる夏前の雨期
上空の偏西風がチベット高原を通ることで南北に分流し、それが日本の北東側にオホーツク海高気圧、南西側に太平洋高気圧を発生させます。
高気圧に挟まれた境目には前線ができ、前線が通る所では空気が上昇して雲や雨を作ります。
この時季は南北の高気圧の力が釣り合うため、前線が長く滞在し、雨期が続くことになります。
梅雨前線は日本から朝鮮半島・中国まで伸びており、この地域には昔から梅雨があります。
つゆの語源
日本では、この雨期のことをつゆと呼んでいるわけですが、由来は露からきているとか、梅の実が熟して潰れてくる頃を表わす潰ゆとか、諸説あります。
実は正確な語源ははっきりしていません。
漢字は中国語の梅雨をそのまま充てた説と、梅の時季の雨なので日本でも梅雨と書いていた説などがあります。
中国では黴(カビ)の生えやすい時季の雨という意味で黴雨(ばいう)と呼んでいましたが、カビだと気持ち悪いので、丁度実の季節の「梅」の字に変えたとされます。
正確には「メンユー」と発音されるそうです。
梅雨と入梅の使い分け
日本の梅雨入りの目安を定めた雑節「入梅」
じめじめして気持ち悪い、カビが生えやすくて困る、など、梅雨は迷惑な印象もありますが、昔から農業国であった日本にとっては、農作物の発育のためには大事な恵の雨です。
農作業(特に田植え)の目安にするために、梅雨のだいたいの時季を知る必要がありました。
昔は天気予報などありませんから、毎年の梅雨入り、梅雨明けの統計の平均から、だいたいの入梅・出梅を日本独自の季節の暦(雑節)に定めたのです。
昔の入梅は、二十四節気の芒種の時期の最初の壬(みずのえ)の日とされていましたが、現在は太陽の黄経が80度となる日が定義になっています。
放送用語では入梅は使わない
江戸を初めとした東日本では、暦の表現が好まれて梅雨期間を「入梅」と言う人が今も多いです。
一方関西では昔から「梅雨(つゆ)」が一般的です。
放送用語では、暦の入梅なのか実際の梅雨入りなのか紛らわしく、また日付と期間のどちらを表わすかあいまいになることも避けるために、「入梅」は使わず「梅雨入り」「梅雨」という表現に一本化しています。
もちろん、「出梅」は全く使っていません。
梅雨明けしない日本
最近、梅雨入りの時季も早い時、遅い時、期間の長い時、短い時の差が、年によってとても違っています。
特に梅雨明けの時期のバラつきは、梅雨入りに比べとても大きくなっています。
梅雨前線が停滞したまま立秋を迎え、東北地方などは梅雨明けしないまま夏が終わってしまうことも度々です。
梅雨明けする所も境目がはっきりせず、何日も過ぎてから
梅雨明け宣言
が発表されることにもすっかり慣れてしまいました。
こんな状況では、出梅の目安など無意味なのでしょう。
地球温暖化など、少しずつ気候が変わってきている問題と関係しているのかどうかわかりませんが、暦の出梅云々というより、梅雨明け。
いやむしろ、梅雨というはっきりした雨期そのものが日本の季節からだんだん消失していくのでしょうか。
「入梅」って言葉、初めて聞いたわ!
梅雨の終わりも、そのまま「出梅」って言うんやねぇ~
一つかしこなったわ。