日本列島、北海道を除きどこも
梅雨の最中の時期
です。
ジメジメとうっとおしい日々が多いこの頃ですが、木々の緑は日に日に色濃くなり、海開き・山開きを控えた行楽地も真夏の到来を今か今かと待っているようです。
梅雨入りの頃から花が目立ってきたタチアオイも随分と背が高くなってきました。
日本で一般に
葵の花
というとこのタチアオイを指すことが多いです。
こぼれた種などからも発芽しやすく、街中の道端などちょっとした隙間の地面でも元気に自生している姿を見ます。
丁度梅雨の時季が開花期となり、茎の下の方から順に開花し、高く伸びた先端まで花が付く頃梅雨明けを迎えます。
薬用植物として渡来したタチアオイ
東洋では生薬「蜀葵」
タチアオイは地中海沿岸から西アジアが原産という説が有力です。
日本には中国経由で渡来しました。
中国ではタチアオイ属の花は総じて
蜀葵(しょっき)
と呼ばれ、花や根を干して生薬として用いていました。
日本に来た時も薬用植物として持ち込まれたのが始まりです。
アオイ科の植物はどれも円く大きく開く花が美しく、タチアオイも当時から赤・白・ピンクなどの花を咲かせており、日本人はそこに目をつけてすぐに園芸用に改良を進めていきました。
現在では、もっぱら観賞用の印象がありますが、根は今も漢方薬の蜀葵根(しょっきこん)として胃腸薬や利尿剤として使われています。
西洋でも最古のハーブのひとつ
タチアオイの学名は
アルテア・ローズ
といいます。
アルテア(Althaea)とはギリシャ語のalthaino(治療)が語源となっています。
西洋でも、古代から薬として利用されてきた最古のハーブなのです。
大昔の頃は咳止め薬として用いられたそうです。
根を煎じることもありますが、現在では花をハーブティーにすることが多いようです。
ビタミンやミネラルが多く、疲労回復やリラックス効果も期待でき、肌にもいいとされています。
カリウムを多く含むため、利尿効果もあり、二日酔いやむくみの回復にも効果的です。
ヨーロッパでは柔らかい若葉を食用にすることもあるそうです。
アオイ科の他のハーブたち
生命力が強く、ミネラルなどの成分が豊富なアオイ科の植物の中には、世界各地で薬用として使われてきたものがいろいろあります。
食用のトロロアオイは抗炎症剤
トロロアオイ属の
トロロアオイ
は、根から抽出される粘液のネバネバが、和紙づくりに使われたり、食用としてかまぼこやそばのつなぎにされたりします。
漢方薬の黄蜀葵根(おうしょっきこん)として、胃腸薬にもなりますが、主に丸薬のつなぎ剤に用いられています。
花は天ぷらや酢の物として食用にされますが、抗炎症作用があり、乾燥させて粉末にしたものを水でといて火傷やおできに塗布すると効果があります。
水腫には服用するといいようです。
民間療法として、なたね油に花を漬け込み
美容と健康に最適のハイビスカスのハーブティー
フヨウ属の
ハイビスカス
の花には
- ビタミンC
- クエン酸
- りんご酸
などの栄養成分が豊富で、新陳代謝を促して美容や疲労回復に効果があります。
利尿効果や緩下作用もあり、ハーブティーにして飲むと胃腸の調子を整えて消化を促進し、便秘や夏バテの防止にもなります。
マシュマロの原料コモンマロウはのどのお薬
ゼニアオイ属の
コモンマロウ(和名はウスベニアオイ)
は、昔は根から取れるでんぷんがマシュマロの材料になっていました。
鎮静・消炎作用があり、乾燥した花をハーブティーにして飲むと、のどの痛みをやわらげ、咳止めや気管支炎の回復にも役立ちます。
梅雨から真夏にかけて、次々開花して私たちの目を楽しませてくれるアオイ科の花々は、美容や健康にもお役立ちのスグレモノハーブだったのですね。
目で楽しんで、ハーブとして取り入れて、見も心もシャキッと元気に夏を迎えたいものです。
葵っていわれると、ホンマに観賞用にしか聞こえへんけど、ハーブなんやねぇ~
めっちゃぎょうさん効果があるから便利やね!