初夏です。
ビールが美味しい季節がやってきますね。
この時期、ソラマメが一斉に市場に出回ります。
塩ゆでしたやつをチョイトつまんで指でキュッと押し、薄皮の切れ込みから緑色の豆がチュルッと顔を出したところをはむっと食べると、独特の青臭い香りが鼻いっぱいに広がります。
旬の旨味を噛みしめながら、グイーッと一杯・・・・・・
そんな絵ばかり浮かんでしまいます。
どちらかというと、居酒屋のサラリーマンのイメージというか、オジサンの友という印象が強い野菜です。
が、図鑑でソラマメを見て、いろいろな解説を読んでみると、なんだか乙女チックな印象の言葉が並んでいるんです。
そんな、ソラマメの知られざる真実に迫ります。
天に向かって伸びていく姿は空への憧れの象徴
漢字で書くと空豆、蚕豆
枝豆やさやえんどうなど他の豆のさやは、たいていぶら下がるようになりますが、ソラマメのさやは上向きにつきます。
空に向かっている豆だからソラマメと名付けられたそうです。
居酒屋のメニューなどでは
天豆(てんまめ)
と書かれていることも多いですね。
日本古来の野菜のような印象がありますが、実は外来種で、奈良時代に大陸から入ってきた作物です。
蚕豆の字があてられたのは中国語からきています。
上へ上へと手を伸ばすから、花言葉は「憧れ」
全部のさやがみんな上を向いているようすが、天に向かって手を伸ばしてるかのようです。
実ったばかりの時はシャンと天に伸びていますが、実が大きく重くなるにしたがい、だんだん頭を垂れるように、先端が下がってきます。
その姿は若い時ほど背伸びをしてしまう人間にも例えられます。
上ばっかり見て背伸びしている様子から連想したのか、花言葉は
憧れ
です。
マメ科の花は蝶の舟
パンダの目が見つめる薄紫の蝶
ソラマメの花は、実が大きい分、他の豆類に比べると大き目です。
種類で若干色は違いますが、日本で多い一寸豆という品種は、薄紫色の花弁に黒っぽい縦筋がたくさんあり、下側の左右対の花弁に真っ黒い(本当はとても濃い紫)目玉のような丸い模様が入っています。
パンダの目みたいという人もいます。
確かにつぶらな瞳でこちらを見つめているようにも見えます。
ちょっと蘭の花にも似ている豆の花は、蝶が羽を広げているように見えるので、蝶形花とも呼ばれています。
5枚の花弁は旗と翼が付いた船
豆の花の構造は、形の違う5枚の花弁が組み合わさっています。
上から被るような大きな一枚は旗弁、一番下に二枚貝が合わさるように左右対の花びらがめしべとおしべを包み込んでいます。
これが舟弁または竜骨弁と言われます。
舟弁をさらに左右から挟み込んでいるのが翼弁です。
蝶の正体は、旗を掲げている翼のある舟だったのです。
なんだかメルヘンの世界の絵を想像してしまいそうです。
油断してるとすぐ虫が付いちゃう乙女たち
メルヘンといえば、
ジャックと豆の木
の豆もソラマメでした。
茎がまっすぐ直立している日本のソラマメと違い、ヨーロッパの品種は蔓性のものが一般的なのかもしれません。
日本の民話の中にも、ソラマメがわらと墨といっしょにお伊勢参りにいく話かあります。
こちらを見つめる瞳のように見える蝶の形の花は、空へ憧れて船出する、翼のある一隻の舟・・・・・
いや、まさにメルヘンチックな光景が似合う植物だったんですね。
ソラマメは栽培する時気を付けていないと、アブラムシがたかってダメになってしまうそうです。
そんなに虫がたかりやすいなんて、やはり、ソラマメのイメージはオジサンではなく若き乙女たちが相応しいのかもしれません。
そら豆って、お酒のおつまみってイメージしかなかったけど、結構メルヘンチックなイメージもあるんやねぇ~
似合うんはおっさんだけやないってことか!