5月生まれ 花の豆知識

5月の誕生花はスズラン。って全然身近な花じゃないんですが

Written by すずき大和

5月の花、と聞くと、日本人は何を思い浮かべるのでしょうか?

端午の節句があるので、

  • 「アヤメ」
  • 「菖蒲(ショウブ)」
  • 「カキツバタ」

を上げる人は多いようです。

母の日も一大イベントですから、

「5月といえば、カーネーション!」

という人もいますね。

ガーデニングをやっている人は、真っ先に

  • 「バラ」
  • 「クレマチス」

と、答えるかもしれません。

誕生日の花=「誕生花」なんていうものもあります。

日本では、365日、毎日定められていますが、西洋では月ごとの誕生花が一般的です。

通称「花キューピット」として知られる日本生花通信配達協会(JFTD)では、一応、月ごとの誕生花も、日本版を定めて、発表しています。5月は

  • 「カーネーション」
  • 「スズラン」

となっています。カーネーションはともかく、

「5月の花がスズラン???」

「なんだかピンとこないなぁ・・・」

という人、少なくないんじゃないでしょうか。



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5月の花がなぜスズランなのか?

そもそも誕生花って気にしたことある?

月ごとに誕生石や誕生花を定める風習は、西洋で生まれたものです。近代になって、日本にも伝わり、日本独自の誕生石や誕生花が定められるようになりました。誕生石は比較的普及していますが、誕生花を意識することは、ほとんどないかもしれません。

誕生石は、宝石商が販売促進のために考えたものです。月の花のイメージは、どの国でも昔からいろいろありますが、誕生花と体系立てて定めたのは、やはり、花屋業界が販売促進を目的にキャンペーンしたもの、というのが始まりです。

で、販売戦略的には、自分の身の回りを飾るためのニーズより、贈り物として買い求める人のニーズに応え、どれを選んだらいいかオススメすることが大事になります。

日本では、宝飾品を(主に男性から女性へ)プレゼントする習慣は真似され、誕生石の知識は普及しました。が、花を贈る習慣は日常化しなかったため、誕生花の認識も広まらなかったのではないかと思われます。

花を象徴的に見る西洋文化

欧米では、男女間でも、友達や知人の間でも、何かにつけて花を贈り合う習慣があります。また、古代神話や伝説、宗教逸話等で、花は人の化身という話が多くあります。

“何かのメッセージの象徴に花をシンボライズすること”

が、昔から文化として根付いていた、という面があります。

19世紀に改めてすべての花の意味を「花言葉」として体系化することが流行り、誕生花の定めもそんな流れの中で発生、定着していきました。

日本のスズラン、西洋のスズラン

スズランは、広く北半球で自生していますが、日本原産のスズランは、ヨーロッパに普及しているスズランとは品種が違います。

日本のスズランは、東北や北海道などの高地に自生する花なので、もともと身近な園芸種ではありません。

現在、切り花で売られたり、園芸として庭などで栽培されている観賞用のスズランは、ヨーロッパ原産のスズランです。フラワーアレンジメントやガーデニングに関心がない人は、ほとんど直接触れることがないかもしれません。

一方、ヨーロッパでは、スズランは身近な山野に自生し、春の訪れを知らせる花として大変ポピュラーです。アメリカ、イギリス、フランスほか、欧米の多くの国では、5月の誕生花はスズランなのです。

日本の5月の誕生花にスズランが入ったのは、西洋の習慣をそのまま移行したものです。

西洋では幸福と純潔の象徴

スズランの日

ヨーロッパでは、古くから、寒冷地で雪が解け、ようやく春めいた頃に咲くスズランは、暖かな春の訪れを象徴し、幸福を運んでくる花といわれてきました。

キリスト教では、イエスが処刑された時、聖母マリアの流した涙がスズランの花になったといわれており、そこから、スズランは癒しや純潔の象徴でもありました。

イギリスやフランスでは、5月1日は

「スズランの日」

と呼ばれ、愛する人にスズランを贈る習慣があります。贈られた人は、

“必ず幸せになれる”

といい伝えられています。

これは、1561年、フランス国王シャルル9世が側近から幸せのシンボルとしてスズランを贈られたことに大変感激し、毎年宮廷の女性に国王からスズランの花を贈るようになったことが始まりといわれています。

スズランは縁起物

また、西洋の古い伝説では、森の守護神レオナードが、森で大蛇と3日間戦い、4日目に勝利したものの、満身創痍で倒れてしまいます。すると、森の精霊たちが、彼の流した血からスズランの花を咲かせて癒やしてくれた、という話が残っています。

そこからも、スズランは

『癒やし』
『平静』
『幸福』

を意味する花だといわれています。

そんなこんなの理由から、西洋ではスズランはとても“縁起のいい花”ということになっているわけです。

結婚式のブーケとしてもよく使われます。イギリスのキャサリン妃のウエディングブーケもスズランでした。

また、スズランの香水は「聖なる香り」といわれ、想い人にそっと振りかけると、自分に気持ちがなびくようになる、などという媚薬説まであります。

日本人には、馴染みが少ないスズランですが、そんなウンチクとセットでプレゼントするのも、印象的なアプローチになるかもしれません。

5月生まれの恋人や友人を持ったあなた、プレゼントに迷ったら、一度スズランの花束や、スズランを模ったアクセサリーなど贈ってみてはいかがでしょう。

まさケロンのひとこと

ヨーロッパに住んでたらスズランで春を感じることになるんだね~。見てると癒やされる。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。