毎年10月16日は、国連が定めた
「世界食料デー」
です。
世界の食料問題を考える日として、1981年に制定されました。
を目的としている日です。
21世紀現在の世界の食料問題
5秒にひとり、子どもが死んでいく飢餓
今、世界中で生産される食料の総量は、決して不足しているわけではないですが、開発途上国を中心に、約10億人が飢餓に苦しんでいます。
飢餓によって死んでいく子どもは、世界中で5秒に1人の頻度で発生しています。
片や日本のような先進国では、毎日何百トンもの食べ残しや賞味期限切れ、売れ残り食材が廃棄されており、生きるに足るだけの食料を得ることができない地域との差はあまりにも大きくなっています。
なぜ開発途上国に食べ物がいきわたらないのか?
開発途上国の多くは農業国で、多くが小規模な家族農業を行っています。
自分たちの食べる分と、現金収入のために周囲の地域に売る分だけを生産して暮しています。
大規模な灌漑設備(かんがいせつび)などもたず、雨水に頼った農業がほとんどで、異常気象の影響を受けやすくなっています。
極端に夏の降水量が減ったり、集中豪雨による災害の頻度が世界中で高くなってきている最近、家族農業地域の食料生産は減っています。
以前、日本でも記録的な冷夏で米が足りなくなり、輸入米が多量に出回った年がありました。
経済的に豊かな先進国は、海外から食料を輸入することができます。
しかし、開発途上国は、輸入で賄う経済力がありません。
灌漑設備(かんがいせつび)や品種改良を進める資金もないため、大型農場で輸出作物を大量生産する先進国農業との国際競争の場での差は開くばかりです。
グローバルな競争社会での力の差は自業自得?
開発途上国の貧しさはいつから始まったのか
開発途上国での環境悪化の原因について、焼畑農業が森林を破壊しているせいだとする説をたまに見ます。
しかし、灌漑設備(かんがいせつび)や土壌改良技術が今よりずっと遅れていた古代から近代まで、雨水と焼畑に頼る農法で自給自足生活をしてきた長い長い時代には、今ほどの飢饉や飢餓の日常化はありませんでした。
たまにくる自然災害による飢饉はあっても、長い目で見れば多くの地域が自給自足でうまく生きてこられた社会でした。
先進国で産業革命が進み、経済のグローバル化が進む過程で、開発途上国の問題は拡大されていきました。
先進国のツケと経済のグローバル化のシワ寄せ
昨今の異常気象の大きな原因は温暖化です。温暖化の一大要因は、これまでの工業先進国による二酸化炭素の排出です。
現在、地球の二酸化炭素の排出量の65%は、アメリカ、インド、中国、ロシア、日本、韓国、ドイツ・・・・など工業化による経済発展の恩恵を存分に享受してきた国々によるものです。
ちなみにアフリカ全土の排出量はわずか3%です。
先進国が招いた温暖化の被害を開発途上国が被っている形です。
また、輸出作物を大量生産しグローバルな市場での競争が進む現在、市場のわずかな変動が食料の値段を大きく引き上げることが少なくありません。
日本が世界中から米を輸入したあの年、国際的な米の価格が急騰し、穀物を輸入に頼る開発途上国の中に米を買えなくなった国がでました。
最近では、価格変動が大きな穀物を投機の対象とする金融ビジネスが生れ、価格高騰を狙った売り買いもされています。
先進国同士の駆け引きによる利潤稼ぎが、輸入食料の価格を引き上げ、開発途上国が買えなくなる状況を進めています。
2014年は国際家族農業年
家族農業が力を付けることが持続可能な発展の鍵
発展途上国の多くが穀物を輸入に頼るようになった原因は、植民地時代以降、自給自足の家族農業を廃して先進国向け輸出作物の巨大プランターに農村を作り変えたためです。
同じ作物だけを一つの地域で作ることは、異常気象や国際価格変動のダメージも大きくなります。
小さな規模でいろいろな作物を作る半分自給自足の家族農業は、持続可能な農業開発のモデルにもなるのです。
国連は、2014年を「国際家族農業年」と定め、家族農業への世界の注目を集めることを目的としたキャンペーンを展開しています。
家族農業従事者たちにも、品種改良や灌漑技術(かんがいぎじゅつ)を利用することができる環境を作るための支援をしていこうと、世界に呼びかけています。
世界の飢餓の問題は、先進国として、毎日大量の食料を廃棄しながら商品競争をして利益を上げ、発展途上国の工業開発に多額のODAを投じてきた日本(自給自足の農村を輸出品プランターに作り替える資金援助を多数してきました)の私たちとも、密接につながっています。
一人ひとりが今すぐ何かを変えられるわけではありませんが、せっかくの国際デーですから、食糧問題にちょっとだけでも関心を持ち、買い物する食品をどう選ぶことがどんな結果に繋がるのか、ほんのちょっとだけでも想像してみませんか。
「買い物する食品をどう選ぶことがどんな結果に繋がるのか」まさケロンも考えてみようと思う。