季節は秋から冬へと足を早めています。
毎日の食卓にも、冬ならではの美味しいものがいろいろ並ぶようになってきました。
鳥取の松葉ガニなど国産ブランドも有名なズワイガニは、11月から早春の頃が漁期であり、旬です。
輸入物が多いタラバガニは通年で食べられますが、脱皮後時間がたって殻が固くなっている冬の時期が、最も身が詰まっています。
白菜や大根などの冬野菜も甘味を増し、値段もだいぶ手頃になってきていますから、カニ鍋なんていかがでしょうか。
カニすき・カニちり・カニしゃぶ どう違う?
関東は寄せ鍋文化、関西は水炊き文化
関東ではどちらかというと「カニすき」を出すお店が多く、関西では圧倒的に「カニちり」が食べられています。
“すき”と“ちり”は何が違うかというと、
煮るスープの違い
です。
昆布だしに醤油やみりんで味付けしたスープで作る、いわゆる寄せ鍋がカニすきです。
“すき”はすき焼きの“すき”からきている通り、醤油ベースの味付けが一般的です。
たまに異なる味付けもあり、それは「カニ鍋」と呼ばれることが多いです。
一方カニちりは、昆布だしだけで煮る水炊き鍋です。ポン酢醤油などをつけて食べます。
野菜と共にカニも煮てしまうとカニちりで、殻をむいたカニ足をひとつずつだしにくぐらせながら食べるしゃぶしゃぶ風にすればカニしゃぶとなります。
昆布だし文化とカニ鍋の関係
カニ鍋には
昆布だし
が昔から定番です。
カニの風味を最も引き立てるだしは昆布だしと言われています。
昆布よりも鰹だしが主流の関東でも、カニ鍋には昆布だしを使います。
昆布は軟水のほうがより旨味が出ます。関西の水は軟水なので、昆布だし文化が発展しました。
だしそのままの風味がとてもよいので、食材と昆布だしの旨味を存分に楽しむ水炊きが鍋物の主流にもなったのだと推測されます。
関東の水は硬水であるため、昆布のだしはちょっと煮すぎると濁ったりえぐみが出やすくなります。
そのため、鰹だしのほうが主流になりました。
昆布だしが多いおでんや鍋物の場合は、だしだけではなくスープに味付けする寄せ鍋にすることで、昆布だしのデメリットを解決したのでしょう。
東西の鍋文化の違いはそのままカニ鍋にも繁栄されています。
ちなみに、ポン酢の消費量は、関東より関西のほうが倍くらい多いそうです。
まさに鍋の好みの違いを表わしていますね。
ズワイガニにする?タラバガニにする?
ズワイガニはカニの仲間・タラバガニはヤドカリの仲間
名前は同じカニですが、タラバガニは実はカニではなく、ヤドカリの仲間です。
そのため見た目もちょっと違います。甲羅の大きさはタラバガニのほうがとても大きいです。
足も太いですが、一見はさみを合わせて4対しかありません。
ズワイガニの足は細長く、5対あります。1匹の値段は大きいタラバガニのほうが高いですが、足の量を同じくらい用意すると、最高級のズワイガニと同じくらいの金額です。
味はズワイガニ、食べではタラバガニ
タラバガニは大きくて身もプリプリして食べ応えがあります。
が、
味は淡泊で、頭があんなに大きいのに味噌は食べません。
というより、
カニじゃないので味噌はほとんどありません。
ズワイガニは足が細くて1本の身の量は少なく、殻むきの手間は面倒臭いですが、非常に甘味のある身で、カニ本来の旨味を味わえます。
味噌も濃厚で美味なので、だしにあらかじめ味噌をといて鍋を作る人もいます。
カニすきならタラバガニ、カニしゃぶならズワイガニ
カニの旨味が濃いのはズワイガニですから、しゃぶしゃぶには素材本来の旨味がより楽しめるズワイガニのほうがオススメです。
煮込んだ時の歯ごたえの弾力があって食べでもあるタラバガニは、カニすきなど寄せ鍋にしたほうが美味しいでしょう。
ズワイガニもタラバガニも、日本ではとても人気のあるカニで、それぞれに美味しいです。
鍋にする時は、あらかじめ殻がむいてある足を使うと、殻むきの手間がなくアツアツのところをすぐに食べられます。
タラバガニは味噌を食べないので、足だけで売っているものを買う方が安くもあります。
冷凍ものでも生でも、たくさん出回ってくる時季、殻から出て来るだしの旨味も全部味わえるカニ鍋をぜひご堪能ください。
カニ鍋には、昆布だし! 関西人のほうがポン酢を多く使うんだね~。