宇宙

科学オンチもときめく宇宙の話/アンドロメダのハローって何?

Written by すずき大和

2015年5月の半ば、宇宙科学系の業界では

「アンドロメダ銀河のハローが予想外に大きい!」

というニュースで賑わっていました。

ん?「ハロー」って何??

科学オンチのド素人には専門用語ばっかりの記事はさっぱりわかりません。が、

「アンドロメダのハロー」

ってとてもそそられる響きです。

オンチでも、「はやぶさ」とか「皆既日食」とか聞くと、ちょっと胸躍ります。

宇宙って、そんな魅惑の力が秘められていると思いませんか。



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そもそも宇宙って何?まずはそこから

宇宙ができる前には何があったんだろう

小学生の理科で、宇宙の始まりは「ビッグバン」だと習いました。

何にもなかった空間で、物凄―――く大きな爆発が起きて、ガスとかいろんな物質が宇宙に飛び散り、それが時間をかけてくっついて星になり、星が集まって銀河になり、銀河が集まって宇宙になった・・・と、確かドラえもんも映画の中でそんな説明をしていました。

でもね、何にも無い所で、何が爆発したのか、それがずっとずっと気になっていました。

爆発で飛び散った物質は、爆発する前はどこにあったんでしょうか?

科学の進歩が解き明かしてきた宇宙の神秘

昔、ニュートンさんが「万有引力の法則」というのを発見してくれたおかげで、宇宙の星の位置や動きや大きさなどが、計算によって割り出せるようになりました。

計算をするコンピューターも、星を観測する望遠鏡も、科学の発展と共にどんどん精巧なものになり、一世紀前にはわからなかったことも、今ではずっとたくさんわかるようになりました。宇宙の成り立ちや歴史についても次々に解明されてきました。

特に、1990年に宇宙空間に打ち上げられた「ハップル宇宙望遠鏡」により、それまで地上からの観測では得られなかった様々な種類の詳細で正確なデータが得られるようになりました。

その結果、それまで考えられてきた宇宙についての仮説や解釈が大きく変わる部分もたくさん生じました。

その成果のひとつが、銀河系を取り巻く

「暗黒物質=ダークマター」

の存在を明らかにしたことです。

宇宙の大半は暗黒物質でできている

万有引力の法則とは、簡単にいうと、

物と物とは全て必ずお互いに引っ張り合う力が働いている

という原理です。

その力は物が大きく重くなるほど、お互いの距離が近くなるほど、大きくなっていきます。

地球上にあるものくらいの重さでは、働く力がとても小さいのでなかなかそのことに気付きにくいですが、宇宙の星一個のようなとてつもなく巨大なものになると、引っ張る力も相当に大きいものになります。

地球の重力も、地球というドデカイ星とその表面にあるものが引っ張り合う力なのです。

星と星の位置や動きなどは、周囲にある星々との間に働く引力の影響によって全て決まってきます。

だから、星の動きや距離や大きさなどは、計算して求めることができます。

宇宙の観測が飛躍的に進んだことで、私たちの存在しているこの宇宙の年齢が約137ないし138億歳だということがわかりました。

しかし、何もなかった宇宙に物質が飛び散り、今のような形に納まるには、今までわかった限りの物質だけではどうしても形成するのは無理だと計算されました。

そして、宇宙には目に見えて触ることのできる物質の何十倍もの“目に見えないけれど重さがある物質”が存在しているのだと考えられるようになりました。

それがダークマターです。この見えない暗黒物質の引っ張る力によって、この宇宙は今の状態で存在しているのです。

ビックバンの前に、最初にダークマターがあった

暗黒物質の正体や、どうやって生まれたのかは、まだ誰にもわかっていません。

いろいろな仮説が立てられたり、暗黒物質の存在を明らかにするための実験はたくさん行われたりしてきましたが、まだまだ謎だらけです。

わかっているのは、宇宙の始まりにも、ダークマターがあったこと。そのエネルギーが渦巻いて宇宙全体を加熱していました。

やがてエネルギーがとてつもない大きさとなり超高温・超高密度の火の玉となったのがビックバンの始まりでした。

ビックバン直前から直後までのわずかな間に、宇宙は超高温で急激に膨張しました。

その時、エネルギーの中から光の元の素粒子が生れて、“目に見える物質”が誕生しました。

素粒子が集まって陽子・中性子が、さらに集まって元素が生まれ、それが星やガスになって宇宙を作っていったのでした。

銀河は暗黒物質いっぱいのハローに包まれている

銀河の形と大きさ

私たちの太陽系があるのは「天の川銀河」の中です。

地球の上から見える星はほとんどがこの銀河の中にある星です。他の銀河はその外側にあるので、遠すぎでなかなか見えません。

アンドロメダ銀河は、天の川銀河の隣にある一番近い銀河です。真ん中がふっくら丸くてその周りを渦巻のようにアームが回っている形をしています。

光をうんと集めて遠くの暗い星も見えるようにできる望遠鏡で観測すると、斜め上から見た渦巻銀河の形が見えます。

円盤部分の直径は約20万光年で、地球から見ると満月を横に6個並べたくらいの大きさだそうです。結構大きいです。

でも肉眼では見えないって、やはり相当遠くですね。

アンドロメダ銀河のハロー

観測技術と計算技術が進み、アンドロメダに限らず、銀河には、この目に見える部分を包み込むように、球状に目に見えにくい物質が取り巻いていることがわかってきました。

この、目に見えにくい取り巻き部分が

「ハロー」

です。

ハローの中では、銀河の円盤に近い所には、恒星の星団がまばらに点在していますが、その外側にはガスが渦巻き、さらに外側には目に見えない暗黒物質が何十万光年も続き、全体で大きな玉のように銀河を包み込んで存在しています。

アンドロメダ銀河の周りにも、古い恒星が点在するハローの存在が確認されました。

が、近くて見た目が大きいので、ハローの全てを解明するにはかなり広範囲の空を観測する必要があり、とても時間のかかる作業でした。

で、ようやくこの度その大きさが判明したのですが、それが予測していたよりもはるかに大きい、円盤の端から100万光年を超える先まで広がる巨大なハローだった、ということがわかったのです。

見た目でいうと、満月100個並べたくらいということで、見上げる空の相当広い視野を埋める大きさだということがわかります。

ハローが大きいと何がどうなる?

宇宙はずっと膨張し続け、銀河の位置もそれに伴って動いているので、近い銀河がぶつかって合体してしまうことも度々起きています。

当然、中の恒星星団などの位地や動きにも大きな影響が出ます。

地球から250万光年離れた所にあるアンドロメダ銀河と私たちの天の川銀河も、実は、40億年後には衝突合体することが予測されています。

衝突により太陽系は銀河の外に弾き飛ばされてしまう、という分析もあります。

私たちの天の川銀河も、当然ながら膨大な暗黒物質を含むハローに包まれています。

その大きさは直径60万光年と言われています。

もしかしたら、また観測技術が進めば、2つの銀河のハローの先端の間の距離は、思っていたよりもずっと近い可能性もあります。

すでに今、ぶつかり始めているかもしれません。

それは大変じゃないか!

と、慌てることはないそうです。

太陽系に影響が出るほどに合体してしまう前に、約14億年後には、地球は水が干上がって生命が全て絶滅している状態になっているそうですから。

って、その方が大変じゃないですか!!

いや、宇宙って、やっぱりドキドキする世界です。

まさケロンのひとこと

最初アンドロメダ銀河が「こんにちは」するのかと思ったけどそうじゃなかったんだね。

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。