「超常現象」とひとくちに言っても、
- 心霊現象
- 超能力
- UFOとの遭遇
- ドッペルゲンガー
- タイムスリップ
- 呪いや祟り
・・・・などなど、方向性は多岐にわたっています。
現在の自然科学の知識では説明のしきれない現象は何でも
「パラノーマル」(paranormal:「超正常」という意味の英語)
でくくられてしまいますが、本当にありそうなことも、「これは嘘だろ」と思ってしまうようなことも、どっちもあるように思います。
そんな超常現象の中では、比較的信じている人が多い、というか、“あり”を前提で研究を進めている人の多い話題
「生まれ変わり」
についての考察です。
身体と別に魂がある、生まれ変わりの発想の出発点
生まれ変わりは古今東西世界中にある
生まれ変わりは「転生」ともいいます。死んだあと、新たに別の命に生まれ直してこの世に誕生することです。
生まれ変わりのエピソードは、大昔から世界中にたくさん残っています。
ほとんどが、自分が見たことも聞いたこともないこと、行ったこともない所の記憶があり、調べてみたら、何十年、何百年も前の全くの別人の経験と一致した、という内容です。
事故や戦争で亡くなった人が生まれ変わった場合、致命傷となった傷と同じ場所にあざがある、という例も多いです。
この手の話はちょっと検索すると、本当にいくらでも出てきます。
「生まれ変わり」と宗教観
生まれ変わりという発想の前提には、
という思想があります。
これは、世界中ほぼすべての文化に共通する死生観といえます。
死んだ後の魂がどこに行くのかは、文化や宗教観によっていろいろ違いますが、身体と一緒に魂も消えてなくなってしまうと考える社会はほとんどありません。
死んだ後の魂が死後の世界で安らかで幸せになる可能性を信じたり願ったりすることが、宗教にも直結しています。
仏教では、命は全て6つの世界(六道)のどこかに生まれ変わることをくり返す「輪廻転生」という考え方をしています。
現世での行いによって、次に生まれ変わる世界が決まってきます。
悪いことばかりした人は一番下の地獄道に生まれ変わります。
キリスト教でも、悪いことをしたり、神を信じない人は地獄に行きますが、天国に行けた魂は永遠の安らぎを得ることになっているので、生まれ変わりは否定しています。
一方、キリスト教が分かれた元のユダヤ教では輪廻転生の考え方がたくさん出てきます。
魂の存在ははどの宗教も認めていますが、魂の納まりどころはバラバラで、生まれ変わりの考え方も一律ではありません。
生まれ変わりを科学する?
生まれ変わりを前提として考える科学
世界中かなりの割合の人たちが、命が尽きると魂が身体を離れてどこかへいくと信じています。
こんなに根拠もなく信じているのは、本能的に存在を認知しているんじゃないか?と考えると、やっぱり魂はあるのかもしれません。
しかし、科学的には魂の存在ははっきり証明されていません。
社会倫理としては魂の尊重は大切にされています。が、科学的なアプローチで対処する問題ではない、ということになっています。
ところが、メンタルヘルスの分野では、資格も実績も社会的信頼もある精神医学の専門家の先生の中に、「退行催眠」という方法で前世の記憶を呼び起こし、それによって今抱えている問題の解決を図る、という治療方法を行ってきた人たちが少なからずいます。
「前世療法」
または
「過去世療法」
と呼ばれています。
精神医療の中で発見された生まれ変わり事象
キリスト教の国でも、生まれ変わりの話は多く、実は巷では信じる人もたくさんいます。
潜在意識の下に前世の記憶が眠っているという発想も昔からいわれていました。
心霊術や霊能力という立場で前世記憶にアプローチする例も多数試みられ、アメリカでは1970年代から80年代頃にチャネリングや瞑想法などと共にスピリチュアルな活動が一大ムーヴメントにもなりました(ニューエイジ運動)。
しかし、この頃はまだまだ前世の話はオカルトの分野でした。
生まれ変わりは科学的事象として認められる、と最初に世に発表したのは、アメリカの精神科医ブライアン・L・ワイス博士でした。
ワイス博士が、心的外傷(トラウマ)治療のために催眠療法を行っていた時、患者の潜在意識の中から生まれ変わる前の記憶を発見しました。
患者は、本人が知るよしもない昔の人の体験を正確にしゃべり始め、自分のトラウマの原因は前世にあるといったのです。
ワイス博士はこれらの事象を本にして1986年に発表しました。
催眠という科学的アプローチ
人は心理的に大きな苦痛を受けた時、その時の動揺や屈辱や痛みの記憶を無意識下に仕舞いこむ(忘れる)ことで、通常の生活に復帰しようとする性質があります。
しかし、忘れたつもりの心理的苦痛が、何かの折に(時には身体的な症状も伴って)再び現れることがあります。
それが「トラウマ」です。
アメリカでは、1958年から「催眠療法」がメンタルヘルスの治療として認められています。
潜在意識の中に眠っているトラウマの元となった記憶にアプローチし、その記憶を追体験することがトラウマの有効な治療方法になると考えられています。
「催眠」は意識を潜在意識レベルに導くためのテクニックです。
潜在意識に導いて、忘れていた過去の記憶を呼び起こす催眠が「退行催眠」です。
ワイス博士の退行催眠によって、患者は現世の過去の記憶を飛び越えて、前世の記憶まで辿り着いてしまったのです。
以後、催眠療法の延長線上に前世療法を考える心理学者や精神科医がだんだん出てきました。
生まれ変わりは本当にあるのか?
アメリカの現状
ワイス博士の発表は、退行催眠という科学的アプローチで生まれ変わりの事象の存在を証明している、と見る人はたくさんいました。
が、前世の存在も魂の転生も、科学的には未だ証明されてはいません。
退行催眠を受けて、本人が知るはずのない過去の記憶を正確に述べる人はたくさんいます。
また、しゃべれるはずのない外国語を話しだした人もいます。
そして、前世療法の成果があった例はたくさん報告されています。
が、一方で、退行催眠は欺瞞と見る人もいるし、出てきた前世記憶は作られた虚偽の記憶だという批判もあります。
実際にすべての前世記憶を真実と照らし合わせる調査までは行われていないので、その辺はまだ研究が甘いといわれるかもしれません。
日本の現状
催眠療法については、日本ではそもそも精神科の現場での取り入れに否定的な医師が多く、学問や研究としての位置づけもちゃんとされていません。
前世療法は行われていますが、催眠療法士のほとんどは医者ではありません。
中には、催眠を行う技術があっても、トラウマの追体験をした患者のホローをできる専門知識や技能が足りない人も少なくありません。
そのため、インチキや力不足の療法士にあたって、病状を悪化させてしまう患者も多いのです。
そんな状況なので、生まれ変わりや前世記憶なんて、誰も信じる人がいないんじゃないか、と思ったら、意外と多くの人が信じています。
日本は仏教国というより、土着の神様信仰が一番強い国です。
妖怪や生まれ変わりや動物の恩返しなど、超常現象じみた伝説を、実はとっても身近に感じているのかもしれません。
それでも生まれ変わりを信じる理由
ちなみに、私は子どもの時からずっと生まれ変わりを信じてきました。理由はふたつ。
- 魂が全て天国(または地獄)に行きっ放しだと、いつかいっぱいで溢れてしまうから。
- 水が循環するように、世界は限られた物質の使い回しで回っているから。
魂だってリサイクルされているに違いない。
ね、現実的な子どもでしょ。小さい時から物理好きだったんです。
宇宙には目に見えない暗黒物質がいっぱいあることがわかっている今、目に見えない魂が科学的に解明される日もそのうちくるような気がしています。
天国だって物理の法則があてはまるって考えるの、結構妥当ではないでしょうか。
目に見えない魂が科学的に解明される日がきたら、多くの人が「来世のために」って今よりもっとがんばれるかも。