北海道以外、日本中が梅雨に入る時季です。
お百姓さんにとっては大事な恵の雨の季節・・・なんていっていられない程、最近の夏場の雨の降り方はヤバいものがあります。
局所的な豪雨や竜巻などを伴う暴風雨が巻き起こす各地の被害のニュースを見ない年は、ほとんどありません。
雨の降り方と降る時間の予測は、農業者だけでなく、都市で暮らすサラリーマンや子どもたちにとっても、物凄く大事な危機管理になってきました。
子どもが靴を飛ばして「明日天気になあれ」なんてのんびり天気予報していた時代は、遠い昔・・・・?!
天気予報の発達の歴史
気象観測の始まりはガリレオの温度計から
科学的な観測データに基づいて、天気の変動を計算によって予測する天気予報が行われるようになったのは、19世紀になってからです。
17世紀初めにガリレオが温度計を発明し、その後水銀気圧計などの発明が続き、人類は科学的気象観測というものを始めました。
その後、観測地域がヨーロッパ中に広がり、データ量も徐々に蓄積されていきます。
1820年には、これらのデータを基に、地図に気圧配置などを書き入れた「天気図」が初めて作られました。
当初、データ観測の目的は、天気のしくみを科学的に解析していくことが主でした。
長年のデータの積み重ねを読み解きながら、気象の変化の方向の予測もだんだんわかるようになっていきましたが、当時はまだリアルタイムに広域の情報を集めることも、予想を瞬時に広範囲の人々に伝えることもできなかったので、間に合うように予報を出しようがありませんでした。
電報の発明が近代的天気予報の幕開けにつながる
1837年に電報が発明され、汽車で移動するよりも早くヨーロッパ全域の観測データを集めることができるようになりました。
これによって、リアルタイムの天気図を作成し、直後の天気予報を出すことが可能になったのです。
1850年代に各国で相次ぎ気象庁のような機関が設立され、1870年代には、ついに新聞などで天気予報が発表されるようになりました。
20世紀に入ると気象学は更に大きく進歩します。気象衛星が打ち上げられたり、コンピューターが導入されたりすることで、より観測の精度は上がり、科学的解析も進み、予測のための膨大な計算も瞬時にできるようになっていきます。
ラジオやテレビやIT技術の開発も進み、世界中でデータが共有されるようにもなりました。日本では気象予報士の資格制度もできました。
現在では、国の機関に留まらず、民間の天気予報会社も増え、よりピンポイントで細密な予報を知ることもできるようになっています。
近代的な天気予報が始まる前は・・・
経験の積み重ねが生んだ天気予報術
新聞やラジオで天気予報を知ることができるようになる以前は、人々は空の様子や身近な自然の変化などを経験と照らし合わせ、近々の天気の変化を予測してきました。
機械文明が生まれる前は、より、自然の驚異と対峙しなければならない機会は多く、農林水産業の生産性を上げることが、豊かさと直結していたのは世界中どこも同じでした。
天気を予報するための判断手引きが、数々のことわざのように各地で伝承されていました。
これらは
「気象伝承」
とか
「観天望気」
と呼ばれています。
科学的な原理が証明できる現象は、世界の異なる場所でも共通する伝承が残っているものも少なくありません。
一方、根拠があやしげなものや、迷信じみた言い伝えや占いのようなものもあります。
日本のことわざ、世界のことわざ
具体的に、どんな伝承がされてきたのでしょうか。
- 「夕焼けがでたら翌日は晴れ」
- 「猫が顔を洗ったら雨の前触れ」
- 「月に輪がかかって見えると雨」
くらいは聞いたことがありますが、他にどんなことわざがあったかな・・・と、
「観天望気」
でちょっと検索してみると・・・・出て来るわ出て来るわ、日本だけでも何十通りもいろいろな言い伝えがあり、それを紹介するwebページもたくさんありました。
海保のHPの中の紹介が得にボリューミーだったので、参考までにご紹介しておきます。
あまりの多さにびっくり!ですね。
昔の人の知恵袋って改めてすごいなぁと思います。
ま、中には
「夫婦喧嘩と北風は宵の口」
なんて、ことわざだかなんだか・・・みたいなのもありますが、「天気」の常識は生活に密着していた、ということはよく伝わる言葉が溢れています。
コンピューターより“カン”ピューター
観天望気は昔の天気予報ではない
ところで、なんで海保のページで観天望気を特集しているのでしょうか?
AI搭載の優秀なスーパーコンピューターで計算した予測であっても、実は今現在でも天気予報の的中率は80%程度といわれています。
データから計算される気象の変化の方向は、自然の何かちょっとしたことがきっかけで、一瞬にして変わってしまうことがたくさんあります。
現場でのイレギュラーな事態に臨機応変した予測は、机上の計算では追いつきません。
残りの20%の予測を確実なものに近づけているのが、実は観天望気をもとにした現場の判断なのです。
人間が積み重ねてきた経験の英知は、21世紀にもまだまだ通用しています。
天候の変化が即、命に関わる状況にある海上での活動には、正確な気象予測がとても重要です。
風や雲の流れや空気のちょっとした肌感覚、動植物の反応などから読み取るリアルタイムの状況から微妙な気象変化を察知して行動する能力は、海で働く人たちには必須のものなのですね。
天気占いも観天望気のうち?
最近の子どもは知らない子も多いかもしれませんが、靴(昔は下駄)を放り上げて、どっち向きに地面に落ちるかで天気を占う
「靴とばし」
これも、確率論的にはなかなか妥当な天気予報だったかもしれません。
- 「表が晴れ」
- 「裏が雨」
これが、全国共通の判断となっています。
横向きになった時の判断は、雪の降る地方と降らない地方で違っています。
降雪地では横向きは「雪」ですが、それ以外は「曇り」です。南国なら雪の確率はほとんどないので、妥当な判断でしょう。
実は“下駄”で占っていた時代は、横は「雨」で、かかとかつま先のどちらかを下にして縦に立った時が「雪」でした。これだと、確率的にだいたい合ってきそうです。
私の住んでいる所は、少子化が進む首都圏の中では、子どものいる家庭がとても多いほうの地域で、今も裏通りで子どもが道路に線を引いて遊んでいる姿など見ることができます。
が、この“靴とばし”は、ほんとーにとんと見なくなりました。
クレヨンしんちゃんを見ていると、今も時々靴とばしやっていますから、完全に絶滅してはいないと思います。
ただ、子どもが遊ぶ声や様子が邪魔で迷惑と感じる人が多い昨今、なかなか一般の道路や公園で安心して靴なんか飛ばせない社会になってきているのでしょう。
うっとおしい梅雨の時季、大人だってたまには思いっきり靴をぶんなげて、
「あーした天気になーあれ」
って叫んだら、きっとちょっと気持ち晴れそうなのになあ・・・・。
“靴とばし”のコツを教えよう!
靴が今にでも脱げそうなくらいのギリギリのところで止めて、あとは思いきり蹴るだけ!
なんだったら公園のブランコに乗って遥か彼方まで飛ばす気持ちで!