古生物・化石

恐竜絶滅は小惑星衝突のせいじゃない?ついにでた暗黒物質説!

Written by すずき大和

中生代、地上で栄華を誇っていた恐竜たちが、6500万年前に突然絶滅してしまったことは、小学生の間ですらよく知られています。

映画や漫画や子ども向けのSFやファンタジーでも、恐竜絶滅のドラマはよく取り上げられていますからね。

映画作品などに取り上げられることが多く、古生物学的にも有力視されている絶滅の原因に

「小惑星衝突」説

があります。

が、実際には、“これが真実!”とはっきり定められる証拠を伴っている説は、21世紀初頭の今もなおありません。



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ドラえもんの映画にもなった小惑星衝突説

6500万年前に何があったのか、どうしてわかるのか

「古生物学」というのは地質学の中の一分野です。

地層の中から発見される生物の化石から、大昔の地球に生きていた生物の生態や進化の歴史を明らかにする研究が古生物学です。

恐竜の化石が発見される地層は約2億3000年前から6500万年前のものに限られます。

この時代は、地球の暦でいうと「中生代」と呼ばれる期間で、その後の「新生代」の地層と中生代の地層との間には、「イリジウム」というレアメタルが含まれる地層があることが、世界各地で発見されています。

イリジウムは、地球のうんと深いところにある物質なので、それが地表にある程度積る状況というのは、火山の噴火などが考えられます。

しかし、局所的ではなく世界中で積もっている点から、大きな隕石が衝突して、衝撃で地球の表面が深くえぐられ、空中高く舞い上がった土や岩などの膨大なチリが地球を覆う雲のように世界中に広がり、それが徐々に地上に降ってきた、という状況が考えられました。

実際に、メキシコのユカタン半島付近の地下に、隕石衝突が原因でできた巨大なクレーターの跡があるらしいことも研究でわかりました。

舞い上がったチリは10年ほど太陽の光を遮り続けたため、地上の気温が下がり、多くの動植物が死滅しました。

巨大な恐竜たちも環境の変化に適応しきれず絶滅した、というのが、最もポピュラーな説として広まっています。

低温環境で生きられなくなったものもいれば、動植物が次々死滅し、餌がなくなって絶滅したとも考えられています。

小惑星バプティスティナ衝突説

1987年、ドラえもんの劇場版長編作品

「のび太と龍の騎士」

も、6500万年前の恐竜絶滅の謎がテーマになった映画でした。

当時は、「小惑星が衝突した」と推測されることが多く、映画のなかでも「彗星」が衝突していました。

観測技術も分析技術も日々進む中、2007年、衝突したものの正体は、

火星と木星の間にあった小惑星「バプティスティナ」が別の小惑星と衝突して分解し、その中のひとつの破片(直径約10km)が隕石となってユカタン半島近くに落下したもの

という説が発表されました。

以後、これが恐竜絶滅の犯人として一番有力視されるようになりました。

隕石衝突だけが原因といいきれない矛盾点

しかし、また更にいろいろな研究が進むと、隕石衝突説にもいくつか矛盾が浮かび上がってきました。

ユカタン半島付近に隕石が落下したのは間違いないとほぼ見られています。

が、地層のイリジウムの蓄積状態を見ると、

「1回の隕石衝突だけではこれほどの量にはならない」

と分析する学者が表れました。

10km以上の大きさの隕石が、十数年くらいの間に、続けて複数回衝突でもしないと、観測されているだけのイリジウムの蓄積にはならない、というのです。

しかし、短期間にそんな巨大な隕石が続けて落ちて来ることは、とても考えられません。

また、更に宇宙の観測技術と地質学の分析が進んだ結果、実際のバプティスティナが解体して衝突したのは、恐竜が絶滅するより1500万年前だったことが判明しました。

恐竜の姿の常識も変わってきました。

ドラえもんの映画の頃には、恐竜のからだの表面はうろこでおおわれていた、と考えられていました。

が、その後、体毛(羽毛)が生えていた種も複数いたとことが明らかになってきました。

これは、思っているより恐竜は寒さの耐性があったかもしれないということです。

中生代には氷河期も数回体験していますが、その間恐竜は絶滅することなく生き延びていたわけで、10年ほどの太陽光遮断期間だけで絶滅したのか、疑問が残る面もあるのです。

広がる憶測、わかる新事実、深まる謎

隕石衝突に次ぐ有力な火山噴火説

隕石衝突が単独犯人、とする説がだんだん怪しくなってきた中、イリジウムの蓄積原因としてもうひとつ考えられる火山の噴火に起因する説への注目が、このところ高まってきています。

6500万年前、世界中で火山活動が活発化し、激しい噴火が各地で一斉に起きたことで、火山灰等の風塵が地球表面を覆った、という説です。

隕石衝突後と同じように、太陽光が遮られた冬の時代が何年も続いたことで、恐竜その他多くの生物が絶滅した、と考えられています。

これは、地質学的には説得力のある説ですが、

「なぜ世界中で一斉に火山活動が活発化したのか?」

という点を説明できる確かな論がなかなか見当たりませんでした。

暗黒物質=ダークマター真犯人説

2015年2月、ニューヨーク大学のマイケル・ランピーノ博士が、最新の論文で

「恐竜の大漁絶滅の原因、太鼓の大規模な火山活動の原因は、暗黒物質によるものである」

という推測を発表しました。

暗黒物質とは、目に見えず、私たちの身体をもすり抜けてしまう物質で、観測することが不可能ですが、重力や光の進み方を計算していくと、確かにそこに何かが存在しているはず、と思われる物質のことです。

宇宙に存在する物質の85%はこの“見えないけどそこにある”暗黒物質、といわれています。

が、それが何なのかはまだよく解明されていません。

ランピーノ博士によると、地球を含む太陽系は3000万年周期で円盤状の銀河の中を通過しているそうです。

通過する際、銀河の重力と地球の重力が作用しあう現象が起きます。

ひとつの作用として、

「地球のコア部分に暗黒物質が蓄積される」

と博士は主張しています。

その蓄積から、大きなエネルギーが生まれ、このエネルギーが地球規模の大火山活動を引きおこした可能性があると推測されます。

また、博士は一方で、重力の相互作用の結果天体の軌道が乱れ、それがきっかけとなって巨大な隕石を引きつけてしまった可能性も示唆しています。

暗黒物質の正体がわからない今、これらの説も仮説の域を出ませんが、新たな方向性として考えていく部分でしょう。

まだまだあるいろんな仮説

なぜ恐竜は絶滅したのか・・・・いろいろな資料を検索すればするほど、その説もあまた表れてきました。

どれも完璧に証明もできないし、何らかの矛盾も抱えていますが、人間の探求心と発想の広がりは止め処ないものであることがわかります。

  • 隕石か火山のせいで太陽光が遮断されている間、オスしか生まれなくなって絶滅した説
  • 隕石の引力のせいで月と地球が近づき、月面の水が地球に降り注いで大洪水になった説
  • 中生代に繁殖していた裸子植物に変わり、被子植物が増加してその中毒にやられた説
  • 環境の変化の中で、新たな伝染病が地球規模で広がった説
  • 哺乳類が増加するにつれ、恐竜の卵が食べつくされてしまった説
  • 太陽の近くの褐色矮星(メネシス)が2600万年ごとに太陽系内に隕石衝突被害を起こす説

SF映画みたいな突飛な説も含め、いろいろな専門家がいろいろなことをいっています。

古生物学の解明が進んだ遠い未来、全ての地球の生命の謎が解き明かされる時がくるのでしょうか。

その頃は、地球以外にも知的生命体の存在が発見されているかもしれないし、銀河の外まで行ける技術も生まれているかもしれません。

とても夢のある話ですが、私たちはとてもそれまで生きてはいないでしょう。

どうしても生きているうちに知りたい人は、古生物学ではなく、タイムマシーンの開発を研究したほうがいいかもしれませんよ。

まさケロンのひとこと

人間の探求心と発想の広がりは凄まじい!そのうち「暗黒物質ゴーグル」が登場するに違いない!

masakeron-happy


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。