防災・減災

あなたの町の海抜は何メートル? 海抜の確認も大切な防災対策です

Written by 言祝(kotoho)

津波に備えるために

普段はあまり意識しないが、重要な数字である「海抜」

自然災害のなかでも地震はとくに甚大な被害を及ぼします。

東日本大震災を例に取れば、いまだに被災地は復旧の途上にあるといえるでしょう。

この震災で、とくにその恐ろしさを全国にしらしめたのが

「津波」

です。

先日、近所の森林公園を散歩していたら、ふと、このような表示が目につきました。

「この場所は海抜◯◯メートルです」

海抜とは、付近の海の海面からの高さのこと。

海が比較的近いこともあって、海抜は低いのだろうなとイメージしていたのですが、意外と低い数字だと思いました。

東日本大震災では津波の高さが最大で40メートルに達した地域があると聞いています。

単純に数字だけで比較できるものではないでしょうが、40メートルよりもはるかに低い、この地域の海抜から考えると、将来大きな地震が発生した場合、津波から身を守ることを考えなければいけません。

災害時の避難場所として、近所の公立高校が指定されているのですが、もし津波が発生した場合、その場所では危険な可能性があります。

筆者の住む地域は、おおまかに説明すると、北側が海で、南側が高台になっていますから、津波の規模によっては高台に避難しなければ、などと考えたりもしました。



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国土交通省も表示を推奨

いうまでもなく海抜の表示板は津波に対して注意をうながすためのものです。

普段はあまり意識することのない

「海面からの高さ」

を表示することによって、津波が発生した際、住んでいる地域にどれほどの影響を与えるのかを市民が判断できるよう配慮されています。

国土交通省も、標準的な表示形式などを策定し、海抜表示を推奨しています。

47都道府県のうち、海に面していない8つの県を除く39県が表示を実施しているとのこと。

筆者の住む地域の海抜は3メートルです。このため災害時避難場所とは別に津波の際の避難場所として

「津波避難ビル」

が市によって指定されています。

おそらく他の自治体においても同様の情報を発信しているはずです。一度ホームページ上で確認しておくことをお勧めします。

海抜の調べ方

自治体のホームページや、海抜情報に特化したページもある。

お住いの地域の海抜に関する情報を確認する方法としては、まず

「海抜情報表示板」

があります。

主要駅周辺や市役所・区役所など公共施設の近く、公園などの市民が集う場所にはたいてい表示板が設置されています。

また自治体のホームページでも確認することができます。

ウェブ上には海抜情報を発信しているページも有りますのでご紹介しましょう。


このページの特徴は日本のみならず世界の都市の海抜が確認できる点にあります。

使い方ですが、

  1. まず地域を選択し拡大表示させます。
  2. 左上にある「Sea level rise」から数値を選択します。
    (デフォルトでは+7メートルが選択されています)

例えば筆者の住む地域では海抜が7メートル以下なので、デフォルトのままではブルーの表示になります。

  1. 「Sea level rise」の値を下げていくと表示がブルーからグレーに変化していきます。
  2. グレーになった時点での値が海抜です。

視覚的に確認できるので、とても参考になるホームページです。

標高との違い

海抜は標高と混同されることが多いです。

標高も海面からの高さを表した数値ではあるのですが、基準が異なります。

海抜が付近の港や海岸などの水面を基準にしているのに対し、標高は東京湾の海面を基準にしています。

ただし海面の高さは一定ではないため、実際には

「日本水準原点」

を起点としています。

これは国会議事堂にほど近い

「憲政記念館」

の構内に設置されています。自由に見学することもできますよ。

海抜ゼロメートル地帯

海抜がゼロ、つまり海面よりも低いということはあり得るのでしょうか?

あり得ます。

埋立地であったり、地殻変動で地盤が低下するなどが原因です。

東京23区内では「江東区」「江戸川区」「墨田区」「葛飾区」の一部が該当します。

中部地区では濃尾平野に位置する一部の地域も海抜ゼロメートル地帯です。

これは地形の問題であって、ゼロメートル地帯は危険であることを強調する意図はありません。

各自治体はこの地形をしっかりと把握し、津波が発生した際の避難場所の選定を行っています。

備えあれば憂いなし

津波に対して安心できる海抜の値は?

では、津波が発生しても大きな影響を心配しなくてもいい海抜の値というものはあるのでしょうか?

40メートルだとする説がありますが、根拠はありません。

おそらく東日本大震災において40メートルの津波が発生したことに由来していると思われます。

結論からいうと、

海抜が何メートルあれば安心かという数値はありません。

津波を引き起こす原因は、ほぼ地震です。

海抜がある程度高ければ、津波のために避難する必要はないかもしれませんが、火災や住宅の倒壊、など命にかかわる2次災害に備えなければならないのは地域に限定されません。

海抜はあくまでも目安であって、いくつ以上なら大丈夫というものではないのです。

地震などの大きな災害への備えは必要といえるでしょう。

この場合、非常食や飲料水、懐中電灯などの物資面を蓄えておくことが優先されがちです。

もちろん必要なことですが、加えて地域の海抜、避難場所、さらには津波が発生した際の避難場所を確認しておくことも大切です。

ごく近い将来、関東地方を中心に大規模な地震が発生する可能性が高まっているといわれています。

もしこれが発生したら、東京だけにとどまらず日本全国に大きな被害や影響を与えます。

残念ながら自然災害を防ぐことはできません。備えあれば憂いなしとはよく言ったものです。「その時」が来ても落ち着いて行動できるよう準備しておくことをお勧めします。

まさケロンのひとこと

住まい周辺の海抜を知っておけば安心!とまではいかないけど、判断の材料になるだろうし、なにも知らないよりも落ち着いて行動できると思うんだ。

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筆者情報

言祝(kotoho)

映画オタク。日課は読書。最近は料理にハマっています。座右の銘は「好奇心を失ったら、そこで終わり」