と聞いて「むふふ・・・」とほくそ笑んでしまう人は、50代以上の皆さんでしょうか。
(これは、ウルトラセブンがウルトラの星に帰る時にいった言葉です)
明けの明星は、字の通り明け方のほんのわずかな時間しか見えない、夜空で最も明るい星(マイナス4等星)です。
正体は、金星。地球に一番近い内惑星(地球より太陽に近い惑星)です。
三つの明星
明けの明星・宵の明星
金星は、最も明るく見える星なので、昔の人は
「明星」
と呼びました。内惑星なので、いつも太陽の近くに見えるため、明け方か夕方かのわずかな時間しか見ることができません。
太陽の東側にある時は夕方に見える一番星となり、「宵の明星」と呼ばれます。
「明けの明星」は太陽の西側にある時、太陽よりちょっとだけ早く上ってきますが、夜が明けて空が白んでいくとともに見えなくなります。
明けの明星が消えた後、宵の明星が見えてくる前の“昼間”もずっと空に出ていることは出ていますから、望遠鏡を使うと日中も見ることができます。
真夜中の明星
金星の次に明るく見える惑星は木星です。外惑星で最も近いのは赤い星の火星ですが、木星のほうがずっと大きく色も白っぽいので、火星が地球に最も近づく時以外は、木星のほうが夜空では明るく(マイナス2等星)見えます。
マイナス4等星の金星よりは暗いですが、太陽を背にする夜の間、金星は見えません。夜中に最も明るく見えるのは木星となるため、昔はこれを「真夜中の明星」と呼ぶこともありました。
日本で地動説が一般に知られ、場所が毎日動いていく星々は地球と同じ惑星である、ということが理解されるようになる前は、宵の明星と明けの明星が同じ星だとわかりませんでした。昔は、“明星には「宵」「真夜中」「明け」の三つがある”と認識されていました。
近寄ったり離れたりする惑星
2015年夏の金星・木星大接近
惑星は、それぞれ太陽の周りを回る周期が違います。地球自身も公転していますから、地球から惑星を見た時、いつも同じ位置には見えません。他の恒星の位置と比べると、ちょっと不思議な動きで軌跡を描いて動いていく星が惑星です。
惑星の公転周期も天上の移動の軌跡もそれぞれ違うので、地球から見て惑星同士の位置関係は、近くなったり遠くなったり日々変わっていきます。
明けの明星・宵の明星が出ている時に、木星が同時に夜空に出ていることはよくあります。2つの明星が近い位置に出て、一望する視界に同時に入ることもあります。年に1回くらい、物凄く近づく「金星・木星の接近」現象も見られます。
2015年の7月には、角度にして0.4度に近づく“大接近”が見られ、天文関係では大きな話題になりました。その時は、夕方、宵の明星との大接近だったので、「ふたつの一番星」などといわれました。
秋には3惑星の競演
実は、2015年は、もう一回金星と木星の接近が見られます。
秋になって、金星は明けの明星に変わりました。10月末に向かい、明け方の空で金星と木星が近づいていきます。
最も接近するのは10月26日、1.04度の近さにまで寄って行きます。
1度前後の角度まで近づくと、望遠鏡でもふたつの星を一緒に捉えることができます。
今回は、少し離れた所に火星も見えます。この秋から冬にかけ、明け方の時間帯に東の空に三つの惑星が同時に見られることになります。
26日以後、金星は木星から離れて火星に近づき、11月4日には、今度は火星と0.42度まで大接近します。ついでに、11月7日には月に近づきます。
東洋でも西洋でも、占星術等では惑星の接近は、何らかのパワーを地球に及ぼすと考えられています。近づく惑星の数が多くなるほどその力は強くなるそうです。
力が働く方向が、吉なのか凶なのかはいろいろな解釈があるかと思いますが、冷え込みが進んでいく初冬の朝、ちょっと早起きして夜空の神秘のパワーを浴びてみたら、何かいいことがあるかもしれません。
この秋から冬にかけて、明け方の時間帯に「金星」「木星」「火星」の3惑星が同時に見られると・・・!これは早起きするっきゃない。