地震が与える影響
備える
2016年4月14日、熊本県を中心とした最大M7.2の大規模な地震が発生しました。多くの被害をもたらし、いまだに避難所生活を強いられている人々がいます。
日本は地震大国と呼ばれています。そして、時に、今回のように、大規模な地震がふいに発生し、人々の生活を脅かすのです。地層や火山の活動などから、首都である東京もいつ大地震に襲われてもおかしくないとする説もあり、首都圏に暮らす人たちのなかには不安を感じている人もいるかもしれません。
地震も含めて、大きな自然災害というものは、どんなに想像しても、実際にそれが発生してみなければ、どのようなものなのかはわかりません。特に被災後の生活、食料の調達や、電気、水道といったライフラインが断たれた状態での生活が、どのようなものなのかは、極論すれば体験した人でないとわからないと思うのです。
例えば、地震に対する備えとして誰もが思いつく「食料の備蓄」ですが、ライフラインが断たれる可能性が高いことを考えると、火やお湯を使うことが困難になるわけです。このことを前提として考えなければならない。
カップ麺などはお湯が必要になるから避けたほうがいい、では缶詰などが備蓄には適しているのか。よく考えて、備えを万全にしても、想定外のことが起きた場合、被災という限られた状況の中では、どのように行動したらいいのかが、なかなかイメージできません。
「東京防災」を読む
「使えるマニュアル」の無償提供拡大
「東京防災」というマニュアルがあります。
東京都が作成し、都民に無償配布した冊子のことで、地震を中心とした災害に対しての備え、そして被災後の生活のためのノウハウが書かれているものです。これが大変役に立つと評判を呼び、一部140円で東京以外の地域でも入手できるようになっています。
また、ホームページでも閲覧できるようになっていましたが、最近になり、Amazonなど電子書籍を扱っているサイトから、無料で入手できるようになったのです。早速入手し、読んでみました。
予想以上に充実した内容
読んでみて、強く感じたのはとても充実した内容だったことです。こういったマニュアルに対して「充実した内容」という表現は不適切かもしれません。「本当に役に立つ」災害マニュアルと言い換えることもできます。
自然災害、主に地震に対しての食料・飲料水を中心とした備蓄のノウハウに始まり、地震が発生した場合の避難のしかた、どのような場所が危険か、どこに避難すべきかなどが実にわかりやすく書かれています。
さらにライフラインが復旧するまでの生活に役立つ情報、具体的には簡易トイレの作成方法、食器や簡易コンロの作り方、さらにはパーティションや簡易ベッドを作るために必要なもの、新聞紙を応用した暖の取り方などがわかりやすいイラスト入りで網羅されていました。
「その後」に対してのノウハウ
東京防災」の内容は大きく分けると、
- 「災害に備える」編
- 「災害が起きた後」編
に分かれます。前者では家庭や職場などで行う避難などのシミュレーション方法が記載されていることが印象に残りました。
後者では先述したように、ライフライン復旧までの様々な具体的ノウハウが紹介されています。
東京防災が役に立つマニュアルである理由は「被災後のノウハウに重点を置いているから」だと筆者は感じました。このようなマニュアルは被災前の心構えや準備に重点が置かれがちですが東京防災は逆です。
被災後にどのように生活していくかが、抽象的ではなく具体的な形で紹介されています。復興のための支援制度と、その手続き方法さえも、ごく簡単ではありますが紹介されているのには驚きました。
必読の書
災害時の交通規制情報などは東京近郊に限られてしまいますが、内容のほとんどは東京以外の居住者にも十分参考になります。電子書籍リーダーなどを持っていなくても、アプリで閲覧できますので、スマホなどにダウンロードしておくことをお勧めします。
30年以内に首都直下型地震が起きる確率は70パーセントといわれています。東京防災は必読書といえるかもしれません
どんなにきっちり地震対策してたとしても、いざ大地震がきたときに「今までと変わらない生活」なんてありえないもんね。