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2033年問題/大安と友引のこだわりが止められない世の中、好き?

Written by すずき大和

21世紀の現代、政治や経済や日々の暮らしの中の大きな決断をするにあたり、

“科学的根拠の全くない「迷信」や「占い」を根拠に決めることは、正しい判断ではない”

というのは、当たり前のことです。と、建前上は思われています。

が、日本人は、「縁起がいい・悪い」という迷信が大好きです。

人が恣意的に適当にいい出した迷信だと、誰もが十分にわかっていることでも、

「縁起がいい」といわれればあやかりたいし、

「縁起が悪い」といわれることは避けようとします。

それは「気持ちの問題なんだからいいじゃない」程度のことに留まらず、時には会社や国の運命や人生に関わる判断を左右することだってあります。



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占い好きの日本人にとって、脅威の2033年

暦の占いにこだわる日本社会

「おおげさだなあ、イマドキ迷信気にして物事決めないでしょ」

「自分は、絶対迷信なんかに振り回されないほうだ」

と、思った人もいるかもしれません。

が、

  • もしあなたの親が死んだ時、「友引」にお葬式あげられますか?
  • もしあなたの子どもの結婚式の日取りを選ぶとしたら「仏滅」と「大安」どちらですか?

大安や仏滅、友引は、『六曜』という暦の占いです。

暦の占い=『暦注:れきちゅう』は、科学的根拠もなく、神様仏様にも関係ありません。が、今も多くの人が気にする迷信の代表です。

国が決めた昔の暦、世界共通今の暦

暦注は、江戸時代まで使われていた「太陽太陰暦」(旧暦)の暦の日付をもとに決められています。

旧暦では月の満ち欠けで日付が決まります。が、それだと毎年11日くらいずれていきます。そのため、約3年に一度「閏月」を入れて調整しています。閏月の入れ方他日付の決め方は、国によりルールに若干違いがあります。もとは中国から伝わりましたが、日本では、江戸時代に独自の暦を幕府が決めるようになりました。

近代に入ると、明治政府は「太陽暦」(グレゴリオ暦)に改定することを決めます。太陽暦は太陽の角度で決まるので、人が調整する必要はなく、暦を決める正式機関はなくなりました。

グレゴリオ暦になっても、長年の慣習はそう簡単に改められません。人々は、旧暦の日付にそって村の祭などを開催することをすぐには止めようとしませんでした。が、公式な旧暦を誰も発表してくれなくなったので、江戸時代に何回も改定された暦の最後のバージョン「天保暦」(1844年策定)のシステムを使って、非公式に旧暦を計算しました。それが、21世紀の現在まで続いています。

旧暦の2033年問題

旧暦は誤差もあるため、何年かごとに改定が必要でした。天保暦も、そんなに未来永劫使うことは考えずに作られています。案の定、来る2033年、策定から190年後に、天保暦の決め方では日付を決められない事態がくることがわかっています。

通常は概ね3年に一度閏月になる条件の月が訪れます。が、2033年夏から2034年春にかけ、閏月の条件に当てはまる月が3回訪れる予定です。誤差修正のため、どこかに閏月を入れる必要があり、カレンダー業界などが複数アイデアも出していますが、どれにするか、誰が決めたらいいのかわからない状況です。

閏月が決まらないと、暦注や中秋の名月・新年の日程も決められません。法曹界やブライダル、建築業界など、暦注にこだわる職種の人は困惑しています。このままでは社会に様々な混乱が生じるのでは・・・と心配されているのが、

『旧暦の2033年問題』です。

人のいうことに盲目的に追従する迷信深さ?

六曜記載のカレンダーの減少

現在日本では、暦注が書かれたカレンダーは激減しています。特に、自治体や官公庁など、公的機関発行のカレンダーからは省かれています。

「迷信に左右される気質が社会に育まれるのはよくない」

「行政が迷信を助長するようなことを後押ししてはいけない」

という判断が、現在先進国では常識化しているからです。

日本政府は、明治の改暦の時、暦注をすべての暦から排する決断をしています。

江戸時代、暦注は、今より細かく、時間帯や方角の吉兆まで規定していました。人々はそれに左右されて何事も決めていました。近代国家がこれではいけない、と考えた明治政府は、それまでの暦注の記載を禁止したのです。

が、人々はいきなり吉兆の判断ができなくなり、困惑しました。

そこで、カレンダー業者は、旧暦に基づく新たな占いを作ってこっそり暦に書き加えました。政府のお達しの抜け目をついて、迷信を継続するこの占いこそが、六曜です。中国の六曜とは別の、独自の解釈で急いで作った安易なものです。

みんながいっていることだから・・・

  • 科学的根拠がなくても、
  • 宗教とも関係なくても、

人が迷信に縛られるのは、人には

“他の人がいっていることに寄りすがってしまう”

習性があるからです。

多くの人がひとつの考え方を支持していると、そう思わない人にも大きな同調圧力が働きます。しかし、「みんながそうしている」けれど、それが正しいことかどうか、立ち止まって考えることはとても大事なことです。

六曜に振り回される業界がたくさんあることは、まだまだ日本が同調圧力に弱いことの象徴、という捉え方もできます。2033年問題を機に、

「いっそ旧暦使うの止めよう!」

というのもひとつの考え方かもしれません。

中秋の名月は、太陽暦の9月の十五夜にしても、そろそろいいかも・・・。

皆さん、どう思いますか?

まさケロンのひとこと

「大安」とか「仏滅」とか、どうしても気にしちゃうよね。みんなが気にしなければいいんだろうけど、「誰か」が気にするからって結局みんなで気にしなきゃいけない。なんだか悲しいな〜。

masakeron-sorrow


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。