音楽・ミュージカル

変わったミュージカル!せりふ全部が歌、愛されB級、人形のR18

Written by 畑中ことり

ミュージカルといえば、

  • 音楽
  • せりふ
  • ダンス

が舞台の上で融合したエンターテインメントです。

音楽とシナリオは違えど、基本のスタイルは変わりません。ですが、そんなミュージカルでも、一風変わったミュージカルがたくさんあります。



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せりふが全て歌

シェルブールの雨傘

『シェルブールの雨傘』は1964年にフランスで、最初は映画として発表されました。カトリーヌ・ドヌーヴの出世作でもあります。

「ただいま。」

「おかえり。」

といった日常会話の全てにメロディがついた歌になっている、ある意味、完全なミュージカルです。

画期的な映画形式だったこと、映画音楽家だけでなく、監督、俳優としても有名なミシェル・ルグランによる音楽が大好評だったため、世界中で大ヒットし、舞台化されました。今も世界各国で上演されています。

ストーリーは戦争で引き裂かれた恋人たちの別離と悲しい再会、といったところでしょうか。筆者は映画版と舞台の両方を見たのですが、音楽もシナリオも、いかにもフランスといった雰囲気です。

奇抜なロック・ミュージカル

ロッキー・ホラー・ショー

ロック調のミュージカルはたくさんありますが、その中でもっとも奇抜でカルト的な人気を誇るのが『ロッキー・ホラー・ショー』です。

初演は1973年、ロンドンの小劇場でしたが、熱心なファンを獲得し、世界進出。低予算で作られたミュージカルだったのが、人気が出たことを受け、有名なミュージシャンを起用した映画化の話が出ました。

しかし、監督はこれを拒否。あえて劇場版のオリジナルキャストを起用し低予算映画にしたなど、製作者側の強いこだわりを感じます。映画公開当時の評価は最悪でしたが、またもやファンをじわじわと獲得し、1975年の映画公開から今日まで、常に世界のどこかで上演されています。

ストーリーは森の中で車が故障し、困ったカップルが、怪しげな屋敷に迷い込むところから始まります。このように、奇をてらうようでいて、ホラーものの様式美を守っているところや、当時の流行ものを徹底的に排除した結果、いつまでも古くならず、長く愛される演目になりました。

観客が映画の登場人物のコスプレをし、ダンスシーンでは一緒に踊る、参加型ミュージカルの元祖です。日本では古田新太さん、ROLLY(ローリー寺西)さん主演で上演されました。

人間と人形の共演

アベニューQ

ミュージカルに人形が登場することは珍しくありません。ですが、『アベニューQ』がわずか5カ月でブロードウェイに進出したのは、その斬新さのためです。舞台ではパペット(操り人形)が歌って踊るのですが、面白いのはパペットを操る役者も一緒に舞台に登場し、演技をしていることです。

筆者が在米中、地元の劇場で『アベニューQ』が上演されることになりました。なんの予備知識もなく、大好きだったセサミ・ストリートを彷彿(ほうふつ)させるパペットたちにひかれ、チケットを申し込んだら既に完売でした。

しかも、

「このミュージカルは子供向けではありません。」

「あなたのお子さんを連れてきてはいけない」

と注意書きもされていて、いったいどんなミュージカルだろうと調べてみたところ、

  • セサミ・ストリートのように、パペットと人間が共存している世界
  • しかし、テーマは恋愛、失業、インターネット、人種差別、同性愛といったリアルなテーマ
  • 重いテーマ、毒のある脚本が、かわいらしいパペットが演じるとコミカルな仕上がりに
  • パペットを操る役者の演技と相まって、コミカルなだけでなく、深みのあるエンターテインメントに
  • 音楽が素晴らしい

さらに、

  • セサミストリートと同じパペットクリエイターがスタッフとして参加
  • 2004年、『ウィキッド』」を抑えトニー賞「最優秀ミュージカル賞」「最優秀脚本賞」「最優秀原作賞」3部門を受賞

という話題性にも事欠かない、新しい形のミュージカルです。

まとめ

『シェルブールの雨傘』は、ありふれた男女の別離を美しいメロディにのせ、ドラマティックに仕上げたのは、「さすが芸術の国フランス!」です。

『ロッキー・ホラー・ショー』は、好きか嫌いかがはっきりと別れるミュージカルです。ストーリーよりも、作品そのものを楽しんでください。この2つのミュージカルは映画としていつでも楽しむことができます。

残念なのが『アベニューQ』です。サウンドトラックは日本でも発売されていますが、日本公演は2010年の1度だけで、DVDなど、映像化はされていません。

ブロードウェイでの公演はいったん終了したのですが、2009年にオフ・ブロードウェイでの公演が再開しているため、「ニューヨークでミュージカルを!」と、お考えの方は『アベニューQ』もリストに加えてみてはいかがでしょうか。

まさケロンのひとこと

リアルなテーマをコミカルに仕上げることでとっつきやすくしてる『アベニューQ』が気になって仕方がないんだけど、ん〜ニューヨークまでいく予定が、、ない!!!!

masakeron-sorrow


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筆者情報

畑中ことり

関西在住です。あれ?と思ったことはすぐにスマホで検索する検索番長。ガジェット好き。サブカルチャー好き。アメリカに4年ほど住んでいて帰国したばかり。英語を忘れないためTOEIC600点目指して勉強中です。