お酒の豆知識

ここまできた!ノンアル飲料。英国でノンアルコール蒸留酒発売!

Written by すずき大和

日本でも海外でも、近年、健康志向に呼応して、

また妊婦やドライバーでもお酒の集まりを楽しめることを謡って、

いわゆる“ナンチャッテお酒類”

「ノンアルコール飲料」

の人気が年々高まっています。

初めはノンアルコールビールが商品の主流でしたが、最近では、ワインやカクテル、本醸造の日本酒もどきまであり、ノンアル飲料を更に清涼飲料水などで割って飲む人も増えています。

2016年秋、イギリスではついに

“世界初のノンアルコール蒸留酒(スピリッツ)”

が発売され、爆発的人気なのだとか・・・・。

って、ノンアルの蒸留酒って、いったい何?



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ノンンアルコール飲料はお酒扱いされるもの?

酒とノンアルコールと清涼飲料水とソフトドリンク

日本の酒税法では、

“アルコール度数1%以上の飲料”を『酒類』(英語ではAlcoholic beverage)

というので、「ノンアルコール酒」という言葉自体、本当はとっても変なものですよね。

食品衛生法では、

“アルコール分1%未満の飲料”(乳酸菌飲料と乳製品を除く)は『清涼飲料水』

と定めており、

  • 炭酸飲料
  • ジュース
  • コーヒー飲料
  • お茶飲料
  • ミネラルウォーター
  • 豆乳

などなどほとんどの飲み物はここに入ります。

『ソフトドリンク』の法的定義はなく、日本では、一般に乳酸菌飲料や乳製品も含むお酒じゃない飲み物全部を指している場合が多いです。(アメリカでは炭酸飲料のことです)

『ノンアルコール飲料』も法律用語ではありませんが、概ね清涼飲料水と同じ定義で説明されることが多いです。法的には清涼飲料水扱いですから、もちろん未成年やドライバーが買うことも飲むこともできます。

ノンアルコール飲料に求められているもの

ひと昔前は、ジュースやカルピスやウーロン茶のことを「ノンアルコール飲料」と呼んでいた気がしますが、「ノンアルコールビール」が世に出現してからは、

“お酒の味わいを真似た飲料”

“お酒の代わりに飲んで、お酒を飲んでいる気分になれる飲料”

のことをあえてそう呼んで、一般清涼飲料と分けて表現するようになってきました。

ビールや日本酒、ワインなどの醸造酒は、独特の風味があり、アルコール分1%未満の偽物でも、同じような味わいの飲料なら“お酒っぽい”気分が楽しめるのはわかります。

が、蒸留酒を割ったチューハイなどのカクテルの中には、もともと飲んだ感じはほとんど清涼飲料水と変わらないテイストのものもあり、

「酔っぱらう要素がないなら、普通の清涼飲料水と同じじゃない?」

という気もしてしまいます。

実際、成分的には清涼飲料水商品と全く変わらないものも多く、そうなると、もうパッケージと宣伝で「お酒」の雰囲気を醸し出しているに過ぎないともいえます。

まあ、求められているのはあくまでも「お酒を飲んだ気分になること」なので、「演出」要素が一番大事で、お酒の味かどうかはあんまり問題じゃないのかもしれません。

ノンアルコールスピリッツは蒸留酒ではないオリジナル飲料

蒸留酒とスピリッツ

海外のノンアル人気も同じようなニーズから発しています。

スコッチウイスキーの生まれたイギリスとして、蒸留酒っぽいノンアルコール飲料が生まれたのは自然な流れだったのかもしれません。

『蒸留酒』とは、

  1. 『醸造酒(何かを発酵させて作ったお酒)』を一定温度で加熱し
  2. 気体として出てきたものを集めてまた液体に戻す

という方法(蒸留)で作るお酒です。

ポピュラーな例

  • 日本酒を蒸留 →「焼酎」
  • ワインを蒸留 →「ブランデー」
  • ビールを蒸留 →「ウイスキー」

日本では、風味の成分がほとんどなく、アルコール度の特に高い、

  • ジン
  • ウォッカ
  • テキーラ
  • ラム

の4種類は、特別に『スピリッツ』と呼びます。

イギリスでは、特にアルコール度数の高い蒸留酒なら、ブランデーやウイスキーでもスピリッツです。

蒸留は元来薬を作る方法

イギリスで300年続く農家に生まれたBen Bransonさんは、1651年に記した本から、昔はハーブ等を蒸留することで、多くの薬を作っていたことを知ります。発酵した植物から蒸留した薬にはアルコールが含まれるものもあり、それが蒸留酒として嗜好品になっていった歴史がありました。

Bransonさんは、もとは薬なのにそれが元でからだを壊す人がいる現状に懸念を抱き、

「ノンアルコールの蒸留飲み薬が存在したことをもう一度みんなに思い出してほしい」

という気持ちから、植物の味や香りのする液体を蒸留する実験を始めました。

そして生まれた飲み物が『SEEDLIP』です。

6種のハーブから作るノンアルコール蒸留酒

Bransonさんが試行錯誤の末に作り上げたレシピは、世界中から集めた6種のハーブを蒸留するものでした。

試しに商品化すると、その

“豊かな香りや味わい”

“オーガニックでヘルシーなイメージ”

は瞬く間に評判となり、ヒット商品になりました。

今では30を超えるミシュランの星付きレストランで提供され、世界最大の酒造会社からの資金援助も得ました。

スピリッツと称していますが、Bransonさんは、

「SEEDLIPは蒸留酒を真似ているわけではなく、全くオリジナルな飲料なんだ」

「母なる地球は、優雅で貴重かつ独創的。最高級の素材を収穫し、自然の真の精神を体感するために蒸留しているんだ」

といっています。

昔の人の知恵を掘り起こし、新たに開発したノンアルコールハーブスピリッツ、今後もグローバルに商業展開されるようで、日本で買える日も近そうです。

まさケロンのひとこと

思ってた以上に上品でびっくりした。こりゃ試してみたいな~!

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。