1月生まれ

早生まれはかわいそうじゃない!昔は1月生まれが一番多かった

Written by すずき大和


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高齢者の介護福祉施設などで開催されている誕生会を覗くと、1月生まれの誕生会が一番賑わっていることが多いです。一方、幼稚園の誕生会では7、8、9月生まれのお友達が他の月よりたくさんいる場合が少なくありません。

日本人の月別の出生率は、いつの時代にもバラつきが見られます。

最近は、7~9月生まれの子供が、他のシーズンより多い傾向が続いています。しかし、これは昭和40年以降に急激に進んだ状況で、それまでの時代は、圧倒的に1、2、3月生まれの日本人が多かったのです。特に昭和の初めは1月生まれが突出して多い時代が続いていました。



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誕生日は親の都合で決まった

出生に関する統計

厚生労働省のHPで見られる、国勢調査データを元にした人口動態統計資料の中に、明治32年から最新の2012年までの

「月別にみた出生率(人口千対)」

の動向をグラフにしたものがあります。


これを見ると、戦時中までは、1、2、3月の出生率が他の月より一段高い所にあります。大正期は3月生まれが一番多く、昭和に入ると1月生まれが突出して1位に出ます。現在の老人ホームに、1月生まれの人が多いのも納得です。

戦時中までの日本は農業国です。

夏から秋は農繁期にあたります。収穫を終えると、今よりずっと厳しい冬を越す支度に追われ、寒さを乗り越えて春を迎えると、ようやく身も心もゆったりと休まる季節が訪れます。そんな春に妊娠する人が多かったので、1~3月に出産ラッシュになったわけです。

行政に届け出された出生日

終戦直後の頃まで、日本では病院で出産するケースは稀で、ほとんどが自宅出産でした。医者の出産証明書などなく、親の自己申告で役所に出生を届けていました。

なので、実際の出生日と、届け出た誕生日が違うケースはたくさんありました。

  • 農繁期に出産しても忙しくて、暇になってから届けた
  • 長男が生まれた後で、先に生まれていた姉を妹として届けた
  • 年末近くに生まれた子は、年明け後に届けた

3番目の例が、1月生まれが突出した原因のひとつです。

2番目を補足すると、男尊女卑が当たり前の時代は、女の子が生まれるとがっかりする戸主(父)も少なくありませんでした。特に第一子が女の子だと、長男が結婚する時に姉がまだ嫁に行っていないと体裁が悪い、と考える人もいて、しばらく手続きは捨て置かれたのです。

早生まれは嫌われていなかった

数え年と満年齢

今よりもっともっと赤ちゃんの死亡率が高かった昔、一年を生き延びることは、もっともっと祝福すべきことでした。人々は、「歳」は、神さまがくれる賜物だと考えました。

「歳神(としがみ)様」は、毎年お正月にすべての家に訪れて、みんなに新たな一年の命を授けてくれる神様です。だから、人は、誕生日ではなく、お正月にみんな揃って歳を取りました。

誕生日ごとに加算される「満年齢」に対し、お正月ごとに1才歳を取る数え方は、

「数え年」

といいます。

数え年は0才ではなく、1才から始まります。何月に生まれても、初めて迎えるお正月には2才になります。

明治になって近代的な法ができた時、政府は、数え年を止めて満年齢で数えるように、と通達しました。が、庶民の習慣はなかなか変わりませんでした。みんなが満年齢のほうを使うようになったのは戦後のことです。

早生まれは憧れだった

昭和40年頃から急に夏生まれが増えて、1~3月生まれの子が減っていった原因は、

  • 日本が工業国として経済成長する時代となり、農繁期の影響が小さくなった
  • 住宅環境が良くなり、冬の厳しさが緩和された

などにより、妊娠しやすい時期が春から秋に移行したため、と考えられています。

同時に、社会の中に「早生まれは不利」という気運が広まり、妊娠期をある程度コントロールできるようになったことで、1~3月生まれを避ける親が増えていったのです。

戦後、兄弟の数が減り、少ない子供を大事に育てるようになりました。小さい時には、生まれ月が遅い子は早い子に比べどうしても成長が遅れて見えます。それを気に病む風潮が生まれました。

戦前も同じように、暮れに生まれた子は、年明けすぐに2才扱いされて、ちょっとかわいそうなところもありました。しかし、小学校は戦前も満年齢6才で入学しましたが、兄弟が5人も6人もいた時代は、幼少期の成長格差をそんなに気にする親はいませんでした。むしろ、

“数え7才で入学するほうが、数え8才で入学するより早く学び始められる”

ことを喜ぶ気運のほうが強く、「七つ行き」は逆にかっこいいものでした。

そのため、暮れに生まれた子も、年明けしてから届けを出す親が多くいたのです。

少子化で、なおかつ待機児童問題深刻な現代、早生まれのほうが保活に苦労したり、児童手当等の総額が少なかったりするのも事実ですが、近年あまりにも

「早生まれに産んだら、子供がかわいそう」

といわんばかりの雰囲気が世の中に高まっています。これでは、早生まれの子供本人や親を苦しめる強迫観念化しているといえるでしょう。昔の人のポジティブでおおらかな発想が、ちょっとうらやましい気がします。

早生まれで生まれてくるすべての子供たちが、最大限の祝福を受けて育っていける社会になりますように。

まさケロンのひとこと

免許とれるようになるのとか、誕生日関係なくしてほしいよね。かわいそうと思われない社会づくりって、そんなにハードル高くないような気がする。

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。