政治・経済

芸能人の政治的発言は、なぜ炎上するのですか?

Written by すずき大和

令和元年、まもなく参議院選挙が行われる夏の初めです。

直前に出てきた

「年金2000万円不足問題」

が、世間で話題になっています。スクールバスを待つ子供が刺されたり、警察官が襲われて拳銃が奪われたり・・・物騒な事件も続いています。

秋には消費税が10%になりますが、この先景気が良くなると思っている人はあまりいません。

政治や社会に関心の無い人も、将来の不安は感じている、そんな新時代の幕開けです。



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政治の話は嫌われる?

暮らしが苦しいと政治に文句がいいたくなる

世の中が不安定で経済の見通しが悪くなると、しわ寄せが庶民にくるのは世の常です。一生懸命生きているのにちっとも暮らしが良くならなければ、政府に対して文句のひとつもいいたくなるのは、どんな社会であれ、自然な庶民感情です。

芸能文化の世界の人が、権力を揶揄したり批判したりすることも、古今東西よくあることです。多くの場合、苦しい環境にある庶民は、批判する側を応援するほうに回ります。

が、現在の日本では、政治的な発言をする芸能人がバッシングされています。

ネットでは

「芸能人のくせに政治的発言するな」

と炎上する例が後を絶ちません。

炎上させる人の真意

「和」を重んじる日本人は、考えの違いがはっきりする政治の話は、日常会話の中で避ける傾向がありますが、芸能人の炎上については、そんな穏便なアドバイスというわけではないようです。

SNSなどでタブー視される政治の話は、右も左も、体制擁護も批判も、全部です。が、炎上する芸能人は、体制批判の意見をいった人だけです。体制ヨイショ芸能人も多いですが、彼らが「政治の話はするな」と炎上している例はほぼありません。

「芸能人は、体制批判するな!」

これが「政治の話はするな」の真意です。

体制批判することがかっこ悪く感じる世の中とは

批判すること自体みっともない

炎上書き込みのほとんどは、一部の政権支持者が多投投稿している、という調査もあります。一方で、デモなどの反体制行動を「みっともない」と思う感覚は、若い世代に顕著にみられる、という調査もあります。

体制批判して炎上する芸能人を

「仕方ない」
「自業自得」

と捉える若い世代の空気を、あなたは感じたことはありませんか。

理屈ではなく、「力のある者に逆らうべきではない」と思い込んでしまう考え方を

『権威主義』

といいます。 批判の内容に関わらず、上に反抗すること自体を賢くないことだと捉える価値観は、多分に権威主義的です。

支配層に都合が良い権威主義

社会全部が権威主義になると、独裁国家や全体主義体制の世の中になります。一部の上の人が決めることに下の人が従う社会です。民主主義は危険視され、人権は誰もが平等に持つわけではなくなります。

秩序立って統率され、団結力があって判断の早い体制に見えますが、権威主義が幸せな世の中を保つといっているのは支配する側とそれに媚びる人たちだけです。

歴史を見れば、例外なく、支配される人々が民主化を求めるようになっていきます。

それを防ぐため、支配層は権威主義のマインドコントロール教育に力を入れます。国民自ら権威主義を身体化してくれれば、民主化も欲しないし、体制批判は互いに叩き合ってくれることを支配層は知っています。

第二次大戦末期の日本では、戦況が悪化し、国民は疲弊していく一方でしたが、国の戦略を批判したり、戦争に反対する人は、「非国民」と罵られ、迫害されました。

権威主義社会の教育

権威主義の教育では、

自分>身近な人>地域社会や組織>国家・国土・・・

と、敬意を払う対象の視野を広げていくよう誘導し、自分はそれらの一部であることを説きます。最後は自然や宇宙に対して「畏敬や畏怖の念」を抱くことを繰り返し教え込みます。

それは、部分的には道徳的な教えの形をとっています。

「親孝行しよう」
「目上の者は敬おう」
「周りに感謝して生きよう」

ひとつひとつは美しい道徳ですが、

「自分はより大きなものの一部に過ぎない」
「大きなものに敬意をはらおう」

というメッセージが積み重なっていくうち、だんだん

「上の者に逆らってはいけない」

という価値観が潜在意識の中に刷り込まれていくようになっています。

戦時中、道徳を説く「教育勅語」と「修身」の教科が、神聖で絶対的なものとして崇められ、権威主義のマインドコントロールに貢献していました。

戦後、戦争を止められなかったのは国全部が権威主義に固まっていたせいだ、と反省した日本人は、教育勅語とそれに類するものはすべて廃止すると国会で決めました。

平成時代に起きたこと

日本の戦後政治の中枢の多くは、戦時中支配層にいた人たちでした。中には戦時中の価値観を復活させたいと願う勢力もあり、今も教育勅語の再評価が繰り返し行われています。

小泉政権の頃から政権の中枢支配を徐々に進めてきた極右の戦前復古派勢力は、最初に教育に手を付けました。

例えば、修身の教科書の構成を模した、家族愛から愛国心、国土の自然に畏敬の念を抱く流れで導く道徳副読本を作って義務教育に導入したり、ジェンダーフリーは行き過ぎた平等だと否定したりしました。

ゆとり世代といわれる世代以降の多くが、芸能人の炎上を「仕方ない」と捉えていることと、21世紀以降の教育行政の流れは、無関係ではありません。

令和の世で、日本はどんな国を目差していくのでしょう。

まさケロンのひとこと

令和が暗黒時代になるかならないかはきみたち次第だぞ!!

masakeron-oko


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。