ライフスタイル

家族と一緒の時間は幸せ?ストレス?大事だけどウザい家族の話

Written by すずき大和

日本のお正月といえば、

“離れて暮らす家族が親元に集まって過ごす”

というのが慣習のような印象があります。実際、年末年始は「帰省・Uターンラッシュ」の様子が毎年ニュースになっています。

が、官民の様々なアンケート調査等を見ると、ここ10年くらい、7~9割の人が

「年末年始は自宅で過ごす」

と答えています。自分や配偶者の実家や親せきなどの家へ行く人の割合は2割に満たない、という結果も出ています。

自立した子供たちが正月に親元に帰ることは、もはやスタンダードではないようです。



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家族や家庭を大事にすることが尊ばれる時代

家庭より仕事優先はかっこよくない?

長い間、とかく「働き過ぎ」を世界から指摘されてきた日本人ですが、最近は、仕事での「出世」や人より「稼ぐ」ことより、「生活の充実」が重視される雰囲気があります。

ライフワークバランスとかイクメンとか・・・仕事に没頭して高く評価されるより、家族との時間や、家事育児等のアンペイドワークを大事にする生き方が「かっこいい」と、もて囃される傾向も感じます。

意識調査でも、昨今「一番大切なもの」は「家族」という答えがダントツです。
参考:統計数理研究所「日本人の国民性調査」

家族は大事、距離感も大事

一方で、家族一緒に食事をする機会が減って「個食化」が進んでる現象や、家族が一緒にいても「互いにあまり会話しない」「それぞれがスマホを見ている」という風景が日常化していることも事実です。

年末年始の過ごし方の希望は「テレビを見る」が最も多い、という調査結果も見られます。

※参考:~4人の子持ちフリーライターが解説~ 「自宅でテレビ」は多数派?少数派? 年末年始の過ごし方を徹底調査

一番楽しみにしていることも、おせちやお雑煮を食べたり初詣にいったりすることではなく、圧倒的多数で「テレビを見ること」になっています。

世代によって見たい番組が違い、ワンセグ携帯やタブレットで個々人が好きにテレビを見る時代、これは決して「家族一緒に過ごしたい」とイコールではないでしょう。

また、既婚男女に理想の家族観を聞く調査では、

「お互い干渉しない家族がいい」

「家族も大切だが、まず自分のことを優先的に考えたい」

という答えが、東日本大震災以降年々増加しているそうです。

※参考:花王くらしの研究「10年の変化を読み解く」くらしの現場リポート

現代の日本人の家族観は、

「家族は大事だけれど、一定の距離を保っていてほしい」

という、絆を大事にしてるとも重たく感じているとも取れる、複雑なもののようです。

とっても大事な家族とそうでもない家族

成人した子供は別の家族?

日本人初の女性宇宙飛行士向井千秋さんの夫であり、医学者でエッセイストの向井万起男さんが、雑誌に寄稿した記事で、千秋さんが宇宙に旅立つにあたって、NASAはその家族に対して、特別待遇でスペースシャトル発射に立ち会わせてくれる話をしていました。

NASAが招待してくれる「家族」とは、基本的に、「配偶者」と「生計を共にしている子供」のことです。万起男さんはこの線引きを

「とっても大事な家族」

と表現していました。

同時に、「実家の父母」が含まれていないことについて、日本の母親が息子にとって「とっても大事な家族」じゃない扱いをされたら憤慨するであろう、みたいな感想も書いておられました。

日本など東アジアでは、親子、特に「母子」の関係を重視する傾向が強くみられます。日本のドラマでは、いくつになっても過干渉な夫の母親との関係に苦労する嫁の話は永遠のテーマのひとつです。

家族の要素

英語の「ファミリー(family)」という単語は、ラテン語の「familia」からきています。これは、奴隷を含む奉公人や使用人のことを指し、やがて、家長の監督下・支配下にある集団を「ファミリー」と呼ぶようになったといわれています。

映画やドラマでも、運命を共にする航海などの仲間のことを「私たちは家族だ」なんてよくいってます。マフィアの一団もファミリーっていいますね。

血縁よりも、生活や辛苦を共にする結びつきが「家族」の重要要素なのでしょうか。それなら、独立して別世帯になった子と親の家族は別のもの、という感覚も理解できます。

子どもは大事、親はうざい?

都市部の核家族化が進み始めた40~50年程前は、子供の運動会のために父親が仕事を休むことはほぼなく、遠くに住む祖父母も含めて家族が4、5人で見に行くなんて光景は稀有なものでした。

最近は、入学式も夫婦揃ってついて行き、成人した子の入社式まで親が参加するのも当たり前になりつつあります。

向井さんが宇宙にいってから四半世紀以上立ちますが、日本では親が子に執着する度合いは濃くなっています。

これも「干渉しない家族が理想」っていうアンケート結果とは矛盾しているようにも感じます。

もしかして、

  • 「家族が一番大事」という時の家族は、幸福をもたらす『配偶者と子供』
  • 「干渉しない家族がいい」という時は、ストレスをもたらす『親兄弟』

をイメージしている!?

日本でも、とっくに「とっても大事な家族」と「そうでもない家族」の線引きができているのかもしれません。

さて、子供の入社式にも参加したがる親は、結婚して独立した子供の家族が「正月は自宅でテレビを見たいから帰らない」といったら、許容できるのでしょうか・・・

まさケロンのひとこと

貴重なお正月休み・・・っていうのも実家に帰らない理由の1つなのかも。休みをもっと増やしちゃおう!!ね!?

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。