3月といえば
ひな祭り。
日本古来の伝統行事になっていますが、意外に知られていないひな祭りの雑学(トリビア)をご紹介します。
慣わしは時代によりだんだん変化していく
自然の恵に感謝して邪気を払ってもらう五節句と呼ばれる歳時記のひとつ、「上巳の節句(じょうしのせっく)」の行事がひな祭りの始まりです。
男の子もひな祭りをやる地方
平安時代の上巳の節句には「流しびな」が行われました。
紙人形に自分の災いを肩代わりさせて川に流すという、男女の別ない厄除け行事でした。
その後、端午の節句が男の子の立身出世を願う行事になり、上巳の節句は女の子の幸せを願うものに変化しました。
中部地方には、今でも男女の別なく
子どもの厄除けの日
としてひな祭りを祝う習慣が残っている所があります。
ここでは男の子が生まれると男雛、女の子が生まれると女雛を送って飾るそうです。
江戸っ子ならひな祭りは蕎麦食いねぇ
東京下町では、ひな祭りにお蕎麦を供える習慣がありました。
ひな人形の前にお供え物をする習慣がある地方は他にも見られ、女性を暗示する食材(赤貝など)や郷土の料理が供えられることが多いそうです。
お江戸の代表料理といえば、蕎麦だったわけですね。
女の子の儀式には社会の求める女性の生き方が反映
ひな祭りが今の形になったのは武士の時代でした。
今も残る慣わしには当時の女性観が色濃く反映されています。
明治維新から戦中にかけ、武家の女性観が社会全部の女性に求められる時代となり、さらにその意味合いも深まりました。
仕舞い遅れると嫁にいけない説の意味するもの
人形を早く仕舞わないと嫁き遅れる、という定説は、実は昭和初期に生まれたものです。
片づけがちゃんとできない女性は嫁として失格だ、という意味が込められています。
戦争に向かう時代、産めよ増やせよが国策となる中で、子育てと家事にいそしむ女性像を理想とするように、と、社会が奨励していったことの名残りです。
女の幸せは結婚と出産。ハマグリの意味
お吸い物のはまぐりは、二枚貝が夫婦円満を象徴しています。
では、あさりでもしじみでもなく、なぜはまぐりなのでしょうか。
実ははまぐりは横からみると女性のある部分に似ており、
別名『似たり貝』
と呼ばれます。
女性の幸せな結婚と出産を願うひな祭りには、子作りを連想する物事が多いのです。
おばあちゃんも祝う秋のひなと15歳以下限定のひな祭り
昔は秋の五節句重陽の節句(9月9日)にもひな人形を飾る習慣がありました。
子どものお祝いの意味が大きい3月3日に比べ、秋の節句は長寿と健康祈願の意味が強く、年配の女性たちも人形を飾り続けてお祝いしていたそうです。
一方、愛知県知多郡では、15歳までしかひな祭りをやらない習慣が残っています。
江戸時代、結婚と出産を願うひな祭りは、適齢期を過ぎるともうやらなくなりました。
その名残だそうです。つまり、当時は16歳になるとすでに嫁き遅れだったのです。
間違えるとキケン! 紛らわしいひな祭り用語
最後にひな祭り用語の中の間違い探しをしてみます。
お内裏様とおひなさまが並んだら三角関係?!
サトウハチロー作詞の「うれしいひなまつり」の歌詞
があまりにポピュラーなので、お内裏様とは男雛のことだと思っている人は多いです。
が、これは完全なハチロー先生のミステイク。男雛と女雛の一対をお内裏さまと呼ぶのが正しいのです。
「お内裏様とおひなさま」だと女雛がひとつ多いですから、三角関係になってしまいますね。
白酒と甘酒は同じものではありません
ひな祭りに甘酒を白酒代わりに飲む家庭も多いです。
甘酒はお酒ではないので、子どもも飲めるし、家庭で作れます。が、白酒はれっきとしたお酒です。
子どもが飲んでも家庭で作っても、法律違反です。
なんていわないようにしましょう。
ちなみにパイチュウと読むと、中国の穀物から作る蒸留酒のことです。
しらきと読むと、神様に捧げるお酒のことです。
「しろざけ」と読んでも、どぶろくのことを表す時もあります。
白酒、いろいろ紛らわしいシロモノです。
どの世代にも子どものころから馴染み深いひな祭りですが、案外知られていないこともたくさんあるようです。
地域色豊かなユニークなひな祭りなど、まだ調べるとたくさん出てきそうですね。
ひな祭りにこんな雑学があったとわなぁ~
今度友達に話してみよぉ~っと!