6月下旬、日本はまだ多くの地域が梅雨の真っただ中です。
最近はすっきりはっきりとした梅雨明けでない年も多いと感じられます。
梅雨時期の花というと
紫陽花
が有名ですが、紫陽花と同じころに開花し始め、ぐんぐんと背を伸ばしながら、伸びた先端に次々花が咲いていくタチアオイも、丁度梅雨明け頃に背丈が伸び切り、花期が終わるため、
別名ツユアオイ
と呼ばれるくらい、この時季を代表する花となっています。
夏を象徴するアオイ科の花々
すっくと立ち上がった姿が清々しいタチアオイ
梅雨の時季の紫陽花は、一度咲いた花がだんだん色変わりし、最後は茶色く枯れていきます。
紫色が雨に生える姿が美しかった6月半ばに比べ、いよいよ夏を迎えるぞ、という時にはあんまりテンション高まる見栄えじゃなくなってしまうんです。
その点、胸の高さほどの時から咲き始め、常に新たな花を咲かせ続けながら、真夏を迎えて花期が終わった時、人の背よりも高くなります。
茎もしっかり太く立派に伸びきった姿になるタチアオイのほうが、見ていて元気に夏に向かう気持ちが高まります。
次々花が咲き、夏中楽しませてくれるフヨウ属の花々
アオイ科の植物は
- 観賞用
- オクラなどの食用
- 繊維を採る綿
など、実に多くの種類があります。
総じて、花びらの基部がつながって平らに大きく開く花が、次々順番に咲いて、長めの花期を楽しめます。
真夏のお茶席にかかせないムクゲは、韓国の国花ですが、散って咲き、また散って咲く生命力の強さが、韓国人の歴史と性格に例えられることが多いそうです。
花を鑑賞するものが多いフヨウ属では、ムクゲやフヨウは梅雨時期からお盆明けまで見頃となります。
真夏の熱帯植物のイメージが強いハイビスカスは、実は4~10月くらいまで花期が長いです。
アオイのうんちく
葵の御門の葵はアオイ科とは別の植物
5月に京都で開催している葵まつりの葵は、徳川の家紋になっている三つ葉葵の葵です。
これは、名前は「あおい」ですが、アオイ科ではなく、ウマノスズクサ科に属するフタバアオイという植物です。
水草のホテイアオイやゼラニウムの和名テンジクアオイも、全くの別物です。
菖蒲湯に入れる葉っぱの菖蒲と花菖蒲は、全く別の植物ですが、葉の形がそっくりなので同じ名前になったのだと思いますが、「あおい」とつくものは、形態が全く異なるものが多いです。
日本には、他にも地域によって違うものを同じ名で呼ぶなど、同名異種がとてもたくさんありますね。
季語では、葵は夏だけど、芙蓉は秋
日本で「あおい」というとタチアオイのことを言う場合が多いです。
俳句や短歌の世界でもタチアオイまたはフタバアオイを指すことが多いため、「葵」は夏の季語になっています。
が、7、8月が見ごろとなる
暦の上では、7、8、9月はもう秋扱いなのです。
季語は季語として、アオイ科の花々は、はやり夏休みの光景を象徴する花であると思います。
この時季、まだまだタチアオイも元気に咲いていますが、ムクゲやフヨウもそろそろ咲き始める頃です。
梅雨明けまでは、まだうっとおしい気候が続くこともあるかもしれませんが、大きめの花をつける植物が目につくようになってくると、やはり夏を感じます。
これから、朝顔や向日葵などもだんだんに咲いてくることと思います。
雨もめげず、華やかに晴れやかな気持ちをもって夏を迎えたいですね。
ジメジメしてテンションが下がるこの梅雨の時期こそ、紫陽花とか葵なんかをみて癒やされたいなぁ~
梅雨明けまで、頑張っていこうや!