明日8月2日は、下着メーカーが定めた
パンツの日
です。
国内メーカーの多くは、パンツのプレゼントなどを伴う、いろいろなキャンペーンを組んで、マーケティングや販売促進に勤しんでいるようです。
ネット内を見回しても、この日に因んでパンツにまつわるいろいろな話題がささやかれています。
そんな中で、
- ズボン
- 下着
の2つの意味を有する「パンツ」という言葉についてひとこと論じている意見が、いくつも目につきました。
多くがズボンをパンツと呼ぶ社会風潮を憂慮しているようです。
紛らわしい言い回しに、無駄にドキッとしてしまったことのある人(どうやら男性が多いらしい)は、実はいっぱいいるようです。
ズボンはいつからパンツになった?
パンツは意外と昔から使われている
パンツ
というのは最近の若い人の言葉だと思っている人が多いようです。
前はズボンで統一されていたのが、外来語がたくさん使われるようになる中で、英語の言い方をそのまま使うのが流行になったと、認識している人もいるでしょう。
が、実は、
○○○ズボン
と言葉を重ねて使う場合は、
○○○パンツ
という表現も多く使われてきました。
- 替えズボン
- 作業ズボン
- パジャマズボン
- 子ども用ズボン
など、用途別の言い方はズボンが多いですが、素材や形の種類分けでは、半ズボン以外はほとんど○○○パンツです。
○○○パンツという表現は戦後すぐから一般化
最初に広まったのは
ジーパン
ではないかと言われています。
戦後すぐ、米軍の払下げ品として闇市などで出回った時からこう呼ばれていますが、これは和製英語です。
ジーンズ・パンツの略とも、
G.I.(米軍人)
がはいていたパンツの意味だとも言われています。
ショートパンツという英語がそのまま外来語として使われたため、自然とそれに習ったのかもしれません。
次々○○○パンツ、○○パンという言い方生れていきます。
運動用のズボンを表わす
- トレーニングパンツ(トレパン)
- サブリナパンツ
も、みな和製英語です。
短パンなんて言い方もしました。
下着の意味での使い方が特殊だった
上に何かがつけば、日本人はとっくの昔から、ちゃんと自然に
パンツ=ズボン
のことだと、頭の中で変換できていたのです。
たくさんの「○○○パンツ」という言葉があるのですから、それらを総称して「パンツ」と呼ぶようになるのは、自明の理ともいえる現象であったのかもしれません。
むしろ、単独で「パンツ」と言う時だけは下着の意味になる、というほうが、言語的には特殊な使い方なわけです。
英語でも、パンツは2つの意味を持つ
パンツの語源はパンタロン
英語のpants(パンツ)は、
pantaloons(パンタルーンズ)
の省略形です。
16世紀のイタリア喜劇に出てくるパンタローネという老人が細長いズボンをはいていたため、ズボン全般がパンタルーンズと呼ばれるようになったと言われています。
18~19世紀にかけて、パンタルーンズは、ふくらはぎの下くらいまでの丈で、裾をリボンやボタンで留めたり、ブーツの下にストラップを通して留めたりする形のズボンの名称となりました。
そして、19世紀初めになると、男性のズボンだったパンタルーンズと同じ形のものを女性がスカートの下に着るようになります。
この女性用の下着はpantalettes(パンタレッツ)と呼ばれました。
英語圏でもパンツはズボンと下着の両方で発展
パンタルーンズもパンタレッツも省略してパンツと呼ばれるようになり、今では、ズボン全般のことも、男女の下着のこともパンツと表現されるようになりました。
パンツの両義性は、日本国内だけのことではなかったのです。
あちらの人は、もともと
下半身にはくものの総称
のようにパンツを使い、ズボンか下着かの区別は文脈から付けるか、それぞれに限った表現
- パンティーズ(女性用下着)
- ドラワーズ(日本でいうズロース)
- トラウザーズ(ズボン)
などに変えています。
以上のような変遷を見ると、パンツをズボンの意味で使うことは、そんなにゆゆしきことでも、言葉の乱れでも、安易な外来語の氾濫でもないことがわかります。
とはいえ、電車の中で
なんて聞こえると、ドキッとしてしまう皆さんにとっては、やはり悩ましい問題なのかもしれません。
ややこしい言葉やなぁ~
でも、ズボンの事をパンツって言うとなんかオシャレな感じやんな!