80年代終盤、25歳の女性が詠んだ短歌を集めた歌集が280万部を売るベストセラーになったことがありました。
それまで古典文学的な印象が強かった短歌のイメージを一新する、現代的な感覚と言葉で綴られた歌の内容に、多くの人が共感を覚えました。
表題になった言葉が入った歌は、日常の風景の中で出会う、心高鳴る一瞬を鮮やかに切り取った一首です。
恋人に手料理を褒められた女性の密かに喜びを噛みしめる心情が、じわんと伝わってきます。
記念日が大好きな日本人
なんでもすぐに「記念日」にしてしまう人々
「記念日」という響きは、人に特別な感情を湧きおこさせます。
「サラダ記念日」は個人レベルですが、国や民族レベルでも、何か特別人々の心に残ること、残してほしいと感じる出来事を体験すると、それを忘れないように記念日が制定されることはよくあります。
どの国でも、歴史的に意味のある記念日は国民の祝日になることも多いです。
一方で、何でもなく見過ごされるような○○も「○○記念日」と謳われると、急に何か特別な意味のあるものなのかな?という興味(もしくは錯覚?!)を喚起することがあります。
そういう効果を狙って、販売促進や何かの啓発を行いたい人が、よく何でも「記念日」にしたがる傾向があります。
日本では、365日、いくつもの何かの記念日が重なることが無い日は一日もありません。毎日が誰かが決めた何かの記念日になっています。
記念日になりやすい日
記念日関係の任意団体などが発表している記念日一覧を見ていくと、特に記念日がたくさん決められている“記念日特異日”みたいな日が、年に何回かあります。
記念日を定める理由というと、前述のように、「その日に特別な何かがあった」というのが代表的ですが、啓発PRのために定める記念日に特化すると、それよりも圧倒的に多い理由は
1位「語呂合わせ」
2位「文字絵」
から生じたものです。
「文字絵」というのは、顔文字などのアスキーアート(AA)も含む言葉ですが、記念日の場合は、数字そのものを何かの形に見立てています。
例えば、11月11日は、特異日のひとつですが、この文字絵に由来するものが飛び抜けて多い日になっています。
そして、文字絵由来のものも多いですが、それ以上に語呂合わせのバリエーションが最も多彩にある特異日が、10月10日です。
語呂合わせが多彩でユニークな10月10日
では、10月10日の多彩な語呂合わせっぷりを、具体的に見てみましょう。
10を「テン(テ)」と読む
- 「手と手の日」
- 「空を見る日」 :空=天[てん]です
10=じゅうで「ジュージュー」と読む
- 「LPガスの日」 :ガスの強い火力で焼く音です
- 「お好み焼きの日」
10を「とう(と)」と読む
- 「トマトの日」、「トートバックの日」、「toto(サッカーくじ)の日」
- 「釣りの日」 :とと(魚)の日ということですね
- 「島の日」 :音読みです
- 「冷凍めんの日」 :1010の下三桁を読んでいます
1010を二進法表記とみなす(語呂合わせとはちょっと違いますが・・)
- 「パソコン資格の日」 :コンピューターは二進法で計算するので
十月十日の漢字を組み合わせる
- 「朝礼の日」 :朝という文字を分解すると十月十日
- 「萌えの日」 :十日・十月を縦書きにして横に並べると萌
技ありの読み方
- 「転倒防止の日」 :テン+とう
- 「銭湯の日」 :1010=いっせんじゅう → せんとう
- 「和太鼓の日」 :ドンドン→トントン→と(う)と(う)
- 「ふとんの日」 :1010=ふたつのとう →ふ(2)+とん(10)
おまけ>「文字絵」が由来しているもの
- 「目の愛護デー」 :10を縦にして、横に2個並べると目の形
- 「肉だんごの日」 :10は串と団子のイメージ
- 「貯金箱の日」 :1は入れ口の形、0はコインを表わす
- 「おもちの日」 :1010は角餅と丸餅が並んでいる様子
いかがですか?10月10日には、他にもいろいろな記念日があります。
語呂合わせではなく、普通に「○○○をした日」を記念して制定されたものも、もちろんあります。
ハッピーマンデーができる以前は固定で「体育の日」でしたから、そちらの由来で決められたものもあるし、十月十日[とつきとおか]から「赤ちゃんの日」なんていうユニークな由来のものもまだあります。
全部合わせると、30以上の記念日が集中しているようです。
とても全部は覚えきれそうにないですが、いろいろな方面のいろいろな人の思惑がたくさん重なる大事な日なんだな~、ということは何となく記憶の隅に留めておきましょうかね。
「手と手の日」って、人と人が協力する日って考えるとすごいいい意味だな~って思った!