スマホの普及が著しい昨今です。
一時の大ブームの頃は、数年で世の中の人は全員スマホになってしまうのかと思う勢いでしたが、通信料の割高感やPCに比べるとブラウザーの操作性が不便な点などもあり、2014年頃から再びフィーチャーフォン(ガラケー)の価値を見直す動きも出てきています。
大人のシェアの伸びはちょっと落ち着いてきた感じです。
が、一方で、未成年のスマホ普及率は、今もなお物凄く急速に上昇しています。
スマホの普及に伴い、「LINE」や「ツイキャス」など、スマホならではの使いやすいコミュニケーション・ツールを利用する未成年も増えています。
LINEは日本では大人の間でも普及が進んでいますが、ツイキャスは、なぜだか中高生の間で爆発的に広まっている割に、大人はあまりその実態を知りません。
簡単入門、ツイキャスの基本
ツイキャスについて、大人ももっと知ろう
ツイキャスに限らず、ネットの無料コミュニケーション・ツールの利用やアプリのダウンロードについては、最近は、利用する本人だけではなく、その人とメール等のやり取りをしている知人・友人・家族にまで、迷惑が及んでしまう可能性のあるものがたくさんあります。
例えば、あなたのアドレスが登録してあるスマホを使って閲覧する人たち経由で、知らないうちにあなたの電話番号やメールアドレスなどが他者に知られ、詐欺にあったり知らない企業から情報が送り付けられて来たり、ということがあり得るのです。
家族や友だちや仕事や地域で繋がる人たちが利用するかもしれないツールについて、基礎的なことだけでも知っておくことは、自分や家族の身を守る上で大切です。
ツイキャスは無料で動画を配信できるサービスです
ツイキャスとは簡単に言うと、
無料動画配信ツール
です。
パソコンやスマホについているカメラで撮影した映像を、リアルタイムでネットに流し、世界中の人がそれを同時に見ることができます。
ただ一方的に生中継するだけでなく、見ている人がリアルタイムでコメントを文字で書きこめるようになっています。
書いた人のアカウントと共に動画画面の横にコメントが次々と表示されていきます。ライブ発信者はそれを見ながらしゃべるので、双方向の会話も成り立ちます。
自分で配信しなくても、人の生中継にコメントするだけの利用もできるし、黙って見るだけでも構いません。
スカイプ(テレビ電話できるPCツール)や電話を併用する、またはコラボという機能を使うと別のユーザーと中継中に音声会話することもできます。
コミュニケーションに参加するにはSNSのアカウントが必要
ただ見るたけなら、PCでもスマホでも、ツイキャスのサイトにアクセスするだけで見られます。
自分でも発信したり、生中継している人にコメントをつけたり、コラボしたい時は、ツイキャスに登録してログインする必要があります。
ログインするためには、「Twitter(ツイッター)」か「Facebook(フェイスブック)」か「mixi(ミクシィ)」のアカウントが必要です。これらは
“SNS(エスエヌエス)”
と呼ばれるネットの中のサービスのひとつです。
SNSのアカウント管理がユルイと個人情報入手は簡単
SNSとは、自分の日常のつぶやきや日記、仕事の報告や撮った写真・動画などの情報を投稿し、繋がりの登録をした人たちの間で見せ合ったり会話したりするためのサービスです。
ツイキャスで会話すると、相手にそのアカウントが表示されるので、もとのSNSを検索すれば、発信者のページはすぐに見つけられます。
SNSの公開情報に日々のいろいろなことを投稿している人ならば、その人がどんな人なのか、仕事や家族のことなどうかがい知ることもできます。
ツイキャスにハマることでどんな危険があるのか
親の認識が追いつかないツイキャスの世界
あまりにもお気軽お手軽な使用感から、簡単に参加する子どもたちが後を絶ちませんが、未熟な彼らが、自分自身をとても危険に晒すような使い方をする例が増加しています。
実際にトラブルに繋がる事態もおきており、専門家の間では、数年前から問題視されています。が、子どもたちの周りにいる大人の多くが「ツイキャス」という言葉すら知らないのが現状です。
個人情報ダダ漏れであることに無頓着な子どもたち
未成年がツイキャスを利用することで起こる問題は大きく分けて二つあります。ひとつは、
個人情報の漏えいとそれに伴うトラブル
です。
これは、個人情報が他人に知られることで何が問題なのか、を、まだよく理解していない未熟な子どもたちが、無頓着に自分の家や本名や学校や家庭内の状況がわかる情報を配信してしまうために起きています。
例えば、巧みに仲良くなってきた人に、無頓着に個人情報を漏えいしてしまい、詐欺にあったり、ストーキングされたりする、などのトラブルにも巻き込まれやすくなっています。
ネット依存を高める動画サイト
もうひとつの深刻な問題は、動画配信サイトは
ネット依存に陥るきっかけになりやすい
という点です。
ツイキャスにハマって四六時中スマホが手放せなくなる子どもは多いです。
大人でも、You tubeなどの動画投稿サイトで、自分の投稿したものにコメントがたくさんついてくると嬉しくなってハマってしまうことがあります。
ツイキャスはリアルタイムに反応を確認できます。
固定ファンがついたり、知らない大人から話しかけられることも多く、今何人の人が自分を見ているのか、目に見えてわかります。
自分は注目されている、という実感が得やすく、多感で背伸びした言動に走りやすい世代は、依存状態になりがちです。
情報管理が未熟な中高生がハマる一番の原因は使用目的にある
動画配信サイト、何に使う?
ツイキャスが出て来る前、リアルタイムで動画中継できる機能サービスといえば、「ニコニコ生動画」がダントツ人気でした。
ツイキャスよりも画像の質が良く、ユーザーの数も圧倒的に多いので、投稿が注目される度合いも高く、自主制作番組を配信して何かの宣伝や仲間づくりに利用する人もたくさんいました。
政治家や放送局が情報発信に利用することもよく話題になりました。
オンラインゲームをしながら実況中継する人もたくさんいます。
ただ配信は無料ではなく、課金の必要があります。そのため配信者は大人で、何か伝えたい情報を発信する、という目的と時間の計画性のある配信が主でした。
中高生にとってはヒマつぶしのテレビ電話
ツイキャスは配信も無料です。
無料で手軽に使えるため、若者たちは、大人が使っていたのとは違う用途で動画を利用するようになりました。
ツイキャスのサイトへ行くと、現在配信されている動画のラインナップが並んでいます。
何かの作品や意見を発表するような内容の番組発信はごく稀です。
ほとんどが、ただパソコンやスマホの前で、ダラダラと日常のおしゃべりを続けているだけの動画です。
凸待ち(コラボやスカイプで話しかけてくれる人募集中のこと)しながら、学校や家族の愚痴などだらだらと無制限に顔出し中継している、平日昼間のサボり女子高生など、毎日必ずいます。
際限ない依存が、危険を呼び込む
ネットには、他にもテレビ電話状態で会話できるサービスはたくさんあり、多くの大人は何かの連絡目的にそれを使っています。
友だち同士のあいさつやおしゃべりに使う人もいますが、一方的に日常生活の実況中継をだらだらとしている人は多分少ないです。
この、際限ない暇つぶしのブツブツ(トークというレベルでもなく、ほんとに意味なく繋がらない独り言を延々発している人も多いです)の配信をおおぜいが見物している、という形がツイキャスの大きな特徴になっています。
そして、このだらだら無制限な使い方が、依存症をよけいに助長していっている点は否めません。
生中継して、それを大勢の人が見てくれて、かまってくれる満足感に依存するようになると、フォローやコメントを増やしたくなる気持ちがどんどん強くなり、コンタクトしてくる人を警戒なく受け入れてしまうようになりがちです。
気に入らない相手は、とても安易にブロックできるシステムになっていますが、興味本位の異性から、からかいや挑発の会話を投げかけられて不愉快な思いをしても、いつまでも相手をしている子は多いです。
そういう相手に個人情報がバレると、ストーカー被害に遭う確率も高くなります。
とにかく大人もこのツイキャスの実態を体験してみよう
オトナの関心の低さが未成年の行き過ぎを看過している
このだらだら生中継依存状態は、若者の親世代の人たちからは、なかなか理解や共感を得にくいコミュニケーションのあり方のようです。
普段着で、自宅の屋内で、すっぴんのまま妙にアップの構図で、若者言葉の話し方で、時々お菓子をバリバリたべながら、日常の愚痴や毒を吐いている姿など、大人(特に女性)はあまりネットで公開したいと思いません。
また、他人のそんな姿を見ることの何がそんなに楽しいのか、全く理解できない大人は多いです。
たぶん、自分が晒されることに対する「恥ずかしい」という感覚の持ち方が、大きく異なっているのかもしれません。
だから、大人のユーザーが少なく、未成年や中二病(思春期独特の自意識過剰状態のこと。
自分の妄想の中で、妙に自分の価値観に自信を持ってしまい、周囲に対して上から目線の知ったかぶり態度をついしてしまう)が抜けきらない大人たちが、歯止めなく増々行き過ぎた個人情報漏えいをエスカレートさせている、とも言えます。
中高生の無頓着さをもっと知ろう
個人情報はどうやって割り出されてしまうものか、どんなことを漏えいすると危ないのか。
また、若い女の子が、顔出しで生中継したり、女子中高生であることを謳ったり、ましてたとえ映らなくても風呂場から中継している、などと煽ることが、どれだけ危険な人を呼び寄せてしまうのか。
そういうことをきちんと小学生頃から教育していくことが大事です。
大人にとっては常識的な感覚が、ゆとり世代以降の子どもたちは持ち合わせていない場合が多いことを、まず大人が自覚することが大切かもしれません。
とりあえず、親や先生や地域の大人の皆さん、試しにツイキャスを見に行ってみてはいかがでしょう。良識のある人が見ると、中高生がどれだけ無防備なことをしているのか、よくわかると思います。まあ、中にはちゃんとしている子もいるけどね。
小学生とかだとみんなほとんど「よい子」だと思うんだよね。でも大人には「色んな人」がいるっていうことを、できるだけはやく子どもたちにも教えてあげられるといいよね。