感情検索とは?
何も解決しないけど
「ああ、疲れた」
おそらく1日に1回は誰でも感じる、疲労感。
声に出してみても何も解決しないけれど、とりあえずつぶやいてみる。
誰かに共感してもらったり、慰めてもらいたいわけではありません。
自分にしか聞こえない程度の小声でつぶやいてみるのです。それで結局何も解決しないまま。
まあ、グチのようなもので、たとえば仕事で疲れたのなら、結果としては仕事が終わるまで、疲れは我慢しなければなりません。
もうすこし見ていきましょう。
会社を辞めたいと、思う時ってよくありますよね。
「こんな会社辞めてやる」
と心の中で叫ぶのだけれど、では辞表を提出するのかというと、けっしてそんなことはしない。
生活がかかっているから会社は簡単には辞められない、仕事はけっして楽なだけではないということで、みんなあきらめているんですね。
「辞めてやる」と一瞬でも心の中で感情を爆発させることがストレス解消になっているのかもしれません。
「死にたい」も同じことかもしれません。口ではそんなことを言っていても絶対に行動を起こしたりはしません。
よく言いますよね、「死にたい」と口にしているうちは絶対に死なない、無言になったら危険だと。
最近、自分の感情を検索するということが、特に若者の間で盛んに行われていると耳にしました。
- 「疲れた」
- 「辞めたい」
- 「眠い」
などをキーワードにしてネットを検索するそうです。
この「感情検索」という現象、特に解決策が知りたいために検索するのではないそうです。
眠気を覚ます方法を調べるために、「眠い」というキーワードで検索するのではなく、ただ「眠い」と検索するだけ。
それで検索結果として出てきた情報を閲覧するのだそうです。
気休め? それともただの行為?
「感情検索」は考えてみればみるほど不思議な現象です。
自分の今の気持ちを検索する理由が筆者には今一つわかりません。
検索してみたところで何のメリットもないのですから。
Twitterに「疲れた」というツイートをするのならば理解できます。自分の気持ちを他者と共有できるからです。
「感情検索」は気休めなのでしょうか?
検索することで気が紛れたり、あるいは、まれに対処方法が見つかるかもしれません。
それとも口に出すのと同様、検索することでストレス発散に近い効果があるのでしょうか?
自分と同じことを感じている仲間を探すためかもしれません。
「眠い」で検索すれば「眠い」という言葉を含んだツイートなどの投稿もみつかるかもしれません。
感情検索を実践
まずは「眠い」を検索
「感情検索」がどういうものかを知るためには、実際に行ってみるのが一番良いような気がするので、筆者も実際に行ってみました。
実際はスマートフォンから検索されることが非常に多いそうですが、筆者はパソコンを使うことにします。検索エンジンはGoogleです。
まずは「眠い」です。
サジェスト機能では
- 「だるい 眠い」
- 「疲れやすい 眠い」
- 「仕事中 眠い」
などが出てきました。
とりあえずそのまま「眠い」のみで検索を続行。
結果、トップが
となっています。
以下
- 「簡単!ねむいとき眠気を覚ます方法」
- 「寝ても寝てもずっと眠い人」は危ない特徴がある」
などと続きます。
普通に対処方法が検索されました。
なんだか普通の結果でおもしろくありません。キーワードを変えましょう。
「死にたい」
「死にたい」 これはどうでしょう。
とてもヘビーな問題なので対象方法の記事などは引っかかりにくいと思うのですが、いかがでしょうか。
結果は、
- 「人はなぜ「死にたいのか?」
- 「うつ病 死にたいときの対処方法」
- 「死にたい、消えたい、人生に疲れた方へのカウンセリング」
- 「死にたいと考えている人の交流サイト」
など
やはり、とても深刻なキーワードのために防止のためのサイトが多くヒットしました。
「辞めたい」
「辞めたい」で検索したところ、
- 「これが会社を辞めたいと思っている人の声だ」
- 「仕事を辞めたいと思ったら確認すべき7つのこと」
- 「仕事を辞めたい人にお勧めしたいこと」
など
これも対処方法が多く検索されました。
ちなみにサジェスト機能では
- 「看護師 辞めたい」
- 「教師 辞めたい」
と出てきました。
看護師に教師、大変な仕事なのですね。
「疲れた」
「疲れた」で検索した結果は
- 「疲れたあなたへ」
- 「疲れたときの必需品」
- 「いつも「疲れた」という人の心理と対処方法」
など
ここまででわかったことは、普通に対処方法が表示されるということです。
困った状況に対して検索して、困った状況を打破するための方法にたどり着くという極めて普通のパターンです。
検索エンジンとしてGoogleを選択したからでしょうか、Twitterだったら別の結果がでたかもしれませんが、筆者としてはあまりにも当たり前、普通の結果すぎておもしろくありません。
もっとも、検索した本人が結果をみてどうするのかが問題なのかもしれませんね。
対処方法を参照するのか、ただ結果を眺めておもしろそうなものを閲覧するのか。
もしかしたら「感情検索」という行為は「立ち読み」に近いものなのかもしれません。
特に知りたいことはないのだけど、おもしろそうなものがあれば目を通しておきたい。
「感情検索」には意味はなく、暇つぶしの新しい形なのかもしれません。
検索するにはキーワードが必要なので、とりあえず自分の今の感情を入力する。検索結果に何かを求めているわけではなく、表示されたものの中からおもしろそうなものを閲覧する。
電脳的な散歩というスタイルだということが言えると思います。
そう考えると、漠然とではありますが「感情検索」がわかってきたような気がしてきました。
意味は何? なんでそんなことをするの?という筆者の疑問じたいがもしかしたら古い考え方なのかもしれませんね。
では最後に、ポジティブな感情、
「うれしい」
を検索してみましょう。
トップは画像でした。たくさんの笑顔の写真やイラストが表示されました。
眺めていてこちらまでハッピーな気分になれましたよ。
「こんな気持ちになりたいな~」とかを検索してみるのもいいかもしれないね。