料理・調理 春の食べ物

サヨリが旬の季節です。美味しい食べ方のコツは「立て塩」!

Written by すずき大和

3月、ひなまつりが過ぎ、暦の上で啓蟄に入ると、徐々に桜の開花のことが気になり出す人もでてきます。

真冬のような冷たい風の日がいつの間にかなくなり、卒業式の話題がひとしきり盛り上がり、やがてお彼岸を迎える頃には、一気に周囲が春めいてくるのを感じます。

一年を大きく「春・夏」「秋・冬」に分け、前者を休眠の季節、後者を活動の季節とイメージすると、3月はそれまで静寂を保っていた世界が、次第に動き始めていく

「切り替えの季節」

のような気がします。

市場の店先を眺めていても、野菜や魚などの食材が見る見る「冬」から「夏」に変わっていくのがわかります。



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春を告げる魚介類

季節が限定されるちょっとセレブなお魚たち

最近は、生鮮食品でも一年を通してずっと供給され続けている商品がたくさんあります。

多少の値段や品質の違いで季節を感じることはありますが、

「あぁ、これが出て来ると〇〇の季節」

と感じる期間限定の品には、やはり特別の感銘があったりします。

魚売り場に行けば、いわし・さんま・ほっけ・シャケ・鯵・鯖・ししゃも・マグロ・イカ・・・・などは、いつでもあります。

現代の冷凍技術の高さには恐れ入りますし、収穫期以外にも豊かな食卓でいられることには感謝をしています。

いつもあるものは、だいたいは庶民のお財布に優しい大衆魚ですからね。

でも、密かに、ちょっと高めで毎日は買いづらい、どちらかというと高級なお魚たちが、季節ごとに次々変わっていくのを見て、食べなくてもそれなりに季節感を感じてほっこりする人はたくさんいます。

春は特に、その感慨が深いかもしれません。冬場には見なかった特徴的な形態のプチセレブなやつらが、ユニークに目立つ季節です。

  • ホタルイカ
  • メバル
  • トビウオ

そして今日の話題の主役サヨリなどが、思いっきり個性的に「春だよ~」と自己主張してくれます。

高級品は初ものが好まれる傾向が強いので、年末くらいから出回るものもありますが、庶民でも奮発すれば手が届く値になり、味もよくなる旬は3~4月頃です。

下あごが「アイ~ン」と突き出ているユニークなサヨリ

「細魚・針魚」と書くサヨリは、サンマのように細長く、青黒い背と銀色の腹のコントラストが美しい魚です。

下あごが突出してのびていて、物凄くとんがった顔をしています。

なぜそんなユニークな顔になったのかはよくわかっていませんが、下あごをスプーンのように使って、プランクトンをすくい取って食べているとも言われます。

サンマと同じダツ目に入りますが、身は透き通った白身です。

海面近くを回遊しているので、紫外線を浴びやすく、筋肉が透明なため、内臓を守るために腹膜は真っ黒い色をしています。

さばいて内臓を出すと、腹の内側が真っ黒なため、昔から「腹黒い人」をサヨリに例えることがあります。

一方で、下あごの先端が赤く、紅をさしたように見えるので「海の貴婦人」と呼ばれることもあります。

サヨリを食べてみよう

ヘルシーで上品な高級白身魚

春は門出の季節です。家族に特別なセレモニーなどがあったら、ちょっと奮発して普段はあまり買わないサヨリを食卓に並べてみてはいかがでしょう。

特に何にもなくても、旬の美味しい時季に、たまにはプチ贅沢して食べてみるのもいいですね。

サヨリは筋肉に脂肪がほとんどなく、ローカロリーで、あっさりとした上品な味わいの高級魚です。

  • お刺身
  • お寿司
  • お椀
  • 天ぷら
  • 塩焼き

などで食べられます。

薄く細長い身なので、細長く切って糸作りにすると、さらにセレブ感が出ます。

淡泊で癖がないので、酢〆や昆布〆にも向きます。

開いて干物にしたものも美味しいです。

家でさばく時は、三枚におろしたあとの皮や腹骨を唐揚げにすると酒の肴になります。

中骨はだしを取るのに使えます。

せっかくの高級品なので無駄なく使うことがオススメです。

旨味を引き立てる「立て塩」

サヨリのように、身が薄くてデリケートな白身魚は、干物や塩焼きにする時の“塩の仕方”もちょっと一工夫します。

サンマのようにつまんだ塩を上からパラパラとまんべんなくふりかける「ふり塩」だと塩加減が濃くなりやすいので、「立て塩」にします。

立て塩とは、塩水につけることで、素材にまんべんなく塩味を入れる方法です。

塩分濃度が3%程度の塩水につけておきます。サヨリの場合、刺身にする場合も、軽く立て塩をすることで、旨味・甘味が引き立つ効果があります。

酢〆や昆布〆にする時も、立て塩で下〆をします。

サヨリを美味しくいただくコツは、ひと手間かける立て塩がポイントと覚えましょう。

オマケ!知っておくと便利な塩技の知識

魚の立て塩とふり塩の使い分け方

サヨリのように身の薄い魚、むき身の貝など小さい具材には、ふり塩より立て塩の方が均一にまんべんなく塩味を付けることができます。

さばいた身を水洗いする時も真水より「塩水」で洗うほうが身の中の旨味が流れ出しにくくなります。

塩水の中に旨味が全然溶けださないわけではありませんが、塩分でちょっと身が引き締まるので、切り身でも濃いめの塩水に短時間つけて立て塩にすることができます。

塩水で洗うことは、「ぬめり」や「臭み」を取る効果もあります。

※但し、立て塩は洗い流すのではなく漬けておくので、「ぶりカマ」など臭みの強いものは、立て塩にすると血の匂いが全体に回ってしまいますから、ふり塩のほうが向いています。

丸ごと焼く魚の場合、多めのふり塩が皮目をパリッと焼き上げる効果をもたらします。しっぽに多めに塩を付けてピンとした焼き上がりを作ることもあります。

こういう塩のふり方は

「飾り塩」

「化粧塩」

などと呼ばれます。

野菜にも立て塩

立て塩は野菜をしんなりさせる時も使います。2、3㎜に切ったきゅうりを立て塩にすると、浅漬けのように程よい塩味でしんなりできます。

また、塩もみが苦手な人も、濃いめの塩水で立て塩にして、クタッと水分がでてきたらぎゅっと絞ると、丁度塩もみをしたのと同じような感じになります。

塩使い技に長けてくると、それだけでなんとなく料理の達人に見えます。「立て塩」技、良かったらあなたもぜひモノにしてください。

絶妙な塩加減で、繊細なサヨリを堪能して、リッチな気分の春の食卓をお楽しみくださいませ。

まさケロンのひとこと

サヨリはローカロリーなのも嬉しいね~。塩使い技はぜひともマスターしよう!

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。