個人情報としての意識が低い誕生日
Happy Birthday!!
先日、このようなメールが届きました。
頻繁に利用しているオンラインショップから送信されたもので、筆者の誕生月が近づいてきたためでしょう。
でも筆者は一瞬戸惑ってしまいました。
「なぜ、誕生日を知っているのか?」
いうまでもなく、会員登録した時に、生年月日を記入したからです。
もちろん、このメールはまったく悪意のあるものではありません。
500円オフのサービスなのです。普通に考えて、このメールに対して、腹をたてる人はいないはずです。
もちろん筆者もこのメールを問題にしたいわけではありません。でもふと感じたことがあります。
「誕生日って、個人情報に含まれるのではないか」
と。
「個人情報バラまき状態」
日本年金機構の個人情報流失は記憶に新しいところです。
流失した個人情報を悪用したとみられる詐欺事件も発生し、社会に大きな影響を与えました。
同時に、個人情報についての一般の意識をより高めるきっかけにもなったことでしょう。
ときには、過剰と思えるほどの反応も起きます。
筆者が経験した事例をお話します。
娘が通っていた小学校が、これまでの全卒業生の名簿を作成することになりました。
これに伴い、氏名、住所などを記入する調査票が郵送されてきたので、目的が卒業名簿なのだからと、特に疑問も感じず、記入して返送しようとしていた矢先、
- 「卒業名簿の作製は保留となった」
- 「送付した調査票は返送しないで欲しい」
という内容の文書が届いたのです。
詳細を確認すると、ある関係者から
との強い申し出があったとのこと。ほどなくしてこも名簿の作製は中止となりました。
「もし悪意を持った卒業生が、名簿を悪質な業者に提供したら大変なことになる」
というのが反対者の主張だったそうです。
これには様々な意見があると思います。筆者は
「ちょっと神経質すぎなのでは…」
と感じましたが、では絶対に漏洩の可能性はないと言い切れるのか、と問われれば、断言はできません。
逆にこれぐらいの慎重さがないと、個人情報は守ることが出来ないのかもしれないとも思いました。
しかしながら、個人レベルでは日常的に情報漏洩の原因を、意外と簡単につくってしまっているのではないかとも思うのです。
買い物をするには、個人情報の登録が必須になってきました。
これはネット通販にかぎらず、リアル店舗の利用でも発生するリスクです。
ほとんどのリアル店舗ではポイントカードを導入していることでしょう。
ポイントカードの作製には氏名、住所、電話番号やメールアドレスなどの連絡先の開示が必要になります。
当然のことながら店舗側は個人情報の取扱に関しては、万全を期しているはずです。
しかし、個人情報の漏洩につながる可能性もゼロとはいえません。
「少しでも漏洩のリスクを含むのであれば、回避するのは当然」
だとしたら、極めて危険な行動を起こしていることになります。
誕生日ぐらい、問題ないんじゃないという盲点
誕生日も悪用されます
あまりにも神経質に、そして疑心暗鬼になってしまうと、個人情報を守ることが目的となってしまい、日常生活のバランスが崩れてしまいます。
それでもささいなことが大きな被害につながる、ということは知っておかなければなりません。
個人情報のなかで一般的に見て重要と思われるものは何でしょう。
氏名、住所、電話番号やメールアドレスなどの連絡先。この3点に関しては、基本といえるかもしれません。
少なくとも見ず知らずの人に気軽に教えたりはしないと思います。
では誕生日についてはどうでしょう。誕生日も立派な個人情報なのですが、意外にガードは緩いと思いませんか?
友達同士なら簡単に教えてしまいますよね。でも誕生日って悪用する事が可能な情報であることはご存知でしたか?
悪意のある人物があなたの誕生日を西暦何年、何月、何日までといった正確な数字で手に入れたとします。
もちろんこの情報だけで、悪用するのは困難です。
ところが他の情報と組み合わせることで簡単に悪用されてしまう事があります。
この人物があなたのキャッシュカードを何らかの方法で入手した。
キャッシュカードから現金を引き落とすには、当然、暗証番号の入力が必要になります。
この人物はあなたの生年月日を正確に知っています。
もし、あなたが暗証番号を生年月日で設定していたら、簡単にあなたのお金を盗むことが出来てしまうのです。
もちろんこれは仮定のはなし。身近な数字で暗証番号を設定することの危険性は多くの人が認識しています。
ここでお伝えしたいのは、悪意を持った人は、日々様々なテクニックを開発しているので、何事も絶対安心はない、ということなのです。
特に生年月日は占いやバースデープレゼントなどの関係で、「広く流通しがちな」個人情報ですが、個人情報であるかぎりはいつでも悪用される可能性があるということをお話したかったのです。
ちなみに恥ずかしい話ですが、筆者はメインバンクのキャッシュカード暗証番号を、つい最近まで生年月日で設定していました。銀行から、このパスワード危険ですよ、と注意があり変更した次第です。
個人情報の扱いは「信頼」によって成り立っている
考えてみると、寂しい話ではあります。
誕生日まで個人がしっかり管理する必要があるのですから。
誰も信じてはいけない、という考え方につながっていく可能性があって、それは危険なことだとさえ思うのです。
個人情報の開示は、信頼が前提になっています。
開示しても、この人なら悪用はしない、この企業なら信頼できる、というように相手を信じることが根本となって、成り立っているのです。
インターネットの普及は人びとの生活を快適にしてくれました。
そして新たなビジネスが生まれ、なによりも可能性を与えてくれたのです。
同時に、以前はありえなかった問題も生み出してしまいました。個人情報もそんな問題のひとつです。
これはまだまだみんなで解決法を模索していかなければなりません。
信頼というネットワークが問題を克服する鍵だと、強く感じます。
個人情報を悪用する手段が科学の進歩とともに増えていってるからこそ、個人情報の価値と漏洩のリスクが高まってきてるんだろうね。