かんたんでおいしい自家製の梅酒
あなたの家では「梅酒」を作っていますか?
大きな瓶に梅と氷砂糖を入れて、それに焼酎や日本酒を漬け込んで作ります。2〜3カ月ほど冷暗所に置くと、きれいな薄いこはく色の、とてもおいしい梅酒になります。
夏は水割りやロックで飲んだり、冬はお湯割りにしたりと、1年中楽しめます。作るときに多少の手間はかかりますが、手軽にできます。それに、果物を漬け込んで作る果実酒って、なんだかワクワクしませんか?
味を自分の好みに調節したり、その年の梅の出来栄えがわかって季節を感じたり。梅酒作りは置いていくうちにどんどん味が熟成されていく過程など、プラスアルファの楽しみがあると思います。
気をつけていただきたいのが、
梅酒は作り方によっては、法律違反になってしまう
ことです。禁酒法時代のアメリカのギャング映画みたいに、いきなり監察官が踏み込んできて逮捕!なんてことはありませんが、やはり気をつけるべきですよね。
どうして梅酒の作ると違法になるのか
最初に知っていただきたいのは、
お酒を作ると、税金を払わなければいけない
ことです。梅酒を作るのも「酒類の製造」となって、課税せずに作ると、違法になってしまいます。
家で作るのは制限付きでオッケー
だとしたら、おうちで梅酒を作っている人たちはどうなるのでしょう?
毎年5月頃になると、スーパーや食料品店で、青梅、氷砂糖、そして、梅酒をつける大きな瓶が売られています。もし梅酒作りが違法なら、一般のお店で梅酒セットを販売しても大丈夫なのでしょうか?
実は、
個人で楽しむ、自分が飲むために作る
のは、酒類の製造の例外規定です。ですが、やはり規制があります。
以下が禁止されていることです。
- アルコール分20度以下のお酒で作る
- 課税されていないお酒を使う
- 禁止されている食材を混ぜる
- できた梅酒を売る
梅酒作りでしてはいけないこと
アルコール分20度以下のお酒で作る
自宅でお酒を作るとき、
「発酵させて造ると違法」
です。アルコール分20度以下のお酒で作ると、自然の酵母(こうぼ)でアルコール発酵(はっこう)が始まってしまいます。
また、25度以下のアルコールで作った場合、長期間の熟成でカビが生えたり、腐ってしまうこともあります。必ずアルコール分20度以上のお酒で作りましょう。無味無臭のホワイトリカーが一般的です。
ブランデー、ウイスキー、ジン、ラム酒、焼酎などの無味無臭ではないお酒でも作ることができますが、使ったお酒の味が、出来上がった梅酒に影響します。
課税されていないお酒を使う
法律で規制されている、と、何度か書きましたが、この法律とは
「酒税法」
のことです。日本で扱われているお酒には全て税金がかかっています。課税されていないお酒は密造酒です。密造酒を手に入れることそのものが、法律違反です。
禁止されている食材を混ぜる
- 穀類(米、麦、とうもろこしやでんぷん)
- ぶどう
などを混ぜると、梅酒を作る過程で発酵が起こり、アルコールが生成されます。酒税法ではアルコールを発酵させることを禁止しています。梅酒を作るのは「混和」といって、素材を混ぜ合わせるだけで、発酵は起こりません。だから、例外的に許可されているのです。
また、
- 塩
- 色素、香料
- 酒かす
などもいけません。ここで紹介した食材は一般的なものです。自家醸造で混ぜてはいけない食材について、詳しくは国税局のHPをご確認ください。
できた梅酒を売る
とてもおいしい梅酒が作れたからといって、
それらを販売してはいけません。
あくまでも個人で楽しむ範囲のみです。家族で楽しむのも問題がありません。販売ではなく、知り合いに譲るのならば大丈夫なようです。
旅館やレストランで自家製の梅酒を出しているところがありますが、これらはあらかじめ税務署に申請されたものです。
テレビで放映された梅酒作り
過去に何度か、料理番組などで梅酒作りが取り上げられてきました。その際に、アルコール度14%ほどのみりんを用いたため、
「放映後に謝罪放送」
がおこなわれたり、内容が修正されたことが何度かありました。
見てないようで、ちゃんと見る人は見ているのですね。家庭内のことだからと油断せずに、梅酒をつくるときは注意しましょう。
まとめ
忘れてはならないのは、家庭で梅酒を作るのは「例外」として認められている、ということです。
お酒を作るのにも免許が必要だったり、税金の申請が必要だったりします。うっかりお酒を発酵させないように気をつけましょう。
また、自家製の梅酒で作るカクテルなどは、飲む直前に何かを混ぜてもアルコールの発酵は起こりませんので問題ありません。ただし、作りおきはいけません。飲むときに、飲む分だけを作りましょう。
法律は「知らなかった」じゃ済まないってところがこわいよね。お酒づくり、気をつけよ!