日本人は、本当に「耳かき」が好きみたいです。
ネットや雑誌を見ていると、医療関係から町ネタまで、「耳かき」についてのウンチクは、よく出て来る話題のひとつです。
21世紀の大都市では、「耳かき店」なるものが流行っています。
実は自分でマメに耳掃除をする習慣は、東洋ではありますが、西洋ではほとんどありません。これは、国際結婚した人がよく受けるカルチャーショックのひとつとして有名です。
- 「耳の中に指より細いものを入れるのは危険!」
- 「耳掃除は、耳鼻科にやってもらうこと」
という常識の欧米人から見ると、日本人の耳かき好きは、クレイジーに見えるようです。
コデンの最新型耳かき
根こそぎ耳かすを掘り尽くせる究極の耳かき?
『コデン』という、工業用ハンディスコープなどを作っている会社が売り出している、
「イヤースコープ」
を紹介する記事が、マイナビニュースに載っていました。上の小見出しは、その記事のタイトルから引用しました。
イヤースコープは、先端に小型カメラを搭載した耳かきです。パソコンに耳の中の画像を映し出し、自分で耳の中を見ながら耳かきできるというシロモノです。上記の記事は、それを実際に使ってみた記者の「気持ちいい体験レポート」になっています。
これ、本当に気持ちいい?
記事のタイトルを見て、まず初めに
「根こそぎ耳かきを掘り尽くすのって、気持ちいいことなんだろうか?」
という疑問が沸きました。
たまにやる耳掃除や、プールなどの後で湿った耳の中を綿棒で拭いた時、確かにさっぱりします。が、日夜よく目にする耳かきネタの中で
「耳かきはやりすぎると良くない」
という耳鼻科医のアドバイスをよく見ます。
また、前に、毎日耳かきしていたら、耳の中が炎症して、ちょっとかいただけで血が出たり、痛みを感じるようになった、という経験がありました。ですから、そこまで徹底的に耳かきすると、気持ちいいを通り越して痛いんじゃないかと思えたのです。
そして何より、「耳アカがついている耳の中」を拡大した画像は、あまり「気持ちいい」ものだとは思えませんでした。まあ、試しに記事の中の画像を引用してみましょう。
正直、私はこれ、気持ち悪いです。
耳かきはからだにいいもの?悪いもの?
耳アカって取った方がいい?取る必要ない?
いろいろな耳かき情報を見ていると、詰まる所耳かきはした方がいいのか、しない方がいいのか、専門家の意見も意外と統一されていないことがわかります。
- 「耳の中は、自然に奥のものが手前に出て来るように皮膚が新陳代謝している」
- 「耳の入り口から1センチ以上奥には耳アカ物質の分泌腺はない」
というウンチクをよく目にします。これは、身体構造的に正しい事実です。
だから、
- 「放っておいても自然に耳アカは耳の外に出てくる、本来中にはたまらないもの」
- 「人が耳かきをするのは、ただ気持ちいいからやっているだけ」
という、「耳かきなんて必要ない説」を見聞きしたことがあります。
耳アカは溜まると怖い
しかし、耳掃除しきれなかった耳アカが奥で固まり、難聴症状を起こして耳鼻科にくる子どもが、日本では時々いるそうです。完全には自然に耳の外に耳アカが出てくるわけではないようです。
そして、耳かき習慣のない欧米では、大人も突然の難聴や耳鳴り、めまいなどを訴えて病院にいくと、固まった耳アカで耳の中が塞がった状態になっていることがよくあるそうです。
この状態は
『耳垢塞栓[じこうそくせん]』
という立派な病気です。
鼓膜の前が完全に塞がってしまえば、聞こえが悪くなり、汗や入浴時の湿気などでふやけて耳の中を圧迫することで、めまいや肩こりなどの症状も起こします。
「耳掃除は自分でやらないように」と勧めている欧米の耳鼻科医も、定期的に耳鼻科で耳掃除をすることは奨励しています。
耳アカをためないために、耳かきしないほうがいい?
結局、
- 「耳アカはためてはいけない」
- 「耳掃除はしたほうがいい」
というのが、耳鼻科医的には共通認識のようです。
ただし、耳掃除の仕方が悪いと、逆に耳アカを耳の奥に押し込んで、固めてしまう場合があるため、やった方がいい・やらない方がいい、という見解の違いが出てきている、というのが真相です。
日本人の耳アカは乾いている
日本人の耳アカは乾いて粉のようなタイプがほとんどなので、耳かきや綿棒で押し込まれにくいです。細かすぎて奥まで入ってしまうことも多いですが、綿棒を無理に押しつけなければ、固まってしまうことはあまりありません。
欧米人の耳アカは湿っている
一方、欧米人の耳アカはベトベト湿ったタイプが多いです。耳かきがないため、耳に水が入った場合など綿棒で耳掃除するのが普通ですが、ベトベトタイプは綿棒で奥に押し込まれやすいため、耳鼻科医に任せることが勧められるのです。
耳かきやりすぎにご用心
乾いた耳アカの日本人でも、耳かきしすぎて表面が炎症すると、血や透明な浸出液が出て、中でジュクジュクします。一度かさぶたができると、剥がれるときまたジュクジュク→かさぶたを繰り返し、耳アカも固まりやすくなります。だからやりすぎは良くないのです。
耳の中が炎症したり傷ができたりしていないかをちゃんと見ながら耳かきする、という意味では、気持ちいい・悪いに関わらず、イヤースコープはなかなか使えそうな道具です。とはいえ、耳かきひとつに16,800円はちょっと高いですよね(笑)
目で見てばっかりいると視覚ばっかり鍛えられちゃう気がするから、ほかの五感も鍛えてあげたほうがいいような!いや、ただ自分の耳アカ見たくないだけなんだけど。