最近は、一人暮らしで猫を飼う人が増えているとか。
なんていう人のために、世の中には「猫用ワイン」というものがあるようです。
2016年6月、アメリカ・コロラド州デンバーの企業家ブラン・ザバラ氏が立ち上げた『アポロピーク社(Apollo Peak)』が、「猫用ワイン」を開発・発売した、というニュースが、日本でもあちこちのニュース・情報サイトなどで流れていました。
世界中の猫好きさんたちから歓迎された猫ワイン
西洋マタタビと水で作ったドリンク
「いやいやいや、猫にアルコールはいかんでしょ。動物虐待でしょ!」
と、思った人も安心してください。猫用ワインには、アルコール分は含まれません。
原材料は、主に水と「キャットニップ」と呼ばれるハーブです。そこにビート(西洋大根)の色素を使って色をつけ、少々の塩で味を調えてあります。
キャットニップは、直訳すれば“猫が食むもの”ですが、和名はなぜか「イヌハッカ」といいます。
実際に、猫が大変好む傾向があり、別名「西洋マタタビ」とも呼ばれています。
日本では“虫避け”効果があるといわれ、窓の下などに植える人もいます。ただ、虫は避けられるかわりに、猫が集まってきて昼寝処にされてしまった例もあるようです。
素材と味にこだわった美味しいワイン
アポロピーク社のHPを見ると、キャットニップはもちろん、ビートについても、厳選されたオーガニック(有機栽培)素材にこだわり、猫の健康に気を使っていることがうかがえます。
猫好きの人はよくご存知ですが、猫は水をあまり飲みません。猫のからだは、体内で水を上手にリサイクルさせる仕組みができており、おしっこは、本当に老廃物を排出するためのみに出すだけなのです。
また、水以外の人間が飲む飲料の多くは、猫には百害あって一利ないものであり、知らずにミルクやミネラルウォーター、お茶などを与えていると、下痢や尿結石を患う例が少なくありません。慎重な猫は、滅多に自分から水以外のものを飲みません。
そんな猫さんたちに気に入ってもらうため、猫の好むハーブ、ビートを原料に、猫が好む配合と塩分の調整に、数か月の研究を要して開発されたそうです。
白が『モスキヤット(Moscato)』
赤が『ピノ・ミャウ(Pino Meow)』
という商品名で発売されました。ワインぽくブドウの名前のダジャレになっています。
果たして猫さんたちの反応はいかに・・・
そこまでこだわって研究しましたが、実は体質によって、キャットニップを好む猫とそうでもない猫がいるそうで、統計的には、約65%の猫が寄ってくる派だそうです。
発売以後、「うちの猫は無反応だったけど」というコメントも、残念ながら報告されています。
が、喜んで舐める猫も少なくなかったようで、アポロピーク社のSNSには、ユーザーから寄せられた、喜ぶ猫たちの写真や動画も数多く紹介されています。
開発を始めたきっかけとなった、ワイン好きだった顧客の猫ちゃんの画像が、最も多く拡散されていました。日付を見ると、この猫ちゃんが開発に協力してくれた子ですね。
日本人が先に開発・発売した猫ワイン
日本製猫ワインは既に2013年からあった!
残念ながら、アポロピークの事業展開は、この記事掲載の段階では、まだアメリカ国内に留まっています。どこかの輸入品取扱店が手を挙げるのを待つか、アメリカ旅行のお土産に買う以外は、猫ワインを手に入れることは難しそうです。
が、実は、日本のペット専用飲料メーカーとして知られる「B&H Lifes社」が、2013年10月に、猫用ワイン
『ペットと乾杯ニャンニャンぬーぼー 赤』
を発売していました。なんとこちらは日本の“マタタビ”入りです。
が、しかし、これは飲料嫌いの猫を振り向かせるだけの商品ではなかったようで、開発段階から、
“9割の猫が飲まなかった”
シロモノであり、発売時もそのことを謳って
“ま、気分だけも・・・乾杯してみてね”
みたいなノリで売られていました。
『9割の猫が飲まない!』 pic.twitter.com/VoXDusjg7t
— 」 (@maremlin) 2014年9月2日
「なんだかなぁ、おいっ!」って感じですが(苦笑)、当然ヒット商品となるわけもなく、“限定商品”なのに、3年たってもまだ通販サイトに載っているという・・・・
マタタビは猫が喜ぶわけではない
誤解されやすいのですが、マタタビも猫の中枢神経に作用し、主に性的興奮を物凄く促進するものです。興奮してデレデレしてくる様が、酔っぱらっているように見えますが、脳を麻痺させる作用も強いため、猫によっては命取りになる植物です。
媚薬みたいな効果で寄ってきてしまいますが、“喜んで欲しがるもの”ではないのです。
このワインに配合されているくらいの量ならば、猫の健康に大きな害はないそうです。
“個人輸入めんどくさいし、気分だけでもいいや~”
という人は、一度お試しください。もしかしたら、お宅の猫さんは、10%の希少なほうで、飲んでくれるかもしれません。
「ニャンニャンぬ~ぼ~」ってすごいネーミングセンスだよね。だんだん「ぬ~ぼ~」の『~』が猫のヒゲに見えてきたよ。