9月生まれ 花の豆知識

9月の誕生花フヨウ/でも写真はムクゲ?本当はハイビスカス!?

Written by すずき大和

多くの国で、花屋さんの業界などが「誕生月の花」を決めて発表しています。

発表元によってバラバラで、国によってもかなり違います。

9月の誕生花は、特に多様にあげられています。

世界的に「アスター」が一番ポピュラーです。が、国ごとに特徴的なものもあります。

  • イギリスでは、「ヤグルマギク」
  • フランスでは、「ダリア」
  • アメリカでは、「アサガオ」
  • 中国では、「キク」

日本では、

  • 「クジャクアスター」
  • 「リンドウ」
  • 「フヨウ」

が、他の国には見られないラインナップです。

今回は、その中から「フヨウ」のお話です。



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フヨウはハイビスカス!?

夏休みの光景によく出てきますが、秋の花です

日本でよく見られるフヨウは、日本原産の品種です。

「フヨウ(芙蓉)」
(学名「Hibiscus mutabilis ハイビスカス・ムタビリス」)

は、関東以南の日本で、玄関先や公園、街路樹など、夏になるとあちこちで目に付きます。

中世初め頃から既に庭木として栽培されていました。芭蕉や正岡子規も「芙蓉」の句をいくつか残しています。

7月半ば頃から咲き始め、10月くらいまで花期が続きます。お盆休みの頃、暑さの盛りの中で咲いている印象が強く、

「夏の花」

というイメージもあります。

が、暦の上では、「立秋」(8月7日頃)以降は“秋”ですから、

フヨウは“秋の季語”です。

アオイ科フヨウ属の花

フヨウはアオイ科フヨウ属の花です。フヨウ属の学名は

「Hibiscus(ハイビスカス)」

そうです。ハワイやハイチ、マレーシアの花の印象が強い、あの赤や黄色のトロピカルな「ハイビスカス」も、アオイ科フヨウ属の仲間です。


日本語でも英語でも、ハイビスカスは、一般的に狭い意味であの南国の花を指しています。が、園芸や植物学的には、広義の意味でハイビスカスということも少なくありません。

ブッソウゲとフヨウ

ちなみに、南国のハイビスカスの赤い花は、日本名は、

「ブッソウゲ(扶桑花・仏桑花)」
(学名「Hibiscus rosa-sinensis ハイビスカス・ロサ・シネンシス」)

です。「ブッソウゲ」でも「ハイビスカス」でも、真夏の季語になります。熱帯地方の花はやはり夏のイメージですね。フヨウより早く5月頃から咲き始めるので、まさに夏の到来を知らせる花です。

日本人の感覚では、季節も見た目も違う花を同じ花名でくくってしまうことにはとても抵抗があります。フヨウは特に「日本古来の花」のイメージがありますから、エキゾチックなハイビスカスとは、全然違う!と感じる人も多いでしょう。

が、しかし、薄紫色やピンク色のハイビスカスの写真とフヨウの写真を並べると・・・・花は案外そっくりなんです。実際はハイビスカスの花の方が大きいので、間違えることはありませんが。

フヨウ


ハイビスカス


それ、フヨウじゃなくてムクゲです!?

フヨウの写真を探してみよう

日本の夏・秋を彩るフヨウの花は、プロ・アマを問わず、写真家の皆さんからも被写体として選ばれることが多いです。ネットの写真投稿サイトや素材提供サイトはもちろん、個人のブログなどでも、たくさんの人たちが撮ったフヨウの写真が掲載されています。

が、実は、個人が自主的に掲載しているフヨウの花の写真の中の、ざっと見て1~2割くらいは、「フヨウ」というタイトルがついていても、写っているのは

「ムクゲ(木槿)」
(学名「Hibiscus syriacus ハイビスカス・シリアカス」)

のようです。

韓国の国花として知られるムクゲも、アオイ科フヨウ属(ハイビスカス)です。

フヨウ属全体は、熱帯から温帯にかけてのアジア原産ですが、ムクゲとフヨウは生息域と花期がほぼ被っています。日本にもたくさん自生、または植栽されています。

知識があれば両者の区別は簡単です。が、花の大きさと色形はそっくりなので、花しか知らない人は、ムクゲをフヨウだと思って見ているケースがとても多いようです。

フヨウとムクゲの違い

では、ムクゲの花のアップの写真を見てみましょう。これも「芙蓉(フヨウ)」と紹介されて無料素材サイトに載っていたものです。

ムクゲ

ムクゲ


上のフヨウの写真と比べてみてください。ハイビスカス以上にそっくりでしょう?

よく見ると、ムクゲのほうはめしべの先がまっすぐであまり分かれていません。フヨウのほうはめしべの先が上を向き、広がって枝分かれしています。ただ、これは個体差もあり、めしべがまっすぐなフヨウもたまにあります。

フヨウ2


フヨウとムクゲの区別は、実は、葉を見ると簡単に判断できます。写真をよく見ると、フヨウは濃い緑色の大きな葉ですが、ムクゲの葉は小さめで、色も明るめなのがわかるでしょうか?

また、枝ぶりもスラッと上に伸びるムクゲに対し、フヨウは横にもたくさん枝分かれして、こんもりとした樹形になるので、遠目に見ると違いがわかります。

日本人のイメージとしては、

  • フヨウ=日本の花
  • ムクゲ=韓国の花
  • ハイビスカス=ハワイやマレーシアの花

という認識が一般的な感じですが、日本でもムクゲとフヨウは案外一緒になっており、さらに西洋人から見ると、みんな

“アジアのエキゾチックなハイビスカス”

としてひとくくりの仲間のようです。ちょっと意外でしたね。

まさケロンのひとこと

ややこしすぎてびっくりしたよ!正直見ただけじゃまったくわからないよまさケロンは。
花って不思議だね~。

masakeron-surprised


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。