早く出たければ勝て
まるで映画のような話
所長が葉巻をふかしながら、問いかける。
男は小さく頷いた。
男は拳を握りしめた。
外国人ボクサーと戦い、勝てばシャバに出られる。
彼は心に誓った。
どんな相手だろうと必ずリングに沈めてやる。
そして、おれはここからおさらばするんだ。
刑務所に服役中の囚人が所内で行われるボクシングの試合に勝てば、刑務所から出られる。
まるで映画のワンシーンのような話ですが、タイでは実際にに行われていることを知っていましたか?
冒頭のようなやりとりがあるかどうかは別として、タイの多くの刑務所では減刑をかけたボクシングの試合が行われているそうです。
そのためのリングを常設した刑務所さえあるという話です。
賞金と減刑が報酬
さすがに勝てば即釈放はされません。
賞金と所長との面談をする権利が与えられます。
面談によって減刑が決められるとのことです。
まあ、事実上減刑されるということらしいです。
タイといえばムエタイに代表されるように格闘技が盛んな国といわれています。
多くの男性が程度の差こそあれ格闘技を経験しているといっても過言ではありません。
実際
プリズン・ファイト
と呼ばれるこの試合はほぼ囚人が勝利するそうです。
格闘技の技術もさることながら、減刑がかかっているわけですから、一日でも早く釈放されたいと願っている囚人たちにとっては気合の入り方が尋常では無いのです。
意外なことに対戦相手となる外国人選手にも「プリズン・ファイト」は人気があるそうです。
刑務所で試合をしたということで話題になり、名を売ることが出来ると考えているようです。
なぜ減刑までして戦わせるのか?
ムエタイで勝つことは国の名誉になる。
それにしてもなぜ試合に勝っただけで減刑されるのでしょうか。
囚人といえば犯罪者です。
もしかしたら持て余している暴力衝動をボクシングで発散させて、再犯防止を狙っているのでしょうか?
どうやら違うようです。
ムエタイといえばタイの国技に指定されています。
日本の柔道のようなものです。
この国技の技術を駆使して外国人選手に勝ったことに対する名誉として減刑が与えられるそうなのです。
「プリズン・ファイト」は国の名誉をかけた戦いといえるでしょう。
まさに極限状態における男の、いや国の名誉をかけた戦いなのですね。
いい忘れましたが参加資格があります。
ただムエタイが強いだけでは戦えません。
刑務所内の態度も良いものでなければ参戦できないのです。
日本ではちょっと実現が難しい制度ではありますが、タイの囚人たちは今も減刑をかけた戦いに挑んでいることでしょう。
ほんまに映画みたいな話やなぁ~
スポーツを利用して社会復帰のリハビリになったらええな!