春うらら、花の季節になりました。
食卓にもこの時季旬の山菜や春野菜が並ぶようになってきました。
3月半ばから5月いっばいくらいにかけては、タケノコも美味しいですね。
タケノコは、竹の子とも筍とも書きます。
竹の芽なので「竹の子」ですが、「筍」はどういう意味か知っていますか?
旬とは上旬・中旬・下旬の旬、つまり十日間の意味です。
筍は芽が出て竹の形態に伸びるまで、10日くらいしかかかりません。
竹の最初の十日間が「筍」なんですね。
他に類を見ない驚異の成長スピード
どんどん生長する様子が慣用句にもなっている筍
竹は、すくすくと育つ様が
- 竹のよう
- 筍のよう
と例えられるくらい、生長するスピードが早い木です。
筍の場合は、発芽したては一日に数センチくらいの伸びですが、日を追うごとに伸び幅が大きくなります。
見る見るうちに生長するので、子どもが親よりも優れていることを例える慣用句に「竹の子の親まさり」というのもあります。
でも、十日目以降の竹は1日に60~120㎝伸びますから、本当は親の方がずっと勝っているんですけどね。
猛スピードで大きくなる秘密は「節」
竹の子や竹がこんなに早く伸びる秘密は、その特殊な構造にあります。
竹には節がありますが、これは芽(筍)の状態の時に、既にすべての節ができあがっています。
発芽したばかりの筍では、節と節の間がぴったりくっついていて隙間がありません。
竹の成長するポイントは、この節のところにあるので、時間と共に節と節の間がどんどんあいていくように伸びていくのです。
一節が一日に2㎝だけしか成長しないとしても、竹1本で60節くらいあるため、トータル120㎝も大きくなってしまいます。
ひとつひとつの筍の旬はほんの一瞬
筍が美味しく食べられる時間は10日もない
そんな猛スピードで生長する筍は、確かに10日目くらいまでは筍の形をしています。
しかし、それくらいになって芽の先っぽから緑色の芽が覗き、皮の色もこげ茶色になってくると、もうえぐみが強く、根本も固くなってしまっているので、食べるには遅すぎます。
収穫するなら、穂先が土からちょっと顔をだしたばかりで、本体はまだほとんど土の中にあるくらいがいいのです。
このくらいだと、穂先が黄色く、皮も薄茶色、節目の間隔がまだ狭くくっついており、えぐみもほとんどなくて柔らかいです。
筍ひとつひとつについては、食べごろ期間はほんとうに短いものなのです。
筍の成長以上に凄まじい地下茎の生長
そんなに一瞬しか旬がない筍ですが、収穫期間は結構長いんです。
同じ竹林なら、だいたい30日間くらいが筍堀りのシーズンです。
これは、筍の発芽期は、地下茎ももの凄い勢いで伸びるためです。
横に地下茎を伸ばしていくことで増えていく竹は、その地下茎の節の所から新芽が出て筍になります。
地下茎は毎日数メートルの単位で伸び、竹林の中に広がって行きます。
そして伸びていったところから、どんどん順番に筍が発芽していきます。
地上で見ていると、毎日毎日、次々と新しい筍が顔を出し続けるので、収穫期間は長くなるのです。
瓶詰めや水煮など、今は一年中食べられる筍ですが、やはり旬の時季の取れたては、香りもよく美味しさが違います。
筍農家さんが、ひとつひとつの筍のここぞという旬を狙って収穫してくれていると思うと、なんだかとても貴重なものに思えてきます。今年もそんなレアな春の味覚、ぜひお楽しみください。
ええなぁ~
竹の子はやっぱりてんぷらが一番やと思うで!