5月の走りの頃には、ひと箱何万円という値段が付いていた高級果実
さくらんぼ
6月半ばを過ぎるとようやく庶民が手軽に手に入れられるシロモノになります。
中でも、さくらんぼの王様と言われる佐藤錦は、6月後半から7月頭のせいぜい20日くらいが貴重な旬です。
つややかに赤く光る宝石のようなさくらんぼ、あなたは今年もう食べましたか?
さくらんぼはどうしてこんなに高価なのか
なかなか手が届かない希少な宝物
さくらんぼが高級品である最大の理由は、その希少価値ゆえです。
トルコ原産のさくらんぼは紀元前の時代か作られていた栽培種です。
明治時代にアメリカ経由で日本に伝わりました。
その後苗が入ってきて、日本でも栽培が試みられました。
実が雨に濡れるとダメになってしまうため、丁度収穫期が梅雨にあたる日本では、ほとんどの地域で失敗してしまいました。
唯一梅雨が短い山形県周辺でのみ収穫までこぎつけました。
以後、技術革新や品種改良も進み、生産地も少しだけ広がりましたが、今でも生産量の8割弱は山形県産です。
限られた産地の限られた生産量しかない国産さくらんぼは、今でも大変希少な作物なのです。
命短し・・・早く食せよさくらんぼ
さくらんぼの希少さを更に高めているのは、その命の短さです。
桜は順番に花が咲いて順番に実ができていく木ではないですよね。
短期間に一気に収穫されるため、旬の時季がとても短いのです。
更に、追熟(収穫してからしばらく置いておいて熟させること)させないさくらんぼは、十分に熟してから収穫されますが、実がとても傷みやすく、賞味期限はせいぜい2、3日、収穫した翌日に売れないと商品になりません。
冷蔵庫に入れておいても、翌日には食べないと、見た目も味もあっという間に劣化します。
驚くほどの手間暇かけて作られるさくらんぼ
丸くて大きな赤い実を収穫するための苦労
さくらんぼの単価をあげるもうひとつの理由は、さくらんぼ生産には、とても多くの手間とお金がかかるためです。
前述のように、実が大きくなってくると、雨にあたると割れてしまいます。
そのため、収穫期が近づくとビニールの屋根をつけます。
一方で、赤く熟させるためには日光に当てないといけないので、反射材を下に置いて全面に光が当たるようにしたり、天気を気にしながら屋根の開閉調整をする必要があります。
品質が落ちないように、消費者へ届けるための苦労
熟したものを見定めて収穫するので、ハシゴや昇降機を使い、全て人の手でひとつひとつもぎ取っていきます。
リンゴやミカンの木に比べると桜の木は高さが相当ありますから、屋根付けも収穫もその分危険も伴い、重労働です。
一気に収穫しないといけないので、季節作業要員もたくさん必要です。
実は寒さにも暑さにも弱く一度冷蔵庫温度にしたものを常温にもどすと痛みの速度が速くなります。
そのため、朝採り品をその日のうちに保冷剤を入れて常温で配送する、クール便輸送の場合も通常より高い温度に保たれるよう、様々な手間と工夫を凝らしています。
さくらんぼは、生産量も希少ですが、農家の人たちの物凄い手間暇がかけられたものであるからこそ、宝石のような高級品となっています。
赤く可愛らしく、酸味と甘みのバランスの絶妙な、美味しい日本のさくらんぼ。生産に携わる人たちの愛情をたっぷり感じながら、ぜひ感謝して味わってください。
さくらんぼってこんなに作るのに、手間暇かかるんやね。
しっかりと味わって食べやんとアカンな!