牛丼こそ国民食だ
庶民の味方、牛丼
そしてすべてのエキスをたっぷりと吸い込んだ白飯。
口に入れたときの触感がまた格別。
溶けそうなほど柔らかいのに歯ごたえのある牛肉を、そっとしかし力強く咀嚼すれば、秘伝のたれで煮こんだ肉とタマネギが渾然一体となり、牛丼ならではのハーモニーを醸し出す。
そのハーモニーをひとしきり味わった後は白飯をかき込むのだ。
そう、白飯は咀嚼してはいけない、つゆ浸しとなった白飯はかまずに飲み込む。
あたかもお茶漬けを食すがごとく。牛丼の白飯は飲み物であると心得るベし。
牛丼は庶民のためのメニューなのだ。
けっして高級な牛肉を使ってはいけない。
切り落としにこだわる必要がある。
考えてみれば牛丼は演劇のようなものだ。
どんぶりは牛肉とタマネギ、そして白飯の舞台なのだ。
これらの食材が最高の舞台を演じるため最大のパフォーマンスを引き出す。
そこに高級牛肉だとか最高のタマネギであるとか、頂点を極めた米などの出番はないのである。
血筋ではない、平凡な食材がどこまでやれるかが問題なのであって、観客=食す者が満足できるか否かが最大の課題なのである。
牛丼こそこれからの世代に伝えていかなければならない日本の貴重な食文化なのである。
ということで、筆者は牛丼が大好きです。
もともと丼物が好きでした。
ご飯に具材をのせて食べるというスタイルがとても気に入っています。
なかでも牛丼は安いし、普及しているため身近な存在ということもあり、食べる機会が多かったのも好物になった理由の一つだと思います。
でもカロリーが気になる
でもやはり気になります、
カロリーが。
だいたい並盛りのカロリーは600kcal前後。大盛りでは750kcal前後といったところです。
まあずば抜けて高カロリーということではありませんが、あまり頻繁に食べると、太ってしまう可能性がありますね。
ダイエットをしている人は避けてしまうのではないかと思います。
牛丼には一般的に太りやすい食べ物というイメージがあるような気がします。
筆者はいままで何度も牛丼店で食事をした経験がありますが、女性客はほとんど見かけたことがありません。
牛丼といえば男性の食べ物という暗黙の了解があるようです。
太った方がいいのかやせた方がいいのか
ダイエットについてはよくわからなくなってきている。
さて、話は変わりますが、現在は太るということが罪悪のように見られている傾向があります。
メタボリックシンドロームという言葉が一般的になってきているように、太ることは百害あって一理なし。
国を挙げてメタボ対策に力を入れています。
筆者も過去に健康診断でメタボ傾向ありと判断され、健康指導を受け、半ば強制的にダイエットさせられた経験があります。
ダイエットは成功し、体重58キロ、おなか周りが73センチになりました。
やせることはできましたが、でも本当にこれで良かったのでしょうか?
というのも、ある日、書店で
「長生きしたけりゃ太りなさい」
というタイトルの本をみたのです。
衝撃を受けました。太った方がいいのか、やせた方がいいのか分からなくなってしまったのです。
そして体重や体型に関して一喜一憂するのがバカらしく思えてきたのです。
専門家の助言に従い軽い運動を毎日続けてやせたと思ったら、太った方がいいという意見もある。
まるで梯子を使って屋根に登ったら、とたんに梯子を片づけられてしまったような心境です。
ダイエットは成功した。だったら次は逆ダイエットに挑戦だ
次は太ってみよう
やせることができたときは正直うれしかったです。
筋トレはしていないのでお腹が割れるようなことはありませんでしたが、ズボンのサイズはワンサイズ下になりましたし、いままで着ることができなかった細身のデニムもそれなりに似合うようになったからです。
生活が一変したといったら大げさですが、ちょっとだけ新しい自分になれた気がしました。
ところが書店の一件があって以来、やせたことに喜びを感じていた自分に嫌気がさしました。
そしてある日思いついたのです、
太ってみようと。
まさに時代に逆行した行動です。
太ろうと思ったのには訳があります。
やせて新鮮な体験ができたのだから、その逆もまたしかりだろうということです。
そして今度は太ってみたら、太った方がいいのかやせた方がいいのか自分で判断できるのではないでしょうか?
このような経緯で筆者は逆ダイエットを行おうと心に決めました。でも、だだ太るだけではおもしろくありません。
牛丼を食べ過ぎると本当に太るのか試してみよう
そこで牛丼を食べ続けると、太るのかを試してみることにしました。
牛丼につきまとう、高カロリー、太るというイメージが事実なのかどうか体を張って調べてみようと思い立ったのです。
ルールを決めました。
とてもシンプルです。
- 毎日一食かならず牛丼を食べる。
- サイズは大盛り。運動はしない。
- これを一ヶ月続ける。
太るイメージのある牛丼。
はたして本当にそうなのかこれで証明できることでしょう。
筆者が通勤に利用している最寄り駅前には牛丼のチェーン店があります。
条件は整っています。
そして、牛丼による逆ダイエットを一ヶ月続けました。以下はその記録です。
一週間経過
体重に極端な変化はないが、少しづつ増えてきているようでした。
はっきりとした変化は体型に出ました。
始めて三日目ぐらいからお腹が出始めたのです。
筆者は食事直後はお腹がぽっこりと出る体質でした。
通常なら食後しばらくするとお腹の膨らみも消え、普通の状態に戻るのですが、今回はお腹は出たままで、引っ込みません。
まだそれほど目立ってきてはいませんが、明らかに変化しています。
腹囲を測ってみると1センチ程度増えていました。
二週間経過
一週目と大きな変化はなし。
体重は徐々に増えてきています。どんどん肉が付いてくるだろうと予想していたお腹周りもあいかわらずぽっこりとしてはいるものの、これ以上大きくなるようなこともなく安定してきました。
しかし見た目では分からない変化は起きているようです。
走るとそれが感じられます。
お腹の肉が上下しているのが感じられるのです。
まるでプリンのように走るごとにプルプルと波打っているように感じられます。
まさに脂肪が増えていることが実感できます。
お腹がぽっこりしているのも、肉が付いてきたのではなく、脂肪が増えたからなのでしょう。
体型とは関連がありませんが、さすがにちょっと牛丼が飽きてきました。でも逆ダイエットのためです。美しく太るためにがんばりたいと思います。
三週間経過
と言われるようになりました。
お腹周りだけではなく、顔もぽっちゃりとしてきました。
あごの下の脂肪も若干だぶついてきています。
いくつかのデニムがきつくなってきました。
近所の牛丼屋ではすっかり顔なじみとなりました。
お腹周りのサイズは6センチほどアップし、体重もグンと増えました。あまり逆ダイエットに関係がないかもしれませんが、疲れやすくなってきました。
また下痢をする回数が多くなってきているように感じます。
一日三食プラス牛丼ですから、お腹を壊すのも無理はないかもしれません。
ちなみに仕事の関係で牛丼を食べる時間帯は深夜です。
だいたい午前0時から1時の間ぐらい。いちばん食べてはいけない時間帯です。逆ダイエットには理想的な時間帯に牛丼を食べているわけです。
四週間経過
ついに一ヶ月が経過しました。
体型はすっかり変化しています。
まるで妊婦のようにお腹が目立ってきました。
すこしゆったりめのカットソーを着てもお腹が出ているのが分かるような体型になりました。
また、顔も輪郭が丸くなり逆ダイエットに成功したことが分かります。
結局今履いているデニムがきつくなったのでワンサイズ上のものを急遽買うことになりました。
痛い出費です。では体重と腹囲の変化を見てみましょう。
- 体重:58.0kg → 67.4kg
- 腹囲:73.3cm → 83.7cm
体重約10キロ、腹囲約10センチ増加しました。
一ヶ月で約10キロの逆ダイエットに成功したわけです。
正直、こんなものなのかという感想です。
もうすこし太るのかと思っていました。
一番大きな変化があったのは体型です。
明らかに太くなりました。
デブと呼ばれるにはいま一歩ですが、なかなかのメタボ体型を手に入れました。
太ったことで何か得るものがあったか?
残念ながらなにもありませんでした。
でも不思議なことに無意識のうちに食事のバランスを調整していました。
深夜に牛丼を食べることが日課になっていたので、自然と日中の食事が軽めのものになっていったのです。
これは意識していたわけではなく、体がそのように要求していったという方が正しいかもしれません。
気が付くと野菜を食べるようになっていました。人間は本能的に食事のバランスをとるような能力があるということでしょうか?
追記 ー健康診断の意外な結果ー
逆ダイエットに成功した直後、健康診断を受けました。
誤算でした。前述したように以前健康診断で引っかかり、強制的に運動をさせられたという経験があります。
今回の逆ダイエットによって元の体型にもどってしまったのですから、メタボと判断されてしまうのは必至です。
最悪の場合、再び個別指導をうけて強制的なダイエットをさせられるかもしれません。
自分の計画性の無さ、学習能力の欠如にあきれかえりながら、健康診断を受けました。
先日、結果が出ました。読まずに捨てようかとも思いましたがそんなわけにもいかず恐る恐る目を通すと、
なんと結果はオールA!
すべての検査項目において異常はみられず、改善の必要はなし、という意外な結果でした。
これには驚きました。あらためて健康とか太っているとかやせているとかがどういうことなのか分からなくなってきました。あながちひたすらやせようとする方向は間違っているのかもしれませんね。
最後にひとこと。今回の記事は牛丼を否定する意図はまったくありません。牛丼は日本が生んだ素晴らしい食文化であることをあらためて伝えておきます。
まさケロンも牛丼毎日食べて太ろうかな~。
・・・え? おまえはもうちょい痩せろ?!