日本のこと 生活の豆知識

オノマトペは超日本語らしい日本語。外国人には通じないかも!

Written by すずき大和

うちの近所のイギリス人ブラウンさんは、日本語を勉強しているうちに漢字にハマって、最近ではすっかり「漢字ヲタク」化しております。もうその辺の文系大学生などより、よほど熟語の知識があって、私なんか、既に全然太刀打ちできません。

“魑魅魍魎(ちみもうりょう)”とか書けて読めちゃうブラウンさんですが、彼が最近

「日本語で一番難しいのはオノマトペ」

といっていました。

「オノマトペ」とは、擬態語とか擬音語の類、つまり

  • ぱらぱら
  • カチカチ
  • びろーん
  • シュポシュポ

などの表現です。

※ちなみに、このオノマトペはそれぞれ何かの俗称になっています。何でしょう?
答えは文末に。



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言語や文化で物凄く違うオノマトペの表現

英語圏のイメージとオノマトペ

英語と日本語では、動物のなき声の表現が違うことを知っている人は多いでしょう。

猫は日本語では「ニャー」、英語では「ミュウ(mew)」

犬は、「ワンワン」「バウワウ(bow-wow)」

豚は、「ブーブー」「オインク(oink)」

別に国が違うと動物の鳴き方も違うのではなく、音のイメージの捉え方と表現方法が文化によって違っているのです。

擬態語が豊富なのは日本語の特徴

鳴き声は擬音語なので、外国語の表現でも、何となくイメージすることができます。

一方、擬態語となると、知らなければさっぱりわからないものもあります。

「ドキドキ」「バダンプ、バダンプ(ba-dump ba-dump)」

「もふもふ」「フルフ(fluff)」

「キンキラキン」「ブリンブリン(Bling-Bling)」

「もふもふ」とか「キンキラキン」とか、日本語としてはとても俗語っぽい擬態語です。もっと一般文章で使われる擬態語の英語表現を探してみましたが、なかなか見つかりません。

  • 雨が“ポツポツ”ふってきた
  • 出触りが“サラサラ”していて気持ちいい
  • 何も考えずに“のこのこ”歩いていると・・・

などのオノマトペは、そもそも英語にありません。

元来、ものごとの表現にこんなにオノマトペを多用しているのは、日本語がダントツだそうです。他の言語では、オノマトペは俗語としての表現(漫画の表現など)に類し、公式な文章やスピーチで使うケースはとても少ないです。

「経済を何とかしないと、このままでは雇用が“ガタガタ”に崩れてしまいます」

なんて政治家がいってもおかしくない国は、世界ではとても珍しいのだそうです。

オノマトペのイメージは、その文化独特の捉え方

オノマトペを次々生み出す社会の共通イメージ

日本人は、なんでもオノマトペで説明するのが得意です。今もなお、新たな表現が生まれ続けています。

  • 「今日のお昼は“ガッツリ”食べたいな」
  • 「その手前の道を“ガーッと”曲がると・・・」
  • 「仕事を“サクサク”こなす」

こんな表現は、50年くらい前はほとんど使われていませんでした。が、初めて使った時から、前後の文脈と言葉のイメージから、たぶんちゃんと通じたと思われます。そして、イメージに合う表現だったので、その後定着して使われるようになったのでしょう。

言葉の音とリズムのアルゴリズムは世界共通ではない

私たち日本人には、なんとなく共通認識となっているイメージの構築アルゴリズム(隠れた法則)があるようです。しかし、それは、長い長い文化の中で育まれ、慣れ親しんだ感覚から生まれたものなので、他所の文化圏から来た人が、同じようなイメージを持てるとは限りません。

ブラウンさんは、

「若者が感覚的にオノマトペで表現する日本語は、ほぼ理解不能です」

と、早々にお手上げ宣言をしています。

「彼女が“プリプリ”なもんで」

といわれても、それが「怒っている」ことだと、すぐにピンとこない外国人は多いのです。

特に、それが

「いいイメージ」なのか

「悪いイメージ」なのか、

慣れないとなかなか瞬時に察知できないともいっていました。

「“キラキラ”の美少年ならウエルカムだけど、“ギラギラ”のおじさんは勘弁して~」

みたいな感覚を瞬時に理解できれば、ネイティブレベルの日本語マスター!らしいです。

濁音と清音のアルゴリズム

先日、放送大学の講座でたまたまオノマトペの話をしていましたが、その中で

  • 清音だと優しい、いいイメージ
  • 濁音だと強引な、悪いイメージ

という傾向があるという指摘がされていました。

現在の日本語は、元来の和語に中国から伝来した漢字の熟語がたくさん混ざっていますが、

“和語は清音で始まる言葉が多く、漢語は濁音で始まる言葉が多い”

という傾向があったため、オノマトペに

清音は好ましい濁音は好ましくない」というイメージ

が引き継がれているのではないか、と、講師は分析していました。

まあ、例外はあるでしょうが、多少はブラウンさんの参考になるかもしれません。

今度教えてあげようっと・・・・(笑)

では、最後に冒頭のオノマトペの答え合わせです。あなたはいくつ知ってましたか?

  • ぱらぱら:バブル期に流行ったダンス。手をぱらばら動かして踊るので。
  • カチカチ:道端で通行人の数をカウントしている人が持っているカウンター器具
  • びろーん:裁判の結果を「勝訴」とか知らせる人が開いて見せる掛け軸みたいなやつ
  • シュポシュポ:ストーブに石油入れるとき使う手動式ポンプ

まさケロンのひとこと

たしかに、これを外国人にわかってもらうっていうのはめちゃめちゃ難しいことかもしれないよね。でもよく自分たちは習得したよね。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。