アンチエイジング 未来創造

トランスヒューマニスト/究極のアンチエイジングは人体機械化!

Written by すずき大和

命あるものはやがて必ず老いて死にます。

「限られた命だからこそ、命は尊く美しい」

「死までの時間を悔いなく過ごすため、人は前を向いて一生懸命生きている」

という価値観の文化は少なくありません。

が、世の中には、

「年を取ることは病気だ」

「不老不死を目指して科学やテクノロジーを使って人間を変えていこう」

と考える人たちもいます。

アメリカには、からだに機械を埋め込むなどテクノロジーの力で不老不死を目指す

『トランスヒューマニズム』

という考え方の人たちがいて、彼らのムーブメントが静かに進んでいます。



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生物としてのからだを捨てて機械になって生きる?

トランプでもヒラリーでもない大統領候補

2016年はアメリカの大統領選挙の年です。民主党と共和党の争いのことばかりがニュースになりますが、ふたつしか政党がないわけではなく、その他の小さな政党や無所属の候補者も一応ちゃんといます。

『トランスヒューマニスト』として知られ、メディアで発言を続けていた「ゾルタン・イシュトヴァン(Zoktan Istvan)」氏も、2014年に政党「トランスヒューマニスト党」を作り、大統領選に立候補しました。

トランスヒューマニストたちは、自分の身体に自由にテクノロジーを移植できる環境づくりを目指していますが、現状の社会では法的な制限が多くあります。バイオテクノロジーの可能性も含め、科学とテクノロジーと生命についての考え方を、未来に向けて変えていこう、という流れが、今、米国の一部でひとつの社会運動となりつつあるのです。

身体の中に、機械を埋め込むということ

日経ビジネス・オンラインに、イシュトヴァン氏のインタビュー記事が載っています。

  • トランスヒューマニズムとは何なのか
  • 科学とテクノロジーの発展により、人は死を乗り越えられるのか
  • 死を否定することは、自然の摂理に反さないのか

なかなか興味深い解説が述べられています。

現状では人体完全機械化までは遠く及びませんが、身体にチップやディバイスを埋め込むテクノロジーは既に実用化されつつあります。

イシュトヴァン氏も手に名刺情報が書き込まれたチップを埋め込んでいます。

やがて、本人が手をかざせばロックが解除されるとか、オフィスや空港のセキュリティを通り抜ける身分証として、埋め込みチップが使われることが普通になるだろうと思われます。血液型や持病などのデータが読み取れるチップが埋め込まれていれば、救急時の医療機関での対処効率が上がるでしょう

あらゆるテクノロジーを容認する

また、脳などにディバイスを移植する技術が進めば、事故により不随になる、または障害のために機能しなかった肉体の一部を動かせるようになる可能性も出てくることが考えられます。

25年後くらいまでに、人は身体の様々なパーツを機械に取り換えるようになっているとイシュトヴァン氏は考えています。生身の身体よりも便利で、劣化すれば取り換えが効くので、老いを超越して生き延びる身体に近づくことになります。

「テクノロジーが人を攻撃しない限り、あらゆるものを容認する」

基本的にこれがトランスヒューマニストのポリシーです。

テクノロジーと人体の融合はどこから不自然になるのか

肉体の機械化は自然の摂理に反するのか

肉体や生命が不自然なものになっていく違和感から、トランスヒューマニズムに嫌悪感を抱く人たちがいます。

しかし、はるか昔と比べ、現在の私たちの身体や人の生活は、既に自然とはいえないテクノロジーによって成り立っています。

昔は死に至っていた病気が、科学薬品や臓器移植などの、自然界ではありえない手段によって克服されてきました。

そして、人がより便利に快適に生きるため、時には勢力争いの戦争により、地球の自然は破壊され、資源は既に底をつくことが目に見えてきている状況です。

今更、人体にテクノロジーを融合することだけを

  • 不自然
  • 倫理に反する
  • 神への冒涜

などと非難するのは、これまで人間によって生きる権利を奪われてきた数々の生命から見たら、「何をいまさら」なことなのかもしれません。

イシュトヴァン氏は、

「自然、不自然という二項対立は虚構」

といいきります。

地球と共に生き続けるためのトランスヒューマニズム

「テクノロジーを発達させて生き残ってきたのは、人に与えられた進化の形である」

と考えるトランスヒューマニストたちは、環境問題も、食糧や資源の枯渇の問題すら、テクノロジーで解決していくことだと考えています。

「遺伝子操作で森の生長スピードを10倍にする」

「人工肉を発明して動物を殺すことも家畜の牧場によって環境を破壊することもなくす」

なんて、ナショナリストが激怒しそうな(!?)予測もしています。

更に、遠い未来、

「人は記憶や意識をロボットにダウンロードすることで、クローンとして生きる」

に至る可能性も示唆しています。確かに環境も汚さず、食糧も必要なく生きられそうです。

人が意識や記憶だけの存在になってしまうのは極端ですが、体内に人工物をインプラントする治療法はこれからも進むし、バイオテクノロジーによって人体をデザインするようになる日もくるかもしれません

“どこまでが許されて、どこからが不自然になるのか”

それはその時の社会の中で、コンセンサスが築かれていくことなのでしょう。

1000年後、人間と地球の未来の姿はどうなっているのでしょうか。

まさケロンのひとこと

身体を「治す」んじゃなくて、「捨てて新しい身体に乗り換える」っていう発想はなんだかおそろしい気もするよね。どっちの方向の未来になるのかな~。

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。