未来創造

撫でて抱きしめて離れた家族に想いを伝えるIoTぬいぐるみ

Written by すずき大和

コミュニケーションの未来を創造することを目的に、KDDIが作る“スマホの次”を発明するオープンラボラトリー『au未来研究所』

そんな夢の実現を目指す人たちが、2016年、

“ぬいぐるみを撫でたり抱きしめたりキスしたりすることで、遠く離れた家族に想いを伝えるIoTコミュニケーションツール”

を開発しました。

ファンタジーの世界のような愛を伝えるぬいぐるみは、名付けて

『Comi Kuma(コミクマ)』!!

「赤」「青」「黄」3色のティディベアたちです。



スポンサーリンク

離れた家族に言葉ではなくスタンプで気持ちを伝える


ターゲットは高齢者と孫

3月29日発表のプレスリリースによると、Comi Kumaはスマホを使い慣れない高齢者や、まだメール通信ができない小さな子、またはなかなか言葉で伝えられないシャイな子でも、キーボードやボタン操作を必要とせず、ぬいぐるみを愛でることで、相手に愛情表現のメッセージを送ることができます。

企業イメージとしては、離れて住む祖父母と小さな孫との間のコミュニケーションツールという発想のようです。コンセプトモデル開発にあたり、2016年1月に、少子高齢化が進む秋田県南秋田群五城目町でモニター実験を行っています。

祖父母と離れて住む孫にそれぞれComi Kumaを渡し、期間中自由にコミュニケーションしてもらいました。結果、期間中(1週間)、利用の習慣化が見られ、また、それをきっかけに直接電話等でコミュニケーションする機会が増加していました。

1週間という短期間の調査でしたが、研究所では、祖父母と孫にとってComi Kumaは有効なコミュニケーション手段となると見ています。

クマが受け取る愛情表現をスタンプとして相手に表示

Comi Kumaには、全身に12個のセンサと、通信モジュールが内臓されています。クマを撫でたり抱きしめたりすると、センサがそれを感知し、それらに呼応するスタンプ(全11種類)を相手側にいるComi Kumaの胸に付いているモニターの中に映し出します。


センサは、

  • 加圧を感知する「タッチセンサ」
  • 二酸化炭素を感知する「キスセンサ」
  • 足裏の静電気を感知する「くすぐりセンサ」

・・・などがあり、それらデータを組み合わせ、様々な扱われ方を識別します。

クマの扱いによって、どんなメッセージ(子どもの気持ち)を表現しているか、スタンプで表されますが、

手を握ると「なかよし」

片手を上げると「お~い」

うつ伏せに寝かされると「つかれた」

仰向けにして足をバタバタすると「たのしい」

などなど、なかなか“中の人”も考えている感じがします。

モノのインターネットが作る未来のコミュニケーション

IoTによるコミュニケーション

IoTとは、Internet of Things の略です。直訳すると「モノのインターネット」です。

コンピューターなどのIT機器だけでなく、身の回りの様々なものに通信機能を内蔵して、ネットにつないだり、相互に通信させたり、して、遠隔操作や自動制御を行うモノを作ることです。従来のように、人が入力したデータ以外に、モノに取り付けられたセンサが収集するデータを自動入力し、ネット経由で利用されるモノです。

モノが自分から「今こんな状態だよ」と人に知らせることができます。

人は離れた場所からそのモノを操作できます。

このテクノロジーによって、離れた場所の人と人、人と機械の間に今までとは違うコミュニケーシヨンが生まれる可能性が広がります。

Comi Kumaの需要はあるのか

Comi Kumaの有効性について、au未来研究所は手ごたえを感じているようですが、祖父母と幼い孫にターゲット絞っているこのプロトタイプの需要には限界があるでしょう。

たった11種のスタンプのやりとりだけでは、小さな子どもはすぐ飽きるかもしれません。

クマのぬいぐるみそのものに愛着が沸いてきたらきたで、いちいちスタンプでおじいちゃん・おばあちゃんと通信する機能が面倒くさくなる子もいそうです。

一方で、ぬいぐるみのデザインをもっと豊富にして、スタンプの表現の中に

  • 「悲しい」
  • 「寂しい」
  • 「怒ってる」
  • 「怪しい」

などの多彩な感情表現を含めるようになると、若い女性層の需要が出て来るかもしれません。

また、大人の男性が持っていてもおかしくないモノにすれば、カップル間のコミュニケーションツールとしてウケるかもしれません。LINEでやりとりする以外に、ふたりの間のみで交わされるメッセージツールがあるというのは、ちょっと新鮮です。

大きくなった孫の場合は、人形の腰を揉むと、おじいちゃんの所にあるIoT機能付きマッサージ器が作動して揉んであげる、なんていうモノも考えられます。

モノと対話する未来

AI(人工知能)搭載のモノがIoT化していくと、モノそのものとの対話という新たなコミュニケーションも生活の一部になってくるでしょう。

今も家の中をいろいろモニターしたデータをスマホで見られるようなアプリがありますが、そのうち、うちにいる家電たちに直接コンタクトして、会話するようになる日も近いかもしれません。

自動調理機に「今日の晩御飯なに?」って聞いてみたり、

給湯機に「7時ごろ帰るから、お風呂沸かしといてね」なんて話しかけると、

「かしこまりました。6時半より雷雨予報が出ておりますので、お気をつけて」

なんて返事してくれたりして。

家族と離れても、ひとりでも、寂しくない社会・・・・・なのかな?これ?

まさケロンのひとこと

一方通行は寂しいもんね。相手がAIだとしても返事がきたら嬉しいな〜。

masakeron-love


スポンサーリンク

あなたにオススメの記事&広告

筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。