※開発困難として中止と返金が決定された模様です。
人間はいわずと知れた、陸生動物です。が、大昔から、多くの人が
「大空を鳥のように、自分の力で自由に飛んでみたい」
「海の中で何も付けずに、魚のように泳ぎまわりたい」
そんな夢のようなことに憧れていました。
近未来SFやファンタジーの世界では、時に科学の力で、時に魔法の力で、それが可能になっているお話がたくさん作られています。
鳥人間になれる“妖精の粉”は未だかつて発明されていませんが、なんと、21世紀初めの2016年、魚人間になれる「人口エラ」が、ついに現実のものとなりそうです。
クラウドファンディングサイトで爆発的支持!
不特定多数の人たちが、支え合って大きな夢を実現する
「クラウドファンディング(Crowdfunding)」ってご存知でしょうか?
最近、ネットで見かけることが多い言葉ですが、
“群衆(crowd)”と“資金調達(funding)”
を合わせた造語です。
不特定多数の人が、主にインターネット経由で特定の人や組織に資金協力することで、何かのプロジェクトを実現しよう!というシステムです。
最近は専用フォーマットを整えたwebサイトも複数運営されています。
- お金もコネもないけどアイデアとやる気は溢れている人が、
- 夢のプロジェクトを広く社会に発表して、資金を募り、
- それを見て賛同した人たちが、少しずつの支援を行う
その結果、多くの斬新な発明もたくさん実現されています。まさに、
“みんなで作る「イノベーション」”
の発信どころとなっています。
水中呼吸システムの未来へようこそ
海外で人気のクラウドファンディングサイト「Indiegogo」にて、口にくわえる形式の「人工エラ」の開発資金5万ドル(約560万円)の出資を募ったところ、締め切り前に既に85万ドル以上集まってしまった!という驚きの事態が発生しています。
製品化される人工エラは、『トリトン(Triton)』と名付けられています。ギリシャ神話の海の神様の名前です。プレゼンテーションの冒頭には、
「Welcome to the future of underwater breathing system」
直訳すると、「水中呼吸システムの未来へようこそ」
と、書かれています。
そう、これはまさに“未来のテクノロジー”として、これまで多くの人が想像してきた道具でした。
- 日本の人たちは、ドラえもんの「エラ・チューブ」を思い浮かべるでしょうか。
- ハリー・ポッターの世界では「えら昆布」という魔法素材が使われていました。
- スター・ウォーズの中でも似たようなデバイスが出てきました。
- プロジェクトチームが作ったPVの中では、1965年の007映画に出てきたシーンが挿入されています。(これが今回の発明品にそっくり!!です)
人工エラタイプ呼吸装置『トリトン』とは
特殊繊維がエラの役割を果たす
トリトンは、9×12cmの小型の装置と説明されています(写真を見るともう少し大きく見えますが)。デバイスを口にくわえて呼吸をするだけ、というお手軽な使用方法で、水深5フィート(約4.6m)まで、最長45分間(バッテリー駆動限界)潜っていられる設計となっています。
トリトン内部には、
「マイクロプラス・ホローファイバー(Microporous Hollow Fiber):MPHF」
という特殊な繊維が入っています。
人工肺にも使われるこの繊維は、水分子より小さな穴が開いており、これで水から溶存酸素をこし取るようになっています。取り出された酸素は、コンプレッサーで一度圧縮してトリトンに内蔵されているタンクに貯められます。くわえた口から息を吸い込むと、このタンクの酸素が吸引されるしくみです。
一部の専門家からはダメだしも!?
資金ができたので、これから商品化にむけての開発が更に進んでいくと思われます。既に商品化した場合の値段設定(399ドル)までされているので、実現の可能性は極めて高いと、開発者は見込んでいると思われます。
が、一方で、2年程前に一部の専門家からは、物理学的に「このサイズの装置では十分な酸素を取り出すことは不可能」などの意見も出されており、今後の展開が注目されます。
もし実現できなかった場合、85万ドルの資金は返却されるのか?など、細かいところをいうと、いろいろ“冒険”要素が多い開発かもしれません。が、夢にかけてみたい人は、出資してみるのもロマンがありますね。
成功すれば、多くの企業が製品化の権利を奪い合う事態になるでしょう。日本での発売もおそらく確実と思われます。
399ドル(約45,000円)くらいなら、庶民にも買えそうです。できれば、円高ドル安が進んでいるうちに発売されるといいな・・・(笑)
とにかく、今はひたすら実現を祈りましょう。
成功の暁には、さあ、みんなで魚人間になるぞーっ!!
そのうち人間も海の中で生活できるようになったりするのかな〜。