年度末・年度始め 政治・経済

春闘なんて関係ない?労組と政治とブラック会社で働く人のリアル

Written by すずき大和

日本では、多くの会社が4月から新年度です。年度末の2月3月には、産業別に集まった労働組合が、賃上げや福利厚生などの要望を会社側と交渉する

「春闘(しゅんとう)」

が行われます。

と、聞いても、「自分には関係ない」と思うかもしれません。

政治家が春闘の成果を引き合いに出して、

「景気は回復している」

なんていっても、自分にはちっとも恩恵がないと感じる人はたくさんいます。



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日本の会社はブラックが標準?

給料上がってる?

春闘は、大手企業の多い産業から始まり、その後、中小企業、零細企業が順次春闘に入ります。大きな所(取引先)に合わせて要求の相場が調整されることになっています。が、現状は、大手の春闘の成果は中小零細にまで及んでいません。

今の政権は、

“大手産業の利益を優先することで、自由市場を活性化させる経済政策”

を推し進めています。大手が儲かればそれが社会に波及する、というのが建前です。

この考え方・やり方を

『新自由主義』

といいます。90年代後半、小泉政権の頃から、大手企業ほど有利になる法律や制度が次々作られ、弱い産業や労働者を守るための規制は緩和されていきました。

20年たち、大手産業の利益は上昇し、一部の人たちの賃上げは進みました。が、庶民の多くは、賃金よりも物価の方が上がった状態です。

長時間労働減ってる?

電通の新入社員の過労自殺認定など、2016年はブラック企業問題が大きく話題になりました。

2015年の日本のフルタイム労働者一人当たり年間平均労働時間は2000時間を超えています。しかも、ここに「サービス残業」分は入っていません。過労死や過労自殺の問題は、未だに社会に根深く巣食っています。

不景気で人件費を削らざるを得ないのに、生産性を上げられないしわ寄せが、労働者にきています。

参考:平成28年過労死等防止対策白書・第1節過労死等の現状

労働組合は弱い者の味方ではない?

欧米先進国などでは、もし過労死するほど過酷な労働を企業が強制し、国が何も手を打たずにいると、すぐに市民の側から抗議が起こります。訴訟、デモやストライキ、時には暴動にまで及ぶこともあります。

労働組合などの労働運動もそういう“物いう主体”のひとつです。弱い立場の労働者は、一人では会社に対抗しづらいです。そこを組織的にサポートするのが、労組の本来の役割です。

しかし、日本では、労組が労働者へのしわ寄せの歯止めになっていません。非正規雇用者の多くは労働組合に入れません。更に、正社員も組合に入りたがりません。組合加入率はどんどん下がり、労組の影響力は弱体化する一方です。

なぜ春闘は労働者の味方にならないのか

御用組合

日本の労働組合は、基本、企業(会社)ごとに作られています。このことが、本来禁止されている、会社の労組への介入や、会社が組合加入員を不利に扱うことをたやすくしています。

結果、会社と癒着して、企業側の要望を労働者に押し付けるしくみとして労組が利用されているケースが多様に存在します。企業にいいように利用され、労働者の味方になってくれない労組は、俗に

「御用組合」

と揶揄されています。

労働組合と政治

春闘で労組が対峙するのは企業の集まった組織です。全国組織で最も大きく強いのは

『日本経済団体連合会(経団連)』

です。日本を代表する50余りの有名な大企業が入っています。

経団連は、毎年与党に多くの献金をしています。政権が新自由主義の経済政策をとるのは自明の理ともいえます。

そして当然ながら、労働者の立場にたった政策方針をとる政治家は野党、というのが長年のこの国の政情です。

ただし、日本の野党はなかなか一致団結できないので、労働組合の全国組織は応援する政党別に分かれています。

一番大きいのが、民進党寄りの『日本労働組合総連合会(連合)』です。

民進党の中は、保守系(右派)とリベラル(左派)の両方の人がいます。連合の幹部は右派、つまり政権に近い考えの人たちが占めています。これも所属組合の多くが御用組合化している要因です。

  • 主に共産党を応援している『全国労働組合総連合(全労連)』は左派です。
  • 主に社民党を応援している『全国労働組合連絡協議会(全労協)』は中道です。

このふたつは、連合よりは労働者の立場に立っています。が、組織が小さいので、経団連になかなか勝てません。

労組を嫌う日本人

日本では昔から、和を重んじ、忠義と謙虚を美徳とする文化が根強く、お上(国・行政)や主人(会社)に文句をいう人を反社会分子的に見る傾向があります。

新自由主義の蔓延は、弱者には自助自立を促す「自己責任論」の風潮も作りました。

「政治的なことには関わりたくない」

という気持ちが小さいころから育つ土壌があります。

「長いものには巻かれるのが、賢い処世術」

と言い換えることもできます。

労働者の多くは、賃金が上がらなくても、ブラックな働かされ方をしても文句をいいません。労組に入ると逆に会社から不利に扱われると考える人は多く、社会運動する人を見る目も冷ややかです。

春闘で勝ち取られるのは大企業正社員や公務員の利益だけ、かもしれません。

が、虐げられている側であるはずの庶民の多くが、政治に無関心になり、労組に入らず、声あげる人をバッシングすることで、与党の支持率を高め、御用組合を作り出していることも事実です。

日本は不思議な国です。

まさケロンのひとこと

「恩恵がないなー」と感じてる人たちは、積極的に政治に関わろうとしてるのかな?表面的なところだけ見てるんじゃ、いつまでたってもなんにも変わらないと思うんだよね。

masakeron-oko


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。